「現実とフィクションのバランスが良い」ファンファーレ!ふたつの音 オパーリンブルーさんの映画レビュー(感想・評価)
現実とフィクションのバランスが良い
サブタイトルの「ふたつの音」の意味を見終えて気づいた
NHKの「あさイチ」の映画紹介コーナーで取り上げられていて、だいぶ前から楽しみにしていた作品。ラストに驚かされますとコメントされていて、これも納得
とにかくテンポが良い。骨髄移植は提供する方も負担が大きいので、そこを描くのに時間かかるかと思っていたら、次のシーンでティボは寛解していた(笑)
育ちが異なる二人の交流が本格的に始まるのは骨髄移植後、快癒報告にティボが訪ねてきてから。二人とも音楽の趣味が似ていて、ふたりは少年のようにジャズの響きに時間を忘れて盛り上がってしまう
ジミーが町の炭鉱音楽隊でトロンボーンを吹く姿を見て、彼が絶対音感を持つことに気づき、ふたりは音楽を介して交流をもつ
二人が養子に出された理由。母親が兄を育てられないと見做され養子に出される。その後に弟も生まれるが、これも育児放棄されて叔母に長いこと預けっぱなしで育ち、そのまま叔母夫婦の養子として育つ
資産家のティボの家に、当時弟を引き取れないか?と打診はあったが、ティボの養父母が待ち望んだ実子を妊娠中で断られていた
叔母の家も弟を引き取ったことで兄も一緒に養育しようかとも思ったが、先立つものがなくて断念していたという過去がある。至って現実的な事情がのしかかっていた
【ここから ちょっとネタバレ】
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兄から新品のトロンボーンを贈られたジミーは(学食でトラブルを起こしたこともあって)本格的なオーケストラの欠員募集に志願。舞台側には大きな衝立があり、演者と審査員の姿を遮断され、実力のみが評価される真剣勝負(まるで「芸能人格付けチェック」(笑))。1分も演奏させて貰えずに審査終了を告げられ、追いかけてきたティボに「音楽学校の首席卒業生とか、1日15時間も練習しているような連中には勝てない」と現実を告げられる
ティボの間接的な指導を受けて、町の音楽隊は地域のコンクールに出場するが、これもハプニングに見舞われる
音楽隊の練習場所の公民館は、目立ちたがりの市長の横槍でカントリーダンスの練習場に変わってしまう
音楽隊のメンバー大半が所属する炭鉱工場は、日夜行われている閉鎖反対のデモにも関わらず、工場機械が搬出されてしまう
この手の映画にありがちな、弟が隠れた才能を発揮して成功!とか
有名指揮者の兄の手引きで音楽隊が脚光を浴び、それをきっかけに町の炭鉱産業が盛り返す!とかも無い
むしろラスト間近に、悲しい現実が影を落とす――
監督はわざとこんな構成にしたそう。日々の暮らしはそんなに甘いものじゃないけれど、ラストシーンのようなとても嬉しい出来事もあるので、我々は生きていけるのだ…と
ラスト、泣けました
アマチュアとプロ、圧倒的な技量の差はあれど、あの空間でひとつの感動を生み出していました
ティボとジミーのふたつの音が、高らかにファンファーレを鳴らしていました
【蛇足①】監督のインタビュー記事によると、その後ジミーは子どもの楽団の指揮者になるエピソードがあって、撮了していたそう。しかし「ボレロ」のシーンで終幕が良かろうということで割愛し、DVDの特典として配布するそうな…ちょっと見たいですね♪
【②】エンドタイトル、音楽が売りの映画にしてはショボい音楽で、タイトルロール終わったら、音楽としては途中ブチッと切れた。ちょっと呆気にとられました
オパーリンブルーさん、フォローありがとうございます。・_・
>単館系の映画はスタッフさんのお手製コメントや、映画評の切抜きとか
>掲示してあって
私の良く行く映画館(単館系)も記事のピンナップ等が貼ってあり
鑑賞した作品を中心に読んで帰ることが多いです。
シネコンでは味わえない、単館系の良いところですね。-v-
こちらからもフォローさせていただきました。
よろしくお願いいたします。
オパーリンブルーさん、コメントありがとうございます。・_・
レビュー拝読しました。
監督判断でカットされたエンディング後のエピソードがあっ
たとは知りませんでした。
個人的には「ジミーが子どもの楽団の指揮者になる」エピソ
ードが欲しかったなぁ と、しみじみ思います。・-・
もちろん、どんなエンディングにするかは監督の判断次第か
とは思うのですが、DVDに特典として収録するくらいの内容
ということは、カットするか否か相当悩んだ末の判断だった
のだろうかとも推察します。
ボレロの演奏シーン自体は、とても心に響くものでした。そ
れだけに、作品の印象が下がったままでいるのも心が落ち着
かない状態でいたのですが、子ども楽団を指揮するジミーを
想像すると、どんよりとした心が軽くなっていくような気が
します。
教えていただいてありがとうございました。
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