「着眼点や語り口は面白かったのだが・・・」プレゼンス 存在 tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
着眼点や語り口は面白かったのだが・・・
幽霊目線ということで、ほとんどのシーンをワンカットで描いた、長回しのカメラワークが面白い。
はじめの頃こそ、自分も、幽霊と一緒に家族の様子を「盗み見」しているような感じになって、画面に引き込まれたのだが、話自体にメリハリがなく、だんだんと飽きてきてしまったのは残念だ。
おそらく、幽霊の正体は、一家の娘の友人だった「ナディア」なのだろうが、決して家の外に出ないところを見ると、その場に取り憑いている「地縛霊」であるとも考えることができる。物を動かす能力を持っているのに、人間に対しては物理的な作用を及ぼすことができないなど、幽霊の設定そのものに疑問を感じるところもあった。
ラストは、娘が、連続殺人鬼に命を狙われるという展開になって、俄然話が盛り上がるのだが、その一方で、兄の末路については釈然としないものが残る。
父親が娘を思いやり、母親が息子を可愛がるという構図や、母親が違法なことに手を染めているらしいという疑惑が、特段、掘り下げられないところにも、不完全燃焼さと物足りなさを感じざるを得なかった。
それから、ラストで、初めて家の外に出て、天へと昇っていったのは、鏡に映っていた兄の霊という解釈で良いのだろうか?
いずれにしても、着眼点や語り口は斬新で面白かったのに、肝心のストーリーが「舌足らず」で、それを活かし切ることができなかったのは、返すがえすも残念としか言いようがない。
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