俺ではない炎上のレビュー・感想・評価
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指先ひとつで誰かの人生が終わるかもしれない
SNSとはいかに恐ろしいものかをポップに分かりやすく表現していて良い作品でした。私もあなたも知らないうちに加害者になるかもしれない。そんなときに「私は悪くない」なんて言う人間にはならないようにと心に誓いました。
作品の中には小さな違和感がたくさん散りばめられていて、その伏線が回収されていく気持ちよさと予想できないラストに釘付けでした。1回じゃ物足りないです。
SNSに夢中な全人類に見てほしい!
原作からの改変が少し残念
原作小説は既読。読んでいて思わずハッとするトリックがとても印象的で、「これをどう映像化するのか」と楽しみに映画を観ました。
肝心のトリック部分は自然な形で描写されていて、途中までは「なるほど」と思わせてくれる仕上がり。
ただ、尺の都合なのか、原作で特に印象深かった展望ラウンジのエピソードが省かれていたのは残念でした。あの場面がないと犯人の動機づけが弱く感じられ、ネタバラシ後の驚きも半減してしまいます。
さらに、原作では好人物として描かれていた彼を犯人にしてしまったのは、どうにも納得できませんでした。
とはいえ映画単体で見れば、テンポよくまとまっていて、ハラハラさせる場面や笑えるやりとりもあり、十分楽しめる作品だったと思います。
後半にやや説教くささが強まったのは気になりましたが。
伏線回収と映画のつくりがいい
予告では胸糞感を楽しむ映画かと思い、主人公に感情移入したら辛いのではないかと鑑賞を躊躇したが、出演者が気になったので観た。
結果として観て良かった。
CGの演出がSNSの怖さをうまく表現しており、SNSに投稿される内容もリアルだった。
すべて無駄のないシーンで伏線回収もうまい。
さらにずっと重苦しいだけではなく、阿部さんらしい渋さとおちゃめさのある演技も楽しめて、喜怒哀楽を揺さぶるいい映画だったと思う。
ネットに浸る人にも観てもらいたいと思う作品だった。加藤純一などネットを主戦場としてうまく活用している人たちに取り上げてもらえたらなあ。
走る逃亡者
観る者を騙す仕掛けが楽しい社会派の良作
原作は未読である。SNS で謂れのない殺人犯扱いされて炎上した人物を描いている。証拠もないのに特定の人物を犯罪扱いして顔写真や住所まで晒す無関係な人間どもの、残酷さと無責任さをこれでもかと見せてくれる。社会的な地位や家庭を破壊する場合があり、当人の生命さえ危険に陥らせる重大な結果を招く可能性が高いのだから、こういうタチが悪い無責任な馬鹿どもは、犯人に準ずる重罪にすべきだと思う。
身に覚えのない犯人扱いでネットに個人情報を晒されたら、自ら警察に出頭して保護を求めるべきであるが、この主人公は逃走を図っているのがそもそも誤りである。自力で犯人を見つけるというが、協力者も手段もなしでは現実性は全くないというべきである。何故逃げたのかが終始釈然とせず、話に入り込みにくかった。
話が進むにつれて明らかになる主人公の家庭や会社での立ち位置が実に興味深かった。昭和の男にありがちな自己中心的な思い上がりで、自分が周囲からどう思われているのかを知ろうともせず、自分の正しいという思い込みを周囲に押し付ける古典的な迷惑人間である。話が進むにつれて色々と真相が見えてくるという構成も優れていた。
自分だけの正義に固執して、警察でも検察でもないのに犯人とされた人物の誤った情報を拡散したり、憎しみを煽ったりする行為が、いとも簡単に行えるようになってしまっているのが現代のスマホ社会であり、どれほど悪いことをしているのかという自覚もなしに当事者への重大な圧迫を行っているのに、自分は正義を貫いたと達成感を味わっているのだから始末に悪い。
騒ぎの当事者にされた場合の重圧の大きさと、根拠もない情報を拡散する行為の軽さの差は桁違いであり、誰もが被害者になる可能性があるのに、加害者になる気軽さはほとんど犯罪級だと言わざるを得ない。これまで同様の指摘をして来た映像作品でも、その気軽な悪意を問題視しているが、本作での指摘の仕方は非常にリアルである。
映画を観る者をしっかり術中に嵌める仕掛けも周到に用意されていて、騙される快感が味わえるのはこの作品の魅力だと思うが、誰も得をしない犯行の動機が犯人の異常性にされたせいで、やや現実感が薄れてしまったのは残念な点だと思った。阿部寛はこの情けない主人公にはそぐわない感じがしたが、芦田愛菜は流石の演技力だと思った。音楽の出来がイマイチで、エンディングの歌謡曲も雰囲気ぶち壊しだったのは頂けなかった。
(映像5+脚本4+役者4+音楽2+演出4)×4= 76 点。
芦田愛菜ちゃんの新境地
長ネギ?
偶然ですが、公開初日に観てきました。
予告、公式HPがシンプル過ぎて不安でしたが、阿部寛さん、芦田愛菜さんに惹かれて観に行ってきました。
脚本(構成?)が面白いと思いました!
終盤、頭にハテナ?が浮かぶ時間が有りましたが、最後まで観て、なるほど!!となりました。
"ありきたりな演出"と感じる方もいるかも知れませんが、令和の現代の話なのに?…ん?え??と楽しめました。
また、自分の出身地がロケ地となっている事に観ている途中で気が付き、それもまた楽しめた要因の一つでした。
ドラマちはやふるで話題の藤原大祐さんや、クセモノ俳優浜野さん、芸人の板倉さんなど、前述のお二人以外も定評のある俳優さんが多い中、長尾謙杜さんだけが個人的には残念でした。(どこか見覚えがあるなと思ったら、なにわ男子なんですね。知らなくてすみません。) 滑舌の不明瞭感は役作りだったのかな?気になりました…。もっと感情の振り幅を魅せて欲しかったです。
せっかく令和日本が題材で、CGで盛り上げているのも良い感じだったので、映画らしく音での盛り上げがもう少しあると、TVドラマとの差別化が出来て良いのになー。なんて思いました。
同上映回で観ていた客層としては高校生〜シニア世代まで様々。
若い子達は、SNSを題材にした内容に惹かれたり、若い俳優陣のファンだったりしたのかな?
年配の方は、阿部寛さんのファンの方の様でした。(鑑賞後、阿部さんの肉体美にキャッキャしてる声が聞こえてきましたw)
公式HPにもう少しお金掛けたり、SNSを使ったPRももっと駆使できていたら、公開初日からもっと話題になったのでは!?と残念に思いました。
連想される事件について(収束に向けて)説明がやや足りない
今年191本目(合計1,732本目/今月(2025年9月度)10本目)。
いわゆる無関係なところから突然出てくるネット炎上を描いた作品で、今風の作品とも言えます。誰が犯人かなんていうのはネタバレなのでアウトなのでしょうね。
SNSについて詳しいと個々有利なところはありますが(特にツイッター等)、一般的なSNSの理解で足りるのではないかな、というところです。
いわゆる問題提起の映画にしたかったのだと思いますが、そうすると説明が足りず(タイトル通り。後述)、また究極論を言えば、ツイッターにせよここにせよ、思想良心の自由・表現の自由と、個人のプライバシー権との衝突という憲法論に飛びまくる内容で、さすがにそこまでは難易度が高すぎるので飛ばした模様です。それに関しては仕方がないのでは、と思います。
作品の関係上、どうしても問題提起型の作品と解するとそのような論点がほとんど存在せず(事情を知っている人はわかる程度に過ぎない)、一方で誰が犯人か等書き始めるとアウトであり、なかなか難しいところではあります。
採点に関しては以下まで考慮しています。
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(減点0.2/私人逮捕について(刑訴法))
私人逮捕は、現行犯である場合以外に適用はありません(刑訴法参照)。
(減点0.4/民事訴訟、刑事訴訟についての考察が足りない)
この点は最大の減点幅になりますが、以下に記述します。
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(減点なし/参考/民法上の不法行為(名誉棄損)と刑法上の名誉棄損罪と裁判について)
この作品で明確に背景として考慮されている実際にあった事件として、実際に何らの関係もないところから勝手に炎上して被害にあった事件があります(スマイリー菊池さん事件。詳しくはネットで)。
この事件自体、実際にツイッター等での誹謗中傷が極端に多く、刑法上の名誉棄損罪等(当時。当時と今とでは法定刑が多少違います)も考慮されたものの、警察の言い分は「仮に全員を起訴するなら、刑事訴訟法が想定しないほどの数を起訴することになり裁判が成立せず、一方で全く関与しないとするとつり合いも取れない」というもので、いわゆる開示情報などでわかった数人のみを起訴猶予等にして終わりになっています。この点に関しては、かかわった加害者が極端に多く、それらを全員逮捕して刑事訴訟法に基づいて裁判を行うことを現行の刑法・刑事訴訟法が(当時も、現在も)到底想定しておらず、一方で「誰も責任を取らないのは納得できない」という被害者の言い分も通って、数人は寄起訴猶予等になるなど、かなりあいまいな結果を残した(1件だけ書類送検もあるのだが、それも形式的に過ぎない)実際の事件が存在します。
ただ、そのことと、民法上の不法行為(名誉棄損/709条以下)とは話が別で、民事訴訟で争うことも当然可能です。しかし、上記のことは民事訴訟にも該当し、当時の事件、あるいはこの映画で描かれるように「加害者」には未成年者も含まれるところ、その場合の立証責任が複雑怪奇になる(未成年の親側が、適切な監督を行ったか、行ったとしても事件が起きたということを立証できないとアウト(立証責任の転換論)。立証責任が相手側にうつる特殊なケース。中間責任論といったりする)等、かなり面倒な状況になります(参考にされたであろう元の事件では、民事訴訟には発展していない模様)。
※ この問題は、未成年者を被告として訴えた場合、共働きが当たり前となった今日において、本人がある程度理解して和解に向けて話が進んでいるケースは別として、軽度知的障害等が想定できる場合、「親が仕事を辞めてでも本人の世話をしろ」という議論になると、この問題とは別に、いわゆる「経済格差」が生じる問題があるため、一定の理解があればこの問題が勃発することが想定できるので、未成年者を被告とすることはまれなケースです(裁判のみならず、究極論は経済格差や共働き、年収や労働契約といった問題に分散してしまい、本人ではどうにもならない(国家(日本)の福祉の在り方といった問題に飛んでしまうため)。
ただ、本映画の内容は、何かしら元の事件(上記の事件)を参考にしていると思われるところ、民事訴訟といっても裁判所が刑事裁判か民事裁判かで異なるだけで裁判所がパンクする状況は変わらず(しかも、加害者が未成年者だと、さらに裁判は大混乱と化する)、弁護士がいくらいても足りない(訴額が140万円を超えないなら司法書士でもできるが、簡裁のみ。2審以降では登場できないため、被害者が嫌がらせで控訴した瞬間に司法書士が全員消えるという珍妙な事態も起きる。もちろん、特定の被害者が司法書士というレアな法律職にに「恨みを持つ」ということは普通ないので、「裁判を混沌とさせる」という嫌がらせ目的のほうが普通(ただ、それも法律上禁止はされない))という、民事訴訟法も想定していない状況になるため(日本の刑訴・民訴法は、このようにネット炎上により加害者が何万人単位で出てくるような状況を明らかに想定していない)、この点を問題提起したかったのかな、とは思ったものの(行政書士の資格持ちレベルではこれは明確にわかる)、それらが一切出てこないので、どうしたものかなぁ、といったところです。
俺ではない炎上
人間の悪いところが垣間見える
ちゃんとしたサスペンスミステリー
もう1度観たくなる映画でした
映画「俺ではない炎上」初日に観てきました。
いや~~、面白かったです!!
映画の仕掛けに気付いたとき「なるほど」となりました。
舞台挨拶でも話されてたように、阿部寛さんはコメディ部分が入った役柄はお久しぶりだったので、すごくハマり役で魅入りました。
SNSが核となる映画なので現代社会の通ずるところが多かったです。
発言する人、それを広める人、便乗する人、とさまざまなジャンルの人がSNSで混在して、自分もどこかの一部になっていないだろうか、飛び交う情報が本当かどうかを見極めなければ、と改めて考える映画でもありました。
そう言ったテーマ抜きに、阿部寛さんの逃亡劇だけでも見応えがあり、芦田愛菜ちゃんの迫真の演技や、長尾謙杜くんの今までにない役柄など、ストーリーが複雑なようで登場人物はそこまで多くないので、役者さん一人ひとりの魅力が光る映画ですごく見応えがありました。
ネタバレになるので、深く話せなくてもどかしいですが、ぜひ劇場で観て終盤の展開を目撃して欲しいです。
わたしは悪くない
他責思考への批判的指摘
やや道徳&ネットリテラシーを啓蒙する要素が強かったんですが、けっこう楽しめました。
・SNSでデマを拡散しておいて「自分(俺)は悪くない」と逃げる他責思考なネット民
・自分の成功体験でマウントを取る老害な上司
・普段から自分の意見を持たず、周囲に流されて雰囲気で他人を評価し、陰で悪口を言う同僚会社員
・助けを求める人間を面倒臭げに切り捨てる所轄の交番勤務の警官や、ろくに調べもせず先入観で犯人を決めつける刑事
・独善的正義漢で私人逮捕、暴行傷害、殺人を行うYouTuberや犯人
など、現代社会の歪みを徹底的に並べて、嫌味っぽく皮肉に落とし込む展開は見ごたえあり。
ただ、時間軸をずらした表現で観客にミスリードさせる点と、犯人は割と早い段階で気づいてしまった。
原作未見で拝見ながら、同じ方が書かれた『六人の嘘つきな大学生』で作家さんの癖がわかっていたことと。
昔なら『獄門島』、最近だと『ブラック・ショーマン』でもそうであったように、それなりの存在感あって配役されている役者が、どうしても犯人だとまるわかりになってしまう。
そこが惜しいところでもありますが、仕方ないところでもありますね。
誰かに陥れられて、犯人にされてしまう主人公・山縣泰介を演じるのが、阿部寛なのがよかった。
彼が、普段からSNSをまったくやっておらず、未だにシンプルな「阿部寛のホームページ」を運営しているような(しかも元はファンサイトで譲ってもらったらしいw)ネットに距離を置いていることで有名な人物なのが、役にハマっていてすごく可笑しかったです。
そして、観た後しばらく、デマと偏見と差別と分断で混迷する日本の政治と、それに対する他人事で文句ばかりなくせに平然とデマと偏見と差別と分断をリポスト拡散し、罵詈雑言飛び交うSNSでの攻撃合戦・炎上ぶりを見て、本作中の「他責思考」の指摘があまりに的を射ていることに気づかされるという皮肉さから、後味を長く楽しむ羽目になりました。
悪いと認められる強さ。
“たいすけ”というアカウントからツイートされた女性の死体写真を「すみしょー」という若者にリツイートされた事で10万越えのリツイート、で犯人の濡れ衣を着せられちゃうハウスメーカー勤務・山縣泰介の話。
事が起き、部下に俺を恨んでる奴はいないか?と問えば、仕事絡み、家族からも嫌われてる客観視出来ていない泰介、ネット情報を鵜呑みにするアホな輿論に犯人に仕立てられてしまうが…。
ストーリー上の展開に何でこの対応?逃げる!?とツッコミどこは満載だけれど面白い。アカウント名はさくらんぼのサクラちゃん何かある!?何て匂わせながも…ストーリーは進み10年以上の現代と過去の行き来の話を絡ませながらも…。
コンテナハウスですれ違いサクラの顔を見た瞬間に顔の表情を変えた彼、すぐ察せましたよね!あの表情で…てか冒頭であんだけやる気のない彼が、泰介の追い込まれてる状況を楽しんでる様にコンテナハウスで食事を用意してる姿から何か察せちゃった(笑)
とりあえずトランクス一丁にスニーカー姿でぶら下がる泰介の「何やってんだ俺はー」には笑わせてもらった。
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