「京都あるあるのブラックコメディに見せかけて…」ぶぶ漬けどうどす 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
京都あるあるのブラックコメディに見せかけて…
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冨永監督の映画では決して珍しいことではないが、どういうつもりなのかがなかなか読めないヘンテコなコメディ。京都に憧れる東京の女性が、裏表が激しいとされる京都の伝統文化に翻弄される話かと思いきや、主人公のサイコパスすれすれの京都愛は暴走の一途をたどり、魑魅魍魎のような存在のはずの洛中の人たちが引きずられ、翻弄されていく。冒頭の霞に包まれた京都の遠景から、あまりほかの映画ではお目にかかったことがないような絵面で、映画全体を通じてどこか不穏な空気が充溢しいてるので、サイコホラーのように思える瞬間も多い。京都弁に関しては、ネイティブではない室井滋が老舗の女将を演じているように決して正確さにはこだわっておらず、まあそれも冨永ファンタジーの一環だと思えば、好き放題に作っていていいことのように思う。逆に言うと、もはや京都あるあるを楽しむような映画とは一線を画した怪作だと思っている。
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