「幽霊は見た!」プレゼンス 存在 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
幽霊は見た!
スティーヴン・ソダーバーグ初のホラー。
この才人が並みのホラーを撮る訳ない!…と期待していたら、
う~ん、何だかイマイチだったかな…。
中古物件の新居に越してきた家族。
奇怪な現象が…と、一見よくあるポルターガイスト・ホラーのようだが、ユニークなのは家に取り憑く幽霊の視点で描かれている所。
その昔、アレハンドロ・アメナーバル監督&ニコール・キッドマン主演の『アザーズ』で、住人と幽霊の立場を逆転させたのがあったが、こちらはカメラが幽霊の一人称視点で展開していく。
さながら、幽霊は見た!
あちらからこちらは見えない。こちらからは見える。
まるで家族の暮らしや秘密を覗き見している感じ。
最初だけはユニークな見せ方に興味惹かれたが、しかしだからと言って、それが作品を面白くするものでもなかった。
特別面白くもない家族のドラマがだらだらと。
何やら訳あり家族。その問題の中心が長女。家族から疎外にされている。
幽霊は長女にシンパシーを感じ、彼女を守る為にポルターガイスト現象を。かと言って、怖くも何ともない。
やがて家族に悲劇が起きるが、傍観立場で見ている故、感情移入もあったもんじゃない。
ラストは成仏したって事…?
何がきっかけで…?
ドラマ展開もそうだけど、説明不充分でイマイチよく分からない。
そもそも幽霊はどういう存在だったの…?
だから何?…って感じ。
幼少時、東宝特撮ホラー『マタンゴ』に衝撃を受け、暫くキノコが食べられなくなり、映画監督になってからリメイクを考えた事があったというソダーバーグ。
ソダーバーグさん、私ゃあんたの『マタンゴ』が見てみたかったよ。