「貧困の上に残酷でリアルな心情、そして主人公2人の演技は素晴らしい映画でした。」ナイトフラワー M&R643さんの映画レビュー(感想・評価)
貧困の上に残酷でリアルな心情、そして主人公2人の演技は素晴らしい映画でした。
結論からいうと考え深いダークな映画で面白かったです。
ストーリーの流れはシングルマザーの壮絶な逼迫した家庭環境をストレートに魅せている内容なのですが、相方の森田望智が絡み出してから辺りから、とにかく延々と負のスパイラルが止まらなくなるという観ていて心が痛くなる内容でした。死に物狂いでやっているのに、限界を超えてしまい、それでも子供のために悪の道しか選べなくなるまで追い込まれる母親と、格闘技とジム経営のために身も心も捧げる格闘家の、お互い分かっていながらも止まることができずどんどんダメな沼に入っていく流れはある種地獄のようなストーリーでした。中盤、たま〜にくる一瞬の幸せも変に後の残酷さをより際立たすように感じました。あと終始、森田望智のMMAの試合は今まで観た格闘技映画のトップと言っていいくらいリアルでとても演技とは思えない完成度でした。北川景子も森田望智も表情や目線、そしてあえてボソボソ喋る感じもこの映画の世界観をより色濃くするためのナイスな演出だったと思います。北川景子の娘役の子のバイオリンのプレイもすごかったです。ああいうのは演奏中は自然に手元を隠すのがベターだとは思うのですが、観てるかぎりかなり上手に弾いているように感じました。1点だけ少し「ん?」と思ったのは最後のシーンの流れと演出は少し理解と分析がそこそこ必要だったということです。原作を読んでいなかったら、ん?どういうこと?と、なんで?の部分が多く感じました。実際上映後自分で原作を調べたらなるほどとは思いましたが、それにしては説明や理解をさせる部分が少ないかなと思ったところです。原作を読まず、映画の魅せ方だけで作者の意図を全て理解できたら逆にすごいな思えるほどに。
そこ以外は好きなジャンルと流れだったので十分楽しめました。そうですねどんな映画かと別の映画で例えると「愚か者の身分」のまた違う視点の別verといった感じでしょうか。
もちろん映画としては良かったので、ご興味がある方は是非。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
