「海がどこまでも一途、報われない恋」ナイトフラワー ハートさんの映画レビュー(感想・評価)
海がどこまでも一途、報われない恋
子持ちには大変つらい映画でした。こはるちゃんがなにをしたっていうんだ…あんなに優しくて未来しかない子だったのに…弟くんだって、お母さんがいない間泣かずにお姉ちゃんとお留守番できてて、とてもえらかったよ。
ありがたくも休日に映画を見に行ける程度の余裕はある普通の生活水準を送っていると、世の中にはどうしてこんなに追い詰められてしまう人がいるんだろうと思ってしまいますが、就職に有利な資格やスキルがなかったり、自分を助けるための情報を知らなかったりすると、こうなってしまうのかもしれないと想像して恐ろしくなりました。
主人公が母として強くあろうとする姿に胸を打たれますが、お金を得るための方法は決して褒められたものではありません。
得たお金で『少しの贅沢』を繰り返し、旅行しようとなって新品のスーツケースを買ってしまうシーンは、目先のことしか見れずここまで困窮するに至った情報弱者らしさをリアルに描いていてゾッとしました。(本来であれば、せめてそのお金を貯めて早く売人の道から抜け、生活をまともに立て直す方が先だろうに)
この作品の中で特に印象に残ったのが佐久間大介さん演じる海くんとたまえの駐車場シーンです。大切なんだよ、とストレートに伝えてもたまえには伝わらない。大切な人を守る力が足りなくて、結局悪の道に進む手助けをしてしまったことへの罪悪感、なんとか戻したいけどどうにも出来ない焦燥感が伝わってきて、とても切なかったです。佐久間大介さんの普段のキャラクターからは想像出来ないような、普通の青年。ただそこの街で一生懸命に細々と生きているような青年役を佐久間さんが演じられることに驚きました。もっとドラマなどでも観てみたい。いい俳優でした。
ラストのシーン、夜に咲いて朝には落ちてるはずの一夜花が正午(小学生のこはるが帰宅する時間帯)に凛と咲き、先程殴られたはずのたまえに鼻血がついていなかったりするところを見ると、あれはifルート(夢のような理想の未来)だったのでしょうね。
子供が死んでしまうお話は本当にキツいですが、こうならないように真っ当に生きようと気が引き締まった想いが残る作品でした。
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