「かたや国際的に有名なスター指揮者 こなた学校給食の料理人で余暇には地元アマチュア吹奏楽団のトロンボーン奏者 別々に育った兄と弟の物語 感動の大団円に涙涙また涙の拍手喝采」ファンファーレ!ふたつの音 Freddie3vさんの映画レビュー(感想・評価)
かたや国際的に有名なスター指揮者 こなた学校給食の料理人で余暇には地元アマチュア吹奏楽団のトロンボーン奏者 別々に育った兄と弟の物語 感動の大団円に涙涙また涙の拍手喝采
有名な指揮者であるティボが白血病を宣告され、髄液のドナーを探す過程で自分の出生の秘密を知り、フランス北部の炭鉱町で暮らす実の弟のジミーを探し出しドナーになってもらいます。そこから始まる兄と弟の交流の物語です。
兄のティボのほうはパリの裕福な家庭で育ち、幼少の頃から音楽に親しみ、自身の音楽の才能を十二分に開花させることができました。弟のジミーのほうはフランス北部の炭鉱町の労働者階級の家庭で育ち、後に兄にもすぐに気づかれるほどの絶対音感の持ち主であるにもかかわらず、才能を大きく伸ばす環境には恵まれませんでした(まあでも音楽好きで地元のアマチュア吹奏楽団でトロンボーンを吹いてはいるんですけどね)。ティボはその不公平を正そうと仕事で忙しい中、ジミーに音楽に関する助言をするようになります。最初のうちは仲がよかったんですが、やがてジミーは兄のことを宝くじに当たった人みたいな言い方をして反発するようになります。
まあ、このあたりはありがちな脚本であり、やがては仲直りして、ふたりとも未来に向かって進んでゆくみたいな予定調和的な大団円を迎えるんだろうな、といったあたりは容易に想像がつきます。また、ジミーが参加している楽団の多くのメンバーが働いている工場が経営不振で閉鎖されることになり、楽団の存続•維持が危うくなってきます。彼らは労働者の尊厳のもとに労働運動も展開するのですが……
一方、ティボのほうは成功したと思っていた手術の予後が思わしくなく、手術が実は失敗だったと告げられ、体調が悪いことも手伝って落ち込むことになります。やがて迎えたコンサートの日、ティボは頭痛に襲われながらも懸命に指揮棒を振るのですが……
もう、ここからは本篇で確かめるしない感動の嵐です。予定調和だと思っていたのですが、想像をはるかに上回る見事なフィナーレでした。ボレロはかねてから映画と親和性が高いと思っていましたが、こんなにも効果的に使ってくるとは。涙が止まりませんでした。
ということで、目頭が熱くなりながらも多幸感あふれるエンディングなのですが、ティボの今後を考えるとなんだか切ない気持ちにもなってきます。日本語のことわざに「禍福は糾える縄の如し」というのがあります。ティボはジミーに宝くじに当たったみたいな人生を過ごしていると思われていたのかもしれませんが、幸運の後の不運に見舞われた感じでした。
まあでも今は多幸感あふれるフィナーレに没入して、ブラボーと叫び、拍手喝采を送るとしますか。
たくさんの共感+フォローいただきありがとうございます😊 映画についてのプロフィ文にとても共感しました!人のこころは奥深いですから、時により環境により感受が変わりますよね!本作「ファンファーレ」も、そんな一本かと思いますね。
共感ありがとうございます。
今にして思えば、客席(特に工場楽団の連中)とステージ(楽団)とには残酷な迄の差(楽器が無い)があった。彼等が格差を超えて、聴衆を巻き込んでお兄さんに贈った!とも取れるなと思います。


