劇場公開日 2025年9月26日

「総合的に素晴らしい傑作」俺ではない炎上 sho heiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 総合的に素晴らしい傑作

2025年10月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

驚く

ドキドキ

面白かった!

原作未読のまま先に見たが、浅倉秋成作品らしいミスリードが心地よかった。主人公の娘にしては…?娘の友達のえばたんの発言内容がどうもおかしい…?という疑念があったし、同じ気持ちの人も多かったはず。しかし、その疑念は他に作られたフックのおかげで一度萎んだ。だから最後の急展開を物足りなさを感じずに楽しめたのだろう。

そして、ネットに蔓延る歪んだ正義の扱い方が実にうまい。周囲の人物のほとんどが主人公を疑い、自分が正しいとの態度を崩さないのに、主人公が無実と分かった瞬間態度を翻す。人間の醜悪さも存分に描かれていて、ネットリテラシーを学ぶ教材にしても良いくらい。
ほか本筋と外れるが、阿部寛と夏川結衣の夫婦役は某フジドラマを知っていれば、念願叶った気にさせられる。頑強なのに逃亡劇で憔悴しきる阿部寛や、真相追求のため素性を隠すミステリアスな芦田愛菜、夫への複雑な感情を隠さない夏川結衣は勿論、板倉やハマケン、三宅弘城の小市民感溢れる演技も良い。キャスティングの妙を楽しむのも一興かも。テーマもストーリーもキャストも総合的に楽しめる傑作。

sho hei