「親が「親」である事」ナイトフラワー U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
親が「親」である事
俺はこの物語を「なんじゃこりゃ?」と吐き捨てる程には恵まれてるのかと思う。
自分が生きてる世界以外の世界はあるのだろう。自分が持ってる価値観はおそらく自分だけの物なのだろう。
この物語は何を訴えたかったのだろうか?
この物語で救われる人はいるのだろうか?
1度落ちてしまえば這い上がれない世界観。
不幸は連鎖してくし、呼応し集うような描き方でもあった。その沼に突如足を囚われたのなら沈んでいくしかない。元凶は「金」なのか。
確かにソレが無くては何も出来ない。
メシは食えない。
卑屈にもならざるを得ない。
自己否定も始まるし、未来も見えないのだろう。
「金」に支配された人生…そんな事がやけに目立つ。
次に「子供」
コレは鶏が先か卵が先かみたいな話でもあんだけど、子供がいなければそこまで追い込まれもしないだろうと思う。
いや、親になってしまったからなのかもしれないし、母性が産み出すものを俺は分からないからこんな話をするのかもしれない。
2人の母親はいずれも子供がいたからこそ不幸になっていったようにも見える。
とはいえ、親である事を途中棄権出来るわけでもない。実際棄権する奴はいるのだろうけど、自分に連なる命に無責任でいるワケにもいかない。
子供を産むって事がリスクにしか思えない。
一定量の「金」が無ければ。
そして「親」だ。
劇中の裏社会の連中は一様に「親」って単語を使う。
そしてどいつもこいつも唾棄すべき存在のように語る。
裕福な家庭であってもその現象は起こる。
一定量以上の「金」がある家庭でも、転落は始まるし、その子は笑わない。
対して「金」に苦しめられている家庭の子は笑っている。
彼女は、シングルマザーの彼女は、不幸の連鎖を断ち切りたかったのかもしれない。
自分がどうなろうと、降り注ぐ不幸を堰き止めたかったのかもしれない。
どんな子供にも「親」はいる。
子供の成長には親から受ける影響が絶大だ。なんせ無垢のまんま生まれてくる。まっさらで白紙の状態だ。
親から学ぶ。親を真似る。
自我の根幹を形成するのは親から受ける思考と思想だ。
本能的に彼女はその血脈を食い止めたかったのかと思う。
自分だけで終わって。
子供まで巻き込まないで。
「ママ、負けへんからな。」
そう思うと、この台詞はとてつもなく深い。
なんかそんな事をレビューを書きながら思う。
どんな子供にも親はいる。
俺には孫までいる。
この映画、特に親をATM扱いする女の子を見てだけど、彼女達が帰ってきたら必ず笑顔で「おかえり」を言おうと思う。あなたが家に帰ってきた事が親である俺にはとても喜ばしい事なんだよと伝えよう。
あなたの居場所はここにある。
あなたが居て嬉しいと思う人達がいる。
そんな単純で当たり前の事を手を抜かずちゃんと伝えようと思う。
と、ここまで書いたが夜にだけ咲く花の意図が分からない。母親そのものの揶揄なんだろうか?
格闘家の子が凄かったなぁ…。
誰だろうと思って出演者をみたら全裸監督で黒木さんを演じた女優さんだとか。
めちゃくちゃ納得するも、同一人物とは思えない程で感服した。
北川さんも熱演だった。ご本人のブランドを凌駕する程でなかったけれど、しんどい役だったと思う。
冒頭、何を訴えたかったんだろうって書いたけれど、多分、母親になった時点で有無を言わさず背負わされる子供への影響を描いていたのかなぁとも思う。
理想とか幻想とか願望ではなく、根源的なもののように思う。盾にも矛にもなり得る。
親ってなぁ、偉大だな。
そう思える人間に育って良かったなと思うし、そう思ってもらえる親であればいいなと遠慮がちに思う。
あ、断っとくけど感動巨編でもなんでもない。どっちかと言うと人生には絶望しか待ってないと終始言われてる気分になる映画である。
最後は笑顔で終わるんだけど、状況は何も変わってなくて希望の所在は見えもしない。そして夜にだけ咲く花が日中に咲いてた。
尻切れ蜻蛉感、満載で終わった作品だった。
◾️追記
タイトルを「そりゃ少子化にもなるわ…」に変えようかと思う。
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