「【北川景子の挑戦】『ナイトフラワー』レビュー|なぜ彼女は“痛い役”を選び続けるのか?」ナイトフラワー leoさんの映画レビュー(感想・評価)
【北川景子の挑戦】『ナイトフラワー』レビュー|なぜ彼女は“痛い役”を選び続けるのか?
今回は“舞台挨拶中継つき上映”で鑑賞してきました。上映後に俳優さんや監督の話が聞けるので、作品の理解が深まってすごく好きです。
そしてこの『ナイトフラワー』、今まさにイメチェンが加速している北川景子さんと、『ミッドナイトスワン』で知られる内田英治監督という注目の組み合わせ。
『ミッドナイトスワン』は海外でも多くの賞を獲得し、“追いスワン”という言葉が生まれるほどの人気でした。さて今回の『ナイトフラワー』は“追いフラワー”になるのか…?という気持ちで観てきました。
■ 感想
今回のテーマは “裏稼業 × バイオリン” という異色の組み合わせ。
タイトルにもある「ナイトフラワー=月下美人」は、“一年に一度、夜にだけ咲く花”。花言葉は、儚(はかな)さと強さを併せ(あわ)持つ花で、物語の象徴にもなっています。
● 北川景子さんの変貌ぶり
まず驚いたのは北川景子さんの“変化”。
冒頭のスナックのシーンでは、まるで昔の美保純さんのような雰囲気で、これまでの華やかなイメージとは全く違う“生活に追われる母”を体現していました。
最近は演じる役柄の振れ幅が特に広く、『あなたを奪ったその日から』の復讐に燃える母親、朝ドラ『ばけばけ』では物乞いのような境遇まで経験するなど、40代を目前に“役の幅を攻めている”印象があります。
● タマエ役・森田望智さん
森田望智(みさと)さんは半年間のトレーニングで見事な肉体を作り、肩周りの筋肉も非常にリアルでした。
ただ、もともとの柔らかい雰囲気が完全には消しきれず、荒っぽい言動やガニ股の動作が“頑張っている感”として少し出てしまっていたのは惜しいところ。
■ 惜しいポイント
この映画は、よく言えば“情報量が多い”。
悪く言うと、回収されないまま放置されているエピソードが目立ちます。以下
・夏希の息子が保育園で事件を起こす → その後の扱いが曖昧
・元夫の借金額など、重要な設定の“レベル感”が分からない
・ラストでタマエが組織の男から突きつけられる「3つの質問」
→ 内容が最後まで明かされない
全国ロードショー作品としては、もう少し観客に寄り添って、1回見ただけでストーリーの筋が掴める構成にしてほしかったと感じました。
ミニシアター系ならともかく、大衆向け映画では“難解さ”と“伏線の放置”は満足度に影響してしまいます。
■ 評価とまとめ
タイトルの“ナイトフラワー(月下美人)”の花言葉は「儚さ」と「強さ」。
これは夏希の生き様とも、曖昧さの残るラストシーンとも重なります。
都会の風景や人物の心理描写は美しく、胸に刺さる部分も多いだけに、家庭の背景やドラマの流れがもっと整理されていれば、さらに心に残る作品になったと思います。
以上
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