ファンファーレ!ふたつの音のレビュー・感想・評価
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肩透かし
音楽は素晴らしい。
予告で想像するような単純感動ストーリーにしないのも良い。
血のつながりのない家族→弟との邂逅→闘病生活→寛解ののち音楽を通した交流→感動のボレロのラスト、とかなんとかだと予想していたので、それが裏切られたのは良かった。
が。
エピソードが細切れで感動に浸る間がない。
工場縮小の理由や背景がよくわからなくて労働運動に感情移入しづらいし、コンクールでやらかしたらそりゃダメだよねだし、兄弟の確執も中途半端だし、何より最後でずっこけた。リアリティがあるんだかないんだか。私がオケのメンバーなら世界初演のあとであんなことやられたら怒るよ。ちゃんと納得のいくボレロで感動したかったな。
良くも悪くもフランス映画
最後のボレロはもっと思いっきり盛り上げても良かったのになあ。せっかくオケが反応してくれたんだからティボがガッツリ指揮して欲しかったんだが。
すんなりハッピーエンドとならないところがフランスっぽくて良かったです。
2人とも母親(育ての)しかいない設定なのは多分養父が出てくると話の展開がややこしくなるからだろうなーと勘繰ってしまいました。
人による奇跡は起こすことができる
人の一生は運の巡りあわせやちょっとした偶然で、大きく左右されてしまう。
人なんかちっぽけでとるに足らないものだなと思う。
この世はままならず、どう抗おうとも変えることができないものばかり。
世の無常さへの無力感で、人として生きていることに何の意義があるんだろうかと思ってしまう。
白血病に罹った世界的指揮者のティボは、骨髄ドナーを探す過程で、実の弟がいることを知る。
兄・ティボは、幼児期に実母のネグレクトで養子に出され、音楽教育に理解ある義両親に引き取られて高名な指揮者になったが、弟・ジミーは、兄同様に音楽の才能がありながら環境に恵まれず、廃れた炭鉱町の学校の食堂で働き炭鉱のシロウト楽団で吹奏楽を演奏するのが唯一の楽しみな生活。気は良いのにキレやすく粗野で無教養、叔母(叔母の夫も)は愛情をもって育ててくれたようだが、実の母の虐待からの辛い環境で育った影が色濃く見える。貧しく、自分に自信がなく、人生をあきらめているよう。
ティボは、ドナーを引き受けてもらった「恩」を弟に返したいというより、弟の不遇を全力で埋め合わせするつもりだったように見える。全く同じ両親から生まれ、遜色ない音楽の才能があるのに不公平すぎると思ったよう。「ター」で見たようなどろどろの足の引っ張り合いの音楽業界(多分)、こんなにピュアで善良な人が生き残れるのが不思議だが、穏やかで辛抱強いふるまいが作用したかも。ティボは意識して諍いを起こさないよう、人の恨みを買わないよう慎重に行動しているように見える。大好きな音楽で生きていくため。その一心かも。
ジミーの育ての親である叔母がティボに申し訳なさそうに、「兄がいるのを知っていたらジミーと一緒に引き取ったのに」と言うが、ティボはちょっと困った顔をする。そうでなくて良かったと心から思ったから。叔母も(おそらく叔母の夫も)愛情深い良い人たちだが、音楽の教育と環境は授けてくれない。
ティボはその逆で、どうして弟も引き取ってくれなかったと養母を責める。引き取られていたらジミーも音楽の才能を伸ばせたかもしれないのに、というのだが、それは養母に対して酷すぎる。穏やかなティボがむきになって言い立てるのが意外だったが、彼女の前でなら素のティボが出せるのだろう。恨み言が止まらないティボに罪悪感丸出しで言い訳する養母、遠慮のいらない母と息子以外の何ものでもない。
ティボの骨髄移植の際に駆け付けた時も、ジミーはティボの実の弟なのに、ジミーに会うなり「うちの息子のために、ありがとう」と泣かんばかりで、この母がどれほど長男に愛を注いでいるかよくわかる。ジミーはその間ずっと浮かない顔。ティボは、ジミーにないものをたくさん持っているのだ。富と名声、母親の愛情も。ジミーは兄は好きだが、半端ない劣等感と羨望に悩まされていたと思う。兄に引換えこの俺は、とつい卑屈な感情に囚われてしまっだろう。
登場人物の、心の機微が言葉でなく表情や行動で描かれているところがとても良い。
そして、話は、おとぎ話で終わらない。とても現実的だ。
ティボが肩入れしようが、炭鉱町の工場閉鎖は免れないし、骨髄移植は失敗、もはやティボの命を救う手立ては皆無。
無慈悲に、粛々と迫ってくる現実を、ティボもジミーも受け入れるしかない。
新曲の完成披露コンサートは、ティボの最後の指揮になるだろう。
コンサートのアンコールで起きた(起こされた)前代未聞のハプニングで、この映画が伝えたいことが見えたよう。
どこからか聞こえてきたドラムスティックのリズム。特徴ある、ボレロの冒頭。
自信がなく、やろうとしなかったジミーが指揮を執る、炭鉱楽団の面々の歌声が聞こえてくる。
合唱なので、楽器を撤去されても大丈夫。肉体と言う楽器があればよし。
歌声に合わせ、オーケストラの楽器が加わり始める。最初はクラリネット、小節が進むごとに別の楽器が代わる代わる入ってきて、オーケストラと合唱、全員参加の胸熱くなるクライマックスへとなだれ込む。
世界が注目する舞台で、一流オーケストラの演奏とシロウト楽団のコーラスのコラボという、ありえない奇跡が、ティボのために実現された。
天による奇跡はきまぐれで齎されるのを待つしかないが、人による奇跡は起こすことができる。
人として生きているからこそ、できるのだ。
曲が「ボレロ」と言うのがちょっとずるい。
それまでがどんな風に流れてこようが、この曲だけで感動を呼んでしまう。
でも、この映画はそれでいいと思う。
障害を持つ人たちが普通に出演しているが全然不自然ではなかった。
ティボ役のバンジャマン・ラベルネも、ジミー役のピエール・ロッタンも、役に合っており好演。特にピエール・ロッタンが人好きする感じで、一目見た時からいい顔、と思いました。
慈愛に満ちたボレロ 追記:2回目はハッピーエンドで☆5
音楽が好き、人間ドラマが好きな方にオススメの映画です。期待を裏切らない良い作品で満足しました。号泣とまではいきませんでしたが、涙腺を呼び起こされました。主人公のティボ(兄)がピアノを弾くシーンも素敵だし、ジミー(弟)と二人で即興で弾くシーンも興奮と共に涙腺も緩みました。
いつボレロが聴けるのかなと楽しみにしていましたが、まんまとやられたって感じです。もちろんいい意味で。この映画のボレロはとても意味深い。考えさせられるし、芸術として美しく心を動かされました。終わり方がまた素晴らしかった。(心の中で拍手喝采)
やっと地域のミニシアターで今日から始まりましたが(2週間だけらしい)、音楽も素晴らしいのでシネコン【DolbyAtmos】の大きなスクリーンでもやって欲しい。【DolbyAtmos】は無理だとしても、多くの人が訪れるシネコンでもやって欲しい。ストーリー展開からのボレロが圧巻で、この感性は年齢問わず響くと思う。
※追記
「ティボは生きている」ハッピーエンド説
ラストのサプライズにとても感動したのでもう一度観たくなり、今度は友達と一緒に観に行きましたがやっぱり最後は二人とも泣いてました。そして友達がシアターを出たあと興奮して「結果みんな助かったんだよ」と言ったのです。「ティボはあのあとジミーから腎臓を移植してもらって成功したんだよ!腎臓は2つあるさー。ジミーの仲間達も、みんな幸せになったんだよ!」「考え方次第ってことなんだよ〜私はそう考えるよ。ハッピーエンドだよ」と…目からウロコでした。
・ティボが電話でジミーが必要だと言っていた。それは楽団に戻って欲しいという意味と、拒絶反応が出て臓器移植が必要になったから助けて欲しいという意味もあった。
・最初の骨髄移植のあとにティボが悪戯心で「今度は臓器が必要なんだ」と言った(ジミーは一瞬真に受けた)そのジョークが現実になった。
との指摘、なるほど〜!
そうか〜、はいはい、違和感シーンがありました…ティボが吹奏楽団メンバーから炭鉱ヘルメットをプレゼントされスマホで撮られた時に「ネットにあげないで欲しい、仕事に差し支えるから」と言ったアレです。アレは映画内では描かれないシーンの伏線だった。
それはサプライズボレロを会場にいた誰かがスマホで撮りネットにあげる!プロオーケストラと失職した炭鉱労働者の感動のボレロと世界中で話題になり、支援者が現れメンバー達も働く場を得られ無事ハッピーエンド!
それでポスター(チラシ)の2人なんですよ〜、映画内ではあの場面、2人一緒の画は無かった…ポスターは物語の続きで、元気なティボのあの素敵な笑顔…という私の脳内完保です。
『考え方次第で結末は自由、あなたの人生あなたのもの』ってことか!オシャレにもほどがある、参りました。結末をこちらに委ねられてもこれなら満足です。ティボ生存ハッピーエンド説は友達と私だけかもしれないけどーーー。
2回目でもラストのボレロでは泣けました。これって一体何なんでしょうね。ティボの表情や、驚きながらも泣き笑いで、さり気なく指揮をするのも素敵でした。
Boléro
見逃しに見逃し続けていたのでなんとか滑り込みで鑑賞。
痛快明快な人間ドラマで分かりやすい展開が続くものの、役者陣のパワー込みでしっかり観れる作品に仕上がっていました。
白血病になってしまったティボのドナー探しの中で、血のつながっている弟のジミーが見つかり、そこからドナーを依頼するが…という話で、病状はそこそこに音楽に焦点が当たっていく作品で、プロの指揮者であるティボと地域の楽団でトロンボーンを吹いているジミーがそれぞれの音楽の価値観で近づいていく兄弟ものとしてもなかなか面白かったです。
最初はウザがっていたジミーが徐々に心を開いていく様子はなんだか愛おしく、照れながらも兄弟であることを受け入れていくところだったり、ツンデレ気味なところだったり、ティボと一緒にレコードを聞くところなんかもめっちゃ良かったです。
指揮の練習や鍵盤の練習なんかもとても良かったですし、音楽の芯にどんどん近づいて仲が良くなっていく王道展開、めっちゃ好きでした。
ティボの病状自体は治ったかと思っていましたが、まさかの病状が悪化していたという展開は、そこまで重くする必要性はあるのかな?とは思ってしまいました。
骨髄移植が成功した時点でてっきり良い方向に向かっていると思っていたもんですから、唐突に死の匂いがやってきてしまったのが惜しいなと思いました。
その後の展開のためと思うとやむなしとは思いつつも、死に頼らなくてもなんとかなったのではとも思ってしまいます。
ジミーの働いてる工場の取り壊しが決まったニュースなんかも、なぜ良い方向に進んでいるものを悲劇的な方に捻じ曲げてしまうのだろう?と思い不思議で仕方がなかったです。
ラストシーンは壮大なボレロが披露され、演奏を終えたばかりのティボにジミーが指揮をし、歌が始まり、ティボのチームも演奏に加わり、観客も音を奏でていくというホールが一体になってのボレロは圧巻でした。
病状は深刻で、頬も痩せこけているティボに向けたプレゼントで笑顔が戻っていくのが素敵でした。
それだけに悲劇的な展開の数々がお膳立てにしかなっていなかったなと思いました。
要所要所に惜しいポイントがあって傑作にはなりきれなかったなという印象ですが、音楽映画や兄弟映画としてはかなり見応えのあった作品だったので、合う人には抜群に合うんじゃないのかなと思いました。
鑑賞日 11/5
鑑賞時間 9:30〜11:15
ほんとは哀しいけどハッピーエンド
見始めるまでフランス映画だって気づいてなかった。
最近、日本でヒットするタイプのフランス映画のタイプかな?テーマとしては重いのに、どっか温かい気持ちが残る映画。
白血病を発症した男性が骨髄移植を家族から受けようとして、37歳にして初めて養子だったことを知る。
血縁の弟がいることを知り、移植してもらう。
一度は元気になり、自分と違って貧しい境遇で育った弟をなんとか手助けしたいと思うも、再発してしまう。
指揮者の彼の恐らく最後となるコンサートで、弟とその仲間達が合唱するボレロで涙が止まらない。
恐らくこの先は白血病により彼は亡くなるのだろうけど、映画はそこまではない、ただただ心が温かくなる、そして涙が止まらないボレロで幕は閉じる。
素晴らしかった
主人公の新曲があまりに尖っていて、現代音楽はこうなるかと思ったのだけどその直後客席から始まる『ボレロ』に鳥肌が立つ。
弟は不愛想だけどその分芯の優しさが際立つ。けっこうエモい男で素敵な人柄だ。彼は絶対音感がありながら場末の吹奏楽団で演奏していて、一瞬メジャーな楽団のトロンボーン奏者を夢見て、即破れる。クラッシックは敷居が高いのだけど、ジャズやロックならその才能を発揮できただろうに、なぜそうしない。今やスマホがあれば世界に扉が開いているというのにな。そうあってもしない人がいるだろうけど、彼はオーディションを受けるようなタイプなので、しない理由が分からない。周りにロックやジャズを一緒に楽しんでくれる人がいなかったのだろうか。家に楽器がたくさんあったので、楽器屋に行けばいくらでもいそうだ。まさか通販で買っていたのだろうか。
音楽っていいね
テンポ良く話が進むし、音楽映画は楽しいし、退屈はしませんでした。でも、階級の差のしんどさを見せつけられると鬱々としてきた。それを音楽の力でカバーしている感じ。
後半になり、二人で生まれた街を訪ねて、なんやかんやで二人の顔付きが兄弟らしく見えてきたなーと思った途端、朝ドラ「カムカムエブリバディ」のジョーさんのように服を着たまま海に入っていく兄。
フランス映画特有の不幸終わりかーと思っていたら、多幸感と切なさに包まれた感動のエンディング。涙が出てしまいました。
音楽映画かと思いきやブラザーフッド映画だった
兄ティボが白血病になったのをきっかけに、生き別れになった弟ジミーを見つけ、
兄の治療に協力することで、絆が生まれていく。
兄が世界的な指揮者、弟は食堂で働きながら吹奏楽団に参加しているのだが、
育った環境も現状も異なり、弟から反発される兄。
今度は弟の窮地を救うために尽力する兄、
すこしずつ確執(弟からの一方的な)が埋まっていき、ハッピーになるかと思いきや
兄が完治していなかったことを知る弟。。
最後の最後はふたりを結びつけた音楽で二人はわかり合いながら、弟が兄にエールを贈る
最高のエンディング。
私はもっと音楽に寄った作品なのかと思っていたけれど、
むしろ兄弟関係にスポットがあたった作品で、ラストは感動的だった。
ボレロの涙の意味を深く味わいたい。
指揮者として成功した兄(ティボ)が白血病を宣告される。
血液適合検査で、妹と血縁関係がないことが発覚し、ティボは養子であり、血のつながった弟(ジミー)がいることが明らかになる。
弟の骨髄移植を経て、兄は健康を取り戻す。
兄は弟の音楽的才能を感じて弟にもっと野心を持つべきだと励ます。
しかし、弟の音楽的才能とは、実は絶対音感ただ一つなのだ。
プロ用のトロンボーンを贈られたジミーはプロのオーケストラでの欠員募集に応募するが、他の応募者との実力の巨大な差に打ちのめされる。
兄の言う野心とは分をわきまえてのことで、弟は自分の「勘違い」に傷つく。
兄は、自分だけが恵まれてしまったことに負い目を感じ、なんとか弟を引き上げようと尽力するが、結局、弟とその周りの人間の厳しい環境を変えることが出来ない。
有名な自分が指揮をするとなれば工場の吹奏楽団は注目される、そこでボレロを演奏しようと提案するが、それで工場閉鎖が取りやめになったりするだろうか。
弟は兄の指導を得てメキメキと指揮者としての実力を得ていく、とは決してならない。
お前だけ宝くじを当てやがって、イライラする!という弟の叫びは全く本音であろう。
どうしたって上から目線のお気楽なアドバイスを超えることができない。
そして、ティボの白血病は再発し、最後のティボの作曲した交響曲の指揮はおそらく最後のステージになるだろうことが示唆される。
演奏後、ティボが指導していた「合唱」によるボレロが、ジミーの指揮で会場に響く。
ここでいきなり、涙がこぼれる。
え、どうして泣けるの?
なぜ、コンサートの最後に素人のボレロの演奏が、しかも声だけの演奏が許されるわけ?
みな、どうしてそれを当たり前に受け入れるの?
直ちに疑問がわく。
そうだ、工場は閉鎖されたのだ。←画像はこの場面のみ。
それなら、楽器は没収され、ティボのボレロのコンサートも頓挫しているのだ、そしてそのことはニュースになっていて、おそらくコンサートに来ている観客はそのことを知っているのだ。ボレロのコンサートが実施される前を狙って、工場は企業によって電撃的に閉鎖されたのだろう。
あのコンサートに集まった工場労働者たちは、ほとんどが失業者なのであろう。
私の理性はそのように慌てて解釈するが、そのようなことを理解する前に涙があふれている。
これこそ音楽の力なのだろう。
あのボレロはティボのレクイエムになるだろうことが悲しい。
しかし、あの最後のボレロのもたらす幸福感は深い。
彼らの現実がどうなるかは、全く明らかにならない。
ただ、あの多幸感で映画は閉じられる。
おしゃれだ。さすがフランス。
ただ、一つ指摘したいのは、フランスにおいて、階級を上に移動するのは不可能なのだということが、ここに現れているということ。
ご都合主義のハッピーな展開がない分、落ち着いた大人の映画であり、そこが尊いのだが、フランスの闇の深さもちゃんと感じておきたい。
鼻血、鼻血
いついつ出やる、と思っていたが最後迄出なかった。
もう移植を承諾したの?イイ奴だな。
人物と情景のカメラが全然違う、オーディションや娘、飲酒運転とか要った?不幸が爆上がりで、一体どこに連れて行くのか、緩急にもなってないよ!
と思っていたら、あのエンディング。つーと涙が流れた。お兄さん癒やし顔だ。
かたや国際的に有名なスター指揮者 こなた学校給食の料理人で余暇には地元アマチュア吹奏楽団のトロンボーン奏者 別々に育った兄と弟の物語 感動の大団円に涙涙また涙の拍手喝采
有名な指揮者であるティボが白血病を宣告され、髄液のドナーを探す過程で自分の出生の秘密を知り、フランス北部の炭鉱町で暮らす実の弟のジミーを探し出しドナーになってもらいます。そこから始まる兄と弟の交流の物語です。
兄のティボのほうはパリの裕福な家庭で育ち、幼少の頃から音楽に親しみ、自身の音楽の才能を十二分に開花させることができました。弟のジミーのほうはフランス北部の炭鉱町の労働者階級の家庭で育ち、後に兄にもすぐに気づかれるほどの絶対音感の持ち主であるにもかかわらず、才能を大きく伸ばす環境には恵まれませんでした(まあでも音楽好きで地元のアマチュア吹奏楽団でトロンボーンを吹いてはいるんですけどね)。ティボはその不公平を正そうと仕事で忙しい中、ジミーに音楽に関する助言をするようになります。最初のうちは仲がよかったんですが、やがてジミーは兄のことを宝くじに当たった人みたいな言い方をして反発するようになります。
まあ、このあたりはありがちな脚本であり、やがては仲直りして、ふたりとも未来に向かって進んでゆくみたいな予定調和的な大団円を迎えるんだろうな、といったあたりは容易に想像がつきます。また、ジミーが参加している楽団の多くのメンバーが働いている工場が経営不振で閉鎖されることになり、楽団の存続•維持が危うくなってきます。彼らは労働者の尊厳のもとに労働運動も展開するのですが……
一方、ティボのほうは成功したと思っていた手術の予後が思わしくなく、手術が実は失敗だったと告げられ、体調が悪いことも手伝って落ち込むことになります。やがて迎えたコンサートの日、ティボは頭痛に襲われながらも懸命に指揮棒を振るのですが……
もう、ここからは本篇で確かめるしかない感動の嵐です。予定調和だと思っていたのですが、想像をはるかに上回る見事なフィナーレでした。ボレロはかねてから映画と親和性が高いと思っていましたが、こんなにも効果的に使ってくるとは。涙が止まりませんでした。
ということで、目頭が熱くなりながらも多幸感あふれるエンディングなのですが、ティボの今後を考えるとなんだか切ない気持ちにもなってきます。日本語のことわざに「禍福は糾える縄の如し」というのがあります。ティボはジミーに宝くじに当たったみたいな人生を過ごしていると思われていたのかもしれませんが、幸運の後の不運に見舞われた感じでした。
まあでも今は多幸感あふれるフィナーレに没入して、ブラボーと叫び、拍手喝采を送るとしますか。
派手さはないけどじんわりと沁みる。
SNSで流れてきて観たいと思っていました。
表現が合っているかわかりませんが、フランス映画らしいと思いました。
もがいてるけど上手くいかない、成功してる人でも不幸は訪れる。想いあってるのに噛み合わない、もし、こうだったら?そんな思いを巡らせながら終盤まで淡々と過ぎていく。
それでも。
最後のボレロは涙があふれました。
上手くいかない毎日でも
想いあって
それを伝え合えることができれば。
それだけで人生前を向ける。
それだけで少し幸せになれる。
そうやってみんな生きている、生きていたいと思えました。
派手さはないけど鑑賞後もじんわりと染み入る映画だと思います。
感動したい人は是非
とても良い作品で感動した。
感動して涙が出る。
ティボは世界的な指揮者なんだけど、冒頭ではプロの指揮者にしか映らず指揮者としてのレベル感が分からない。もしかしたらフランス映画の特徴かもしれないけど、説明が少ないようだ。もしかしたら公演予定のポスターを大々的に貼ってあるような演出があればスッと入ってきそうだ。
他にも説明がもう少しあったらなと思うものはいくつかあるが、丁寧にはしないところが良いのかもしれない。
以下はざっくりストーリー。
ティボは楽団の練習中に倒れる。白血病だった。妹に骨髄移植を頼むと審査の結果血縁関係にないことが分かる。ティボは生い立ちを調べ血を分けた弟がいることを知る。
弟ジミーはティボとは反対に学食でバイトしているようで貧しいようだ。娘はいるが妻とは離婚しているのだと思う。
ティボはジミーに会い、骨髄移植してもらい白血病を治療した。ティボの容体が良くなると2人は交流を持つようになる。
ジミーは地元の楽団でトロンボーンを吹いている。ジミーは絶対音感があるなど、ティボと同じく音楽家としての才能があったようだ。
ある時、ティボは骨髄移植が失敗したことをジミーに告げる。
ティボは体調不良のなか、コンサートを完結した。拍手喝采の中、ジミーたち楽団が客席から立ち上がり、皆でボレロを演奏した。
ボレロを聴きながら満足そうな顔をするティボは何を思うのか、映画はここで終わる。
ふたつの音はユニゾンになり、やがてポリフォニーへ
作品自体は有り体に言えば、映画『ブラス!』に生きる環境が違う生き別れの兄弟モノと不治の病モノを足した感じ。
でも、それだけじゃなかった。
指揮者として世界的名声を得て、忙しいけれど豊かで何の不自由もない生活を送る兄と、絶対音感を持つものの見出されず、勤務先の工場閉鎖の憂き目に遭いながらもドン底の中でブラスバンドでトロンボーンを吹く弟。
兄が白血病に侵されて家族間骨髄移植のための検査で己の出自を知り、生き別れの弟に骨髄提供を願いに訪れてから反発しながらも協力するまでがあっけないほどにサラリと描かれていて、疑問に思っていたけど、その後の展開を思えば端折って正解だったと思う。
タイトルの『ファンファーレ』は、兄にとっては皮肉だけど、弟の人生には紛れもない『始まり』の啓示。
二人がそれぞれに奏で始めた音が、ひとつの音になり、周りの人々を巻き込んで、人々が二人のことを、兄の業績のことを、弟のブラスバンドや会社のことを語る未来までが見える。
最高のエンディング!
ストーリーは、こうなるんだろうな、を裏切り続けて、最高のエンディングに!!!
そこで、「ボレロ」を選ばれましたか!
最高の選曲です。
裏切り続けた展開で、もしかしたら主人公が指揮を終えた後に、、、と思わせておいての「ボレロ」。
その音楽の輪がどんどんホール中に広がっていく音楽の奇跡!
自然と涙が溢れる今年最高のエンターテイメントの一作でした。
お薦めです!
2つの音色
音楽に心の繋がりを感じる兄弟ドラマ。
白血病が発覚し、2つの音色が少しずつ
時間をかけて交わって行く姿が格別。
そして育ての親の人格者。
包容力が凄い。
あの下らない茶化し方とジョークが
ヨーロッパらしい。
日常的にあるし、仲が良い証拠。
しかしボレロの使い方が上手。
厳しく諦めかけてたけど、ラストの不意討ちが傑作。
ボレロが込み上げてくれる気持ちを
更に上に突き上げてくれる。
有り難い作品。
これが映画だ! ※情報ゼロで見てほしい!
今季、本当に見たかった本作、
やっとやっと見ることができました!!
これ上映している最寄りのシアターでは夕方1回のみの上映で、ホンっとにどうやったらさ、誰がその時間に合わせられるんだよ~~(泣) だったのですよ。学生さんかい?朝の方がまだイケるかも??こういう本当に素晴らしい作品はね、レイトショー帯に入れてほしいんですよね…。
だって、見終わっても所詮はゴールデンタイムだから、他の観客たくさんいるのにね、いい歳こいたオッサンが目を赤くして出てくるの…照れるぜえ??
喜怒哀楽すべてを引っ張り出された挙げ句に涙、涙、涙 (T_T)
のラストでした。
でもこの涙の種類は、自分でいっちゃうけども、
ものすごーく!あったけえソレなんだよねえ…。
(うっ、ラスト思い出してまた泣けてきた…(^_^;)
結論 言っちゃうと、本作品、マジでマジっで!最高の映画!
僕は普段から甘め採点だが、これは★6
国際映画祭でも何でもかかってこいと。
映画としてこの作品みて否定できる映画人っているのかいな?
ってほどです。はい、言い切ります( ̄ー ̄)ニヤリ
***
で、ですねえ、
見た人はわかると思うけど、最後の最後にダンっ!て暗転して終わる。そして数秒間無音。タイトル出る。で、エンドクレジット流れるんですよ。
その無音が!凄いのですよ。
拍手喝采が【聞こえる】んですよ。
(ちょっと何言ってるかわかんない?)
いや、聞こえてくるハズ!!
これ絶対に狙ってやってると思うし、あざとさなんか思いもせずに感情がそっち(拍手)に動いてしまっているのですよ。
で、僕も拍手喝采してるんです!心で!(になっちゃう日本人…)
海外とかだったらゼッタイここスタンディングオベーションだろうなって思いました。
~~~
さんざ泣いたジジイがふらつきながらシアター出ると、本作のポスターが貼ってあるじゃないですか?
このポスターの二人見るとですね?
はい、見た人は、分かるよねえ~~???
ラストシーンの後のワンショットにしか見えなくないですか?
もー、映画館出る瞬間まであったけえ気持ちになったわけです。
~~~
役者、最高です。
音楽、最高です。
ストーリー、映画そのもので最高!
ラスト、僕は、読めなかった。
一言で言って、意外だった。
その意外さが、むちゃくちゃ粋。
てやんでえ…泣かせるじゃねえか(グスン)
フィナーレは 目頭熱く ファンファーレ
「ファンファーレ! ふたつの音」 観ました。
【所感】
※これから観る人はスルー願います。何の事前情報もなく観たら面白さ100倍です。
もともと観るつもりはなかったのですが、ある方のおすすめやネットでの評判も踏まえて鑑賞しました。ストーリーはべたべたのお涙ものですが、テンポよく進み、テンポよく泣かされます。上映中ほとんど泣いていました。
「白血病 移植が合わず 迷い道」、「白血病 DNAで わかること」、「白血病 実は親族 他にいた」、といった白血病ものと音楽もの、兄弟愛の物語が巧みに組み合わさって進行します。悪人は登場しません。でも、きっとハリウッドでリメイクされる際には、余計な悪人が設定されるでしょうね。
白血病になる世界的な指揮者も、その弟も共感できる設定で、演じる役者もぴったりで演技に泣かせられます。つぶれそうな工場の工員たちもみんな個性的で魅力的。クライマックスは事前情報で覚悟していましたが、号泣でした。フランス映画で、知っている俳優がひとりもいないのも新鮮でした。
今年度観た映画の中では間違いなくベストです。上映時間104分もGOOD。
まだ、劇場で上映しています。是非おすすめします。
※泣ける映画ですが、笑える場面も多々あります。
※この映画を観て、「8番出口」は決して観ないようにしようと思いました。観た人なら同感してもらえると思います。
10/10 酔爺
兄弟愛
盛り上がって盛り上がってのここで終わり、この先は自分たちで考えてくださいエンド。
きっとなんやかんやあって幸せな未来が待ち受けているのだと自己願望的解釈をしておこうかね。
全体的に良いけど、主人公の普段の言動からして育ての親にもっと感謝の気持ちがあっても良さそうだけどなぁと思ったり。
良い作品です。
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