ナイトフラワーのレビュー・感想・評価
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ぜったい負けへんで
2027年朝ドラの主演に決まった森田望智がどんな演技をするかに関心があり、観に行きました。
いきなり、北川景子が泥酔してトイレでうなっているシーンからはじまり、度肝を抜かれました。『ばけばけ』の雨清水タエをはじめ、2018年大河ドラマでの篤姫など、今まで気品のある役を演じているところしか記憶になかったので、衝撃を受けました。
2020年のNHKプレミアムドラマ『一億円のさようなら』での衣笠夏代役以来、森田望智には注目していましたが、『全裸監督』での黒木香役や、『いつか、無重力の宙で』での日比野ひかり役、『虎に翼』ではトラちゃんの親友の花江役など、いつも違う側面を見せてくれます。今回は格闘家芳井多摩恵役で、身体の切れや歩き方からしてまさにそのもの。素晴らしい演技をしています。第50回報知映画賞の助演女優賞を受賞したのもむべなるかな。アカデミー賞も受賞すると思います。ちなみに、助演男優賞は『爆弾』の佐藤二朗と思っています。
永島夏希(北川景子)の娘小春役の渡瀬結美もきりっとしていて、とてもよかったです。でも、レヴューアーは、北川景子が現在、もっとも美しく気高い女優だと思っているので、演技はもちろんよかったのだけど、ドラッグの売人は似合わなかったというのが感想です。
それにしても最後のシーンで、星崎みゆき(田中麗奈)が銃口を向け、また銃声もしたはずなのに、小春があっけらかんとして、多摩恵と玄関から入ってきたのが、つながりませんでした。
血が繋がっていなくとも家族になれる
シングルマザーである夏希は子どもたち二人を抱えて東京に上京してきた。彼女は夫が残した借金の返済のために昼も夜も必死に働く。
ある日の夜、夏希は偶然にもドラッグの密売現場に出くわしてしまい、錠剤を手に入れてしまった彼女は、子どもたちのために自らもドラックの売人になると決意したのだった。
夜の街のルールを知らないためにトラブルに見舞われる夏希だったが、そこに手を差し伸べたのは、格闘家の多摩恵だった。見かねた多摩恵は夏希のボディガードを買って出て、ドラックの密売を始めるのだった。
そんなとき、彼女らのドラックを使用していた、とある女子大生の事故死がきっかけで、物語は大きく狂い始める…。
北川景子演じる主人公・夏希たちが生きる「夜」はあまりにも過酷で、けれどアンリ・ルソーの絵画のようにどこか幻想的でもあった。
この映画の凄みは、「貧困」と「暴力」を一枚の絵画のように同時に描いてみせる演出にある。
特に忘れられないのが、夏希が「餃子」と「MDMA」を手にするシーンだ。
本来、餃子は中国文化において「家族の団結」や「富」の象徴とされる。しかし、夏希にはそれを買う金がなく、ゴミ捨て場の廃棄弁当(餃子)に手を伸ばすしかない。
そしてその汚れた手で、襲われた売人の懐からこぼれ落ちたMDMAをも掴み取る。
「生きるための糧(家族の象徴)」はゴミの中にあり、人を破滅させる「毒(MDMA)」は宝石やお菓子のようにカラフルに輝いている。
この皮肉で残酷な対比が、彼女たちが置かれた状況のすべてを物語っていた。
また、カメラが執拗なまでに「現金の受け渡し」にフォーカスしている点も見逃せない。
作中、何人もの客がMDMAを買い求め、現金を手渡す手元が何度も映し出される。
そしてその演出は、娘を失った母親・星崎が復讐のために「拳銃」を買うシーンへと接続されるように感じた。
ドラッグを買う手と、人殺しの道具を買う手。
対象は違えど、そこにあるのは「金を支払うことで、人としての何か(代償)を差し出し、一線を超えていく」という共通のプロセスだ。この映像的なリンクが、登場人物全員が逃れられない地獄の連鎖を表現しているように思う。
しかし一方で、この物語はそんな機能不全に陥った社会の中で、MDMAという違法なツールを通じて繋がった「仮初めの家族」を描き出す。
「血が繋がっていれば家族」なのではない。同じ夜を共有し、傷だらけになりながら互いを守ろうとした瞬間、彼らは間違いなく家族だったように思う。
そして、冒頭のトイレのシーンで壁に飾られていたアンリ・ルソーの『夢』。
見終わってから考えたけれど、ジャングルという楽園を描いたあの絵画は、単なる背景ではない。ラストシーンで彼らが辿り着こうとする「旅行(楽園)」を、物語の最初から暗示していたのではないか。
そう考えると、冒頭と結末が美しい円環で繋がっていることに気づく。
苦しいけれど、見てよかった。
「深夜高速」を走り抜けるような疾走感と切なさが残る傑作。
何を伝えたいのか、よく分からなかった
「お母ちゃん」がキーワードだとは思うけど、何を伝えたいのかよく分からなかった。血が飛び散るシーンは数多くあるが、アクションでもハードボイルドでもなく、「お母ちゃん」というファミリー愛というわけでもなさそう。
北川景子演じる母親はお金を稼ぐために、掛け持ちで仕事をやりつつ2人の子供を育てている。こういう家庭のために生活保護制度があると思うんだが、どうなっているんだ。低額の児童手当の話しか出てこない。この映画を観ると母子家庭の人たちは絶望するんじゃないかな?と思ってしまう。
たまえ役の森田望智(みさと)は凄い。格闘家としての風貌・所作、そして試合での殴り合い。全てが迫力あるし、真に迫っている。こんな女優いたっけ?と調べたら、あのNHK朝ドラ「虎に翼」の花江さん役をやっていてたまげた。ほわっとしたなかに、女性の優しさと専業主婦としての誇りを滲みだしていた人と同一人物とは。彼女の次回出演作に期待だな。
ラストあたり、事故死した薬物中毒の女子高生の母親役の田中麗奈がピストルを取り出そうとした後の銃声らしき爆音。あれはいったい何だったのだろうか?彼女はあの後どうしたのだろうか?興味というより疑問しかない。
ただ、これで夫からの束縛から開放されたんだろうな、と勝手に想像した。
いったいこの映画は、私に何を伝えたかったのかは、今だに分からない。
生きていてよかった。そんな夜を探してる。
麻薬の密売人、渋谷龍太が際立って迫力があり、
はまっていて、怖さすら醸し出す。
母親に聞く、
"麻薬を多く裁くとは、
他の子どもを潰してでも、自分の子どもの夢に向けて、
お金を作ることになる。"それでいいのかを確認する。
自分の子どもの為に、時に、親は、犯罪に手を出す事がある。その上での答えは何か?親の責任は?愛とは?
"気まぐれか、ただの運だけか.ひとりよがりの愛か?
ナイトフラワーとは?
"社会のなかで生きていく中で、他者への愛は?
冒頭に流れる
『深夜高速』。まさか、この歌詞が、メインテーマか?
北川景子が叫ぶよう、魂を込めて唄う
【生きていてよかった。そんな夜を探している。】
そんな夜に咲く花を探している。
カラオケ!いいね!主人公の叫び!!
冒頭のカラオケ、なんとも言えない迫力があったね。出だしは良かった。不幸の連鎖も映画として観れば悪くない。あれ?★5かな?とおもったけど、、、、
ラストはなんだったの?
あそこだけ妄想?
それともラストシーンが妄想?
銃声は?あそこで、ガクッときたね。
田中麗奈の銃の構え方、子ども狙う角度じゃないよ。
3つの質問、隠す意味ある?
最初北川景子の大阪弁が微妙だったけど、まあ、慣れるか。予告の雨のシーン、演技がねぇ
幼馴染の男はなんでやられたの?二人の居場所吐かせるため?どこつれてかれたの?消されるの?そういう肝心なとこ省くからちょっと訳わからなくなる。
田中麗奈に銃を300万で渡しといて「変な気おこしてないですよね?」はおかしいでしょ?やる気満々じゃん。んで、ラスト撃ってないって?ちょっとむりくりだなあ。
北川ママは犯罪に手を染めるより、風俗落ちの方がリアルじゃない?そこで純潔守ってもなあ、、、
大まかなストーリーはすごく良かったんたけどね。タイトルの回収は悪くなかったけど、やはり、映画はラストが大事だよね。ラスト次第で良くも悪くもなるってことだよね。惜しかった。でも思った以上に観れたかな。サービス料金だったし。そういう意味では、よかった!かも笑
2025年劇場鑑賞50作品目(52回鑑賞)
母性とは
ミッドナイトスワンでは、バレリーナを目指す少女に希望を託す草彅剛が印象的だった。
今作も、北川景子、田中麗奈、演じる対照的な母親の姿が心に残った。
うーん、
愛情の表現は違うけれどどちらも自分の子どもの幸せを本当に考えていたのか、そうは思えない。
ナイトフラワーや、ミッドナイトスワン、どちらもこどもに愛情を注ぐが自己犠牲的な女性が描かれている。
鑑賞しながら、主人公の強い愛に震えるが、だが、これは健全ではない、と、強く思う。
貧困生活の繰り返しの中で、合理的な思考ができなくなっていく。そのプロセスを北川景子が、誠実に演じていた。
そして、助演の森田望智。
魅力的で存在感があった。彼女が家庭環境や絶望を語る場面はないが、その表情や仕草が如実に表現してリアリティある演技だなと思った。
只者ではない
この映画、予告編を見る限り、ベタベタ過ぎて全く観るリストに入れてませんでした。
報知映画祭でW女優賞を受賞したとのことで、
百聞は一見にしかずということで早速観に行くことを決めました。
すごい、何がすごいって、
美しい北川さんが不細工で下品で汚いのもだけど、
森田さんの演じ方の凄まじさがすごいに尽きる。
森田さん、『虎に翼』の義姉に、黒木香…
様々な全く違う顔を持つ。
幅の広さと役への没入感がハンパない。
普通なら逮捕されてみたいな展開があるのかと思いきや、
落差社会の不条理とやるせなさ、そして切なさ。
ラストが秀逸。
吉條さん、内田さん、素敵な作品をありがとう。
そしてこの作品の良さを教えてくれた報知映画賞もありがとう。
しかし、渋川さんの探偵、あれはないわ。
あと田中さんをもっと美しく撮ってあげてください。
赤を塗って
予告やあらすじからめちゃくちゃ重いだろうな〜と思いつつも、やっぱり観たい気持ちが勝ったので鑑賞。
特典はステッカーでした。
物語は重くありつつ、母は強しと言わんばかりの奮起奮闘の物語で、シスターフッド的な展開もありつつ、とにかく明るい未来と暗い未来のどちらにも進んでいく展開に振り回されながらもじっくり鑑賞することができました。
生活苦から抜け出すための一つの手段としてドラッグを売るという選択肢を取った夏希の判断は本当に窮地なんだなと感じましたし、そこで合流する多摩恵がボディガードとして強すぎるので、どんよりとした雰囲気を打ち負かしてくれるような爽快感もあったりして徐々に物語が上向きになっていくのが良かったです。
多摩恵が夏希家にいてどんどん雰囲気が和やかになっていくのが良かったですし、生活苦を抱えながらも鬱屈とした雰囲気が一つ抜け出せたようなものもありとても良かったです。
大量のドラッグを手にし、朝晴れの青空を2人で見上げるショットが抜群にカッコよく、このシーンを観れただけでも観にきて良かったなと思えました。
展開が悪い方向に転がっていく原因が基本的に長男の行動でお金が必要になったり、責めてしまっての自己嫌悪だったりするので、相手の子をすぐ殴ってしまう長男の暴力性は「ん?」ってなってしまいますし、それによって慰謝料が必要になったりする展開はかなりキツイなと思ったのと同時にバランス調整で雑に組み込まれたんじゃとも邪推してしまいました。
多摩恵のボクシングの試合の見応えがエゲツなかったので思わず前のめりで応援してしまうくらいの熱量でした。
練習&訓練の賜物で拝めて感動です。
終盤はそれぞれの人物のその後を描いており、拉致り拉致られの展開もあり、復讐に走るものもおり、夢を追いかけるものもおり、未来を見据えるものもおり、様々な人間模様があるのですが、かなりざっくばらんに描かれているので観ている側の解釈委ねになってしまっていたので、どこか一つのエピソードは明確なオチがあったら良かったなとは思いました。
にしてもサトウさんの母への優しさは一体どこから…そこのバックボーンはやはり詳しく知りたかったです。
ラストシーンは最初はハッピーエンドなのかな?と思いましたが、展開的なものやタイトル回収の秀逸さ含めこれは…という終わり方は強烈でした。
ナイトフラワーの意味合いをここに持ってくるか…。
役者陣の熱演が凄まじく、北川景子さんのやつれた感じから森田望智さんのフィジカルに佐久間くんの熱い感じ、ぶーやんの演技ってどうなんだろうなと思いましたが、思いの外ボスが似合っていて最高でした。
中々にヘビーでしたが、やっぱ力のある邦画を観れるのはありがたいですね。
気になるところはありつつも面白くそしてずっしりする作品でした。
鑑賞日 11/30
鑑賞時間 17:35〜19:50
美しきロマンシス
作品を読むとき、あるいは観るとき。
人は大体自分で先の展開を予想しながら物語と共に歩んでいくのではないだろうか。
しかしながら、本作品においては、最初から幸せになる道筋というか、答えが、どう考えても一つしか浮かばない。
皮肉なことに、彼女たちの表情に笑顔が増えれば増えるほど、どうか彼女たちが優しく包まれたまどろみの中で夢から醒めて、安堵して笑んだ横顔と共に何気ない日常に戻っていって欲しいと願うが、段々と明確に浮かび上がってくるその姿に抗う術もなく、過ぎた願いだと思い知らされる。
束の間の幸せ、それに倣う真似事をしたって叶いやしない。幸せになるというのは、どうしてこんなにも難しい。いつだって全ての人にとって、自身の目の前の世界が全てで現実であろうから、簡単に後ろ指を指して笑ってはいけない。得てしてままならないものなのである。
ブロマンスの女性版の言葉をロマンシスと言うらしく、全編通して描かれる2人の関係の瑞々しさが物語の陰鬱さをかき消すかのようにひたすら美しい。
きっとこれで良かったんだよなぁ。
最も美しく優しい終わり方だと思うし、観て後悔は全く無い。良かった。
再投稿
映画を観て、すぐにそのエンディングでいいんかいのと投稿しましたが、他の方の考察を拝見して再評価です。
私には絵画の意味とかは全然分かりませんが、あのエンディングはそういうことだったんだぁと納得しました。
森田さんと渋谷さんの演技に脱帽は変わりません!
全ての頑張ってる母子に幸あれ!
絶望の末に堕ちる話
日本に限らず、世界中どの国にも存在する貧困家庭を描いた暗い物語で、重すぎる話にも思えますが、ただの闇落ち映画ではありません。家族愛をメインにしたドラマを、じわっと胸に残る温度で描いています。お話も良いですが、出演する全ての方々の演技が本当に素敵です。
ラストは不穏な雰囲気のまま観客の想像にお任せするという形で終わります。賛否は別れるでしょうが、劇中で主人公が行ってきたことを考えれば恨みを買うのも当然でありましょう。私は百害あって一利なしのヤクをバラ撒く輩なんぞ、丸ごとしょっぴいて打首獄門にかけてしまえというスタンスの人間ですので、残念ではありますが当然だろうと思える最期でした。
すぐそばにあるかもしれない日常
映画ナイトフラワー
映画だからこその派手な演出というよりは「すぐ近くにあるかもしれない誰かの日常」に感じた。誰でもこうなる可能性を秘めている。
母親視点で見てしまうが、若い人にも見てほしいテーマだと感じた。
なぜそこで、誰かが居てくれたら、ここで留まって居たら、とずっと不幸の連鎖ではあるが、そんな日常でも小さな幸せや大事な人との繋がり、美しいシーンでなんとか救いがある。
さらには絵や音楽にも意味を持たせていたり、セットの小物へのこだわりを感じられて、何度か見ても楽しめるし考察も捗る。
ラストは色々な考察が楽しめそうで、答えは与えてくれない内田監督らしいラスト。
森田望智の演技がとにかく素晴らしい。ボクシングのシーンは思わず体に力が入ってしまった。
演技初だったという子役の小春ちゃん役の子も素晴らしかった。バイオリンのシーンは涙止まらず...
再来年の朝ドラヒロインがスゴい
北川景子さんも良かったが、森田望智さんがスゴかった。予備知識なしで見たら、格闘家出身かと思ってしまうレベル。「虎に翼」や「いつか無重力の宇宙で」の素敵な女優さんが、こんなエキサイティングな役処とは。これは「全裸監督」や「シティハンター」も見直さなければ。
全395件中、141~160件目を表示
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