劇場公開日 2025年3月7日

「【その家に居た”存在”が、親友を亡くし兄を溺愛する母親、兄との関係性が微妙な中、傷ついた妹の”守護霊”になる様を静かなトーンで描いた作品。スティーヴン・ソダーバーグのセンスを感じさせる作品である。】」プレゼンス 存在 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0【その家に居た”存在”が、親友を亡くし兄を溺愛する母親、兄との関係性が微妙な中、傷ついた妹の”守護霊”になる様を静かなトーンで描いた作品。スティーヴン・ソダーバーグのセンスを感じさせる作品である。】

2025年3月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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<Caution!内容に触れています。!!鑑賞後に読んでね!!>

■レベッカ一家は、母レベッカ(ルーシー・リュー)が溺愛する息子タイラー(エディ・マディ)の水泳競技に有利な学校があるという理由で、新しい家に越してくる。
 父クリス(クリス・サリヴァン)のみが、娘クロエ(カリーナ・リャン)が親友ナディアが就寝中に突然死したことで心傷つき、学校にも行けない事を心配している、云わば家族の形態が崩れつつある家族である。

◆感想

・カメラは、”存在”の視点でレベッカ一家を映し出す。そこには、息子タイラー(エディ・マディ)を溺愛する仕事も忙しい母レベッカが、家の全てを決めて行く姿が序盤は描かれる。

・そこに現れるタイラーの友人、ライアン(ウェスト・マルホランド)。彼は、部屋に閉じこもるクロエに興味を持つ。カメラは、クロエのクローゼットから二人の会話する姿を映し出す。

・タイラーが、クロエについての悪口を言った時に、カメラは二階に走り上がるように視点を映し、タイラーの部屋に誇らしげに置かれていた数々のトロフィを叩き落とすシーンを映し出す。

・ライアンは、クロエと近づき親密になる。ライアンはクロエのオレンジジュースにクスリを入れるが、不思議な振動が起き、ジュースを入れたグラスは床に落ちる。更にクロエのクローゼットに掛かっていた服を支えていた棒が落下する。
 だが、ライアンはその後も諦めずに、到頭ベッドの上で彼女と交わる。カメラはそのシーンをクローゼットの中から映し出す。何故か、クローゼットの織戸を入れて良く見えないアングルで。

・更にライアンは、クロエから週末に両親がいないと聞いて、タイラーと共に家にやって来る。ライアンは再び酒をオレンジジュースで割り、タイラーに飲ませるグラスに眠りクスリを入れるが、そのグラスは割れない。
 だが、タイラーが眠った後に、ライアンはそのサイコキラーの本性を表すのである。激しい鳴動により目を覚ますタイラー。彼は二階に駆け上がり、ラップを眠ったクロエの顔に被せるライアンに飛び掛かり、二人は窓を突き破って落下し、死亡する。クリスが連れて来た霊能者の女性が言った”窓”という言葉の意味が明らかになる。

<そして、タイラー亡き一家は、その家を引っ越す。その際に、母のレベッカは家に備え付けられていた鏡の中に、タイラーが映っているのを見て仰天する。そこで、クリスが連れて来た霊能者の女性が慄きながら見た”鏡”の意味が明らかになる。
 タイラーは、その家に居た”存在”と共に、同じくその家の”存在”となったのである。
 今作は、ナカナカ斬新な、スティーヴン・ソダーバーグのセンスを感じさせる、ある家の”存在”を静かなトーンで描いた作品なのである。>

NOBU