劇場公開日 2025年11月14日

石炭の値打ちのレビュー・感想・評価

全8件を表示

3.5コミュニティがそこにあった

2025年11月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

サッチャー政権誕生前のイギリスヨークシャー州の炭鉱での出来事が一部はユーモラスに二部は事故後の救助が淡々と絵が枯れていた。
当日ここに視点を置いた事が評価される作品なのですね。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
jiemom

3.0BBCのテレビ映画

2025年11月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

悲しい

ケン・ローチ監督作品で未配信、未ソフト化と聞いて久しぶりに渋谷へ。167分で途中休憩あり。南ヨークシャーの炭鉱夫たちを描く。第1部はチャールズ皇太子の視察を巡るドタバタ。第2部は炭鉱事故を描く。
第1部は何とも馬鹿らしいけど、おえらいさんの視察となれば上司は慌てふためき現場は余計な事をと迷惑顔。
第2部は事故発生の緊迫感と悲壮感を淡々と描きながら家族と労働者、会社の管理者側の苦悩をドキュメンタリータッチで見せる力強さ。
結末もあっさりしながら過剰な演出は無い。
まさにケン・ローチ監督!

コメントする (0件)
共感した! 1件)
MOVIE FUN MAMIKO

4.5新自由主義の嵐の前の風景ーー連帯して生きる石炭労働者の貴重な記録

2025年11月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ケン・ローチ監督の初期作だ。Bunkamuraル・シネマで限定上映された。かつてBBCのテレビ映画として放映されたという、この二部構成作品は、タイムトラベルを体験させてくれる。上映機会を作ってくださったことに感謝したいし、その志に敬意を感じている。

本作は、50年という時間を経て、貴重な時代の記録として、当時の空気感を保存した傑作に昇華したと思う。時間の経過が、この作品を「失われた労働者階級の生活」を伝える貴重なアーカイブという高みに押しあげた。
本作は、ケンローチの原点的作品としても価値が高いが、さらに価値がある理由は、サッチャー政権登場直前の作品であるということだ。先進国が新自由主義的な政策を取り始めて、自由競争と自己責任の世界に移行した。その前の世界はどうだったのかーーそれが見えてくる作品でもあるのだ。

ケン・ローチ作品に見られる、社会の不公正・搾取の構造への怒り、その告発の切れ味は本作では鈍いと感じた。むしろ、本作で描かれる労使の関係や地域の在り方は、温かいものに見える。その理由は明白で、当時は現在ほどひどくなかったからだ。サッチャー政権は、経済立て直しに成功したけれど、それは労働者の没落やコミュニティの解体など、多くの犠牲を伴うものだった。

第1部で、皇太子の訪問に奔走する経営陣の姿は滑稽だ。しかしそれでも、彼らは労働者と同じコミュニティメンバーとして、協力関係にある。第2部の炭鉱事故でも、経営者は責任を取ろうとする意志を見せ、労働者とその家族に対する保護者的な役割を果たそうとしている。
ここにも石炭産業が地域コミュニティとして機能していた最後の時代の記録として見ることができるように思う。
逆にいうと、その後、世界で最も尊敬される映画監督の1人となるケン・ローチは、その後の新自由主義の世界的広がりの中でこそ、その特質を活かすことができたという皮肉な逆説があるのだと思う。
対象となる社会が変質し、システムが個人を排除するようになった結果、本作での「観察者」から、システムを批判する「告発者」へとスタンスを変えていくことになったのではないだろうか。

この作品に登場した労働者と炭鉱はどうなっただろうか。本作に登場したのは、素人の役者たちだ。映画の最後でも、炭鉱のまちの人々の協力への感謝が流された。
映画の公開から数年後、1984年のストライキ敗北を経て、英国の炭鉱は次々と閉鎖されていくことになる。
この作品の多くの中高年労働者は「リタイアした病人」とされていくことになる。健康上の理由で働けないのではない。この時期、製造業が衰退し、中高年は再就職先が見つからなかった。失業者とならざるを得なかったのだが、失業統計上の数値を下げるという政治的な動機もあり、傷病手当受給者へと移行させられた。専門的ブルーワーカーとしての誇りは奪われ、同時に、統計上も見えない存在とされてしまった彼らはどんな想いで、その後の人生を送っただろうか。

また、若い労働者は、第3次産業での再就職が多かったようだ。しかし、そこでうまくやっていくのは、相当大変だったはずだ。イギリス映画の大ヒット作「トレインスポッティング」や「フル・モンティ」は、彼らのその後を描いた作品でもあると言えるのではないだろうか。

この素晴らしい作品をみた今、ケン・ローチ監督の最後の映画と言われる『オールド・オーク』(2023)の劇場公開は、さらに待望されるべきものとなった。
日本ではいまだ劇場公開のアナウンスが届かないこの作品は、炭鉱労働者で賑わった街に、唯一残されたパブでの物語ということのようだ。まさに本作の50年後の後日談とも言える設定だ。
労働者階級の日常を描くことで、2度のパルムドールを授賞した名監督の最後の作品は、先進国での中間層の没落が明らかになった現代こそ、その価値が増していると思う。
ケン・ローチの「原点」である本作がようやく陽の目を見た今だからこそ、その「終着点」である『オールド・オーク』もまた、日本のスクリーンで上映されるべきだと思う。切に公開の実現を願っている。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
nonta

4.0我が谷は緑なりき

2025年11月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

昔観た『我が谷は緑なりき』を思い出しました。本作は、そこまでノスタルジックでなく、今の生活を淡々と描いており、炭鉱での厳しい現実を突き付けて来ます。2部の最後で、最後の生還者が生きていたことが救いでした。しかし、子供達は将来炭鉱を出て行くであることも予感させました。良い作品です。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
Cabe

4.0生身の人間は決裂しない

2025年11月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする (0件)
共感した! 2件)
LukeRacewalker

3.5ケン・ローチ監督の源流に触れる、庶民的で力強い初期の二部構成ドラマ

2025年11月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

第一部 炭鉱労働者の日常をユーモアたっぷりに描く、加えて皇太子の視察が決まり、準備に追われる彼らをコミカルに綴っていく。
私の会社の現場もあんな雰囲気だったなあ。軽口を言い合い、決して上品とは言えないけど、仲間への愛情と尊敬がベースに流れている。まあ、もう少し整理整頓はできていたけどね。
政治論争は口角泡を飛ばして熱く議論するのが欧米流。でも今みたいに誹謗中傷とか陰湿な感じはない。

第二部は一転してシリアスな展開。1931年のG・W・パプスト監督の「炭坑」を想起する。事故の被災者救出を待つ時間が、我々にも永遠に感じられる。そして結果を聞く際の残酷な分かれ道。ラストの「やっぱりお父さんと行きたい」には泣ける。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
sugar bread

4.5見逃すなんて、もったいない

2025年11月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

淡いカラーの炭鉱夫の映像を見てちょっと興味が出た方、ちょっと調べてみて社会派ケン・ローチ監督、1部・2部構成の168分。。。ちょっと面倒くさい映画かも。。。
と躊躇しているあなた、渋谷ル・シネマで2週間の限定上映、時間と心に余裕があれば大大推奨いたします。
時は1997年イギリス・ヨークシャーの炭鉱町。そこでの炭鉱夫、家族、管理職の職員など様々なひとびとが描かれます。
ドキュメンタリー(もちろん、そうではない)をみているように、あたかもその場で彼らの暮らしに入り込んでいるような錯覚すら覚えます。それでいて、まったく退屈させないディテイルのリアリティは流石と唸る仕上がりです。
第一部は炭鉱に皇太子(チャールズ)が視察に訪れることになり、そのてんやわんやをユーモアたっぷりに描きます。皇族―労働者に象徴される階級社会を対立構造ではなく、所与のものとして、当たり前に生きている庶民の暮らしが清々しい。
会話のなかで交わされる皮肉やユーモアは気が利いていて、労働者階級の矜持も感じられます。
第二部は炭鉱での爆発事故を描きます。ここでも様々な立場の人々が描かれますが、脇役に至るまでおざなりではない人物描写が素晴らしいです。
決して思い描くような予定調和ではないところも心に沁みます。

原題のThe Price of coal は「石炭の値打ち」と邦題がつけられていますが、
Price に込められた 価格、代償、犠牲 の意味を噛み締めたい。
炭鉱の子供達が履いているベルボトムのジーンズもかわいらしく、若者のロングヘアなど時代っぽさも素敵です。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
スターン

4.0ケンローチのリアリティ炸裂

2025年11月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今年4月の上映会の時はチケット取れず、幻のまま終わるのかと思いきや今回は2週間とのこと。他はすっぽかしてすかさずGET。

第一部はドキュメンタリーに近い感覚に捉えられたかな。
チャールズ皇太子が訪問することが決まり、各々の思い思いが丁寧に描かれていること、また家庭の事情を少し挟むことでよりリアルになってたと思う。

第2部は皇太子訪問から1か月後、炭鉱で爆発事故が発生。
事故に巻き込まれた人、同僚の炭鉱夫たち、家族の思い思いが丁寧に描かれている。
カメラワークが近いというか、いつも目線に合わせているからよりリアルで、労働者階級というイギリス独特の社会通念が伝わってくる。

コメントする (0件)
共感した! 3件)
Soulman