「原作とは全くの別物です」ストロベリームーン 余命半年の恋 ベーコンえっぐさんの映画レビュー(感想・評価)
原作とは全くの別物です
画は本当に美しいですし、主演の若いお二人も(どうしても「めぐるちゃんと風希くん」に思えてしまうけど)フレッシュで素敵です。
(原作は未読で鑑賞し、後追いで読みました。)
ある意味定番の「余命+恋愛」ストーリーで、奇をてらわず正攻法で描き切りました。
なので死の場面なども逆に古風な描写となっていますが、そのわりに主人公の内面・・自らの死をどう受け止め、向き合ったのか。生まれて十年かそこらで突然、「死」という運命を背負わされた「悲しみだけでは片づけられない」葛藤が抜け落ちてて感情移入がしにくいです。
當真あみさんは病気メイクをせず、スッピンメイクだったことや病気の描写がほとんどなく、何の病気なのかわからないだけでなく、悲壮感もなく亡くなりそう?には見えないのが難点といえば難点です。
また、最後の「手紙in手紙」は二重底みたいな展開でややくどく感じました。麗への手紙で感動した観客は肝心の日向への手紙につい「またやるの?」と思ってしまいますし、それを読んだ日向が何を思ったのかもわからず、肩透かし感があります。このまま話が終わってしまっては、麗があまりに可哀そうな気がします。
友情なのか愛情なのか、(ストロベリームーンなのかひまわりなのか)どっちつかずで残念です。
全般に「泣かせるまでの盛り上げる演出」が上手くなくて、盛り上がりそうなのに「ふっ」と抜けてしまうような印象でした。
當真あみさんはお人形さんのようにかわいいですし、親友役の池端杏慈さんの演技は秀逸。今回の掘り出し物?です。
ちなみに、公開後二日目の土曜日10時の回でしたが観客はなんと中年のおじさん3名だけ。ほぼ貸し切りでした。この作品を見る層は「チェンソーマン」や「国宝」に流れたのでしょうか。
追記
小説を読みました。
ティーンエイジャー向けに振り切って書かれていて、わかりやすくシンプルになっているので、小説の方が素直に感動出来ます。
読後感じるのは、映画はふたりの設定以外全くの別物だということです。
原作改変というのは映像化の一番の課題であり、デリケートな問題です。原作は若い二人の淡い初恋の日々を切り取ったようなリアル感が魅力ですが、映画化にあたり「映画的に仕上げた」場面がやはりかなり違和感があったところばかりで、なるほど。とは思いました。作り手の肩に力が入りすぎたのかもしれません。
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