「買って壊れるか、売って壊れるか。」ナイトフラワー サイレンスさんの映画レビュー(感想・評価)
買って壊れるか、売って壊れるか。
金のためにMDMAを売ることになった
「普通の母だった」主人公と子供たち、
手を組んでクスリを売り、
その家族と仲良くなった女性格闘家という
設定からしてダークな物語。
クスリを買うのか、それとも売るのか
やっている事は反対でも
どうやっても破滅の道に足を踏み入れてしまう。
作中でさまざまな社会問題を描きながらも
それらが特に解決される事もなく
誰かの人生だけが虚しく終わっていく様は
悲しい事ではあるが、とても現実的。
娘が隠し事をしているのでなにかと思えば
生活費の足しにするために路上でバイオリンを弾いてたり
子供がMDMAをおもちゃにして遊んでたり
警察が動くかと思えばクスリ常習者となり死んだ娘の母が
拳銃を手に復讐に動いたりと
「そうくるのか」と思える意外な展開を見せてくれる。
主演たちをはじめ、どの役者も素晴らしかったが
特に田中麗奈さんの壊れた母っぷりが強烈で
役作りのためか顔つきまで変えて臨んでいる。
狂気を孕んだ演技には感服した。
全体的にとても良い作品だったが
個人的にラストが予定調和に感じた。
こういった悪事に手を染める系は
だいたいの作品が因果応報に終わる。
この作品も途中まで見た頃に
「因果応報で終わりそうだな」と思っていたら
まさにその通りに締め括られてしまった。
後腐れのないハッピーエンドを望んでいた訳ではないが
やはり後味が悪いことには変わりないし、
ラストも『これはどっちだ?』という希望すらなく
キチンと絶望して終わるので
比較的元気な時に鑑賞したい作品。
あとはいくつかの細かい点が少し気になったので星は4。
その気になった点をいくつか例に挙げると
・元警察の探偵、娘の捜索を依頼されているのに
『ヤクの売人の写真』を見せるだろうか
せめて『娘が売人とやりとりしてる写真』とかでは
・同じく探偵、銃まで用意しといて
『おかしな事する気じゃないですよね』は少し無理がある
良心の呵責か、犯行がバレた時の言い訳作りか
・売人をわりと気軽に始末する事を決めたり
ジムで殴り殺して遺体もそのままに去ったっぽいが
それこそ警察が活発に動いてしまうのでは?
売人の住み処を把握していないのも迂闊
といったところ。
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