「「阿部寛が体現する現代の冤罪サスペンス」」俺ではない炎上 leoさんの映画レビュー(感想・評価)
「阿部寛が体現する現代の冤罪サスペンス」
率直に言って面白かったです。
ここ最近観た『ブラック・ショーマン』や『宝島』は期待外れだったので、本作もあまり期待せず、同世代の阿部ちゃん、そして芦田愛菜の出演に惹かれて観た。
まず、この映画の妙味は、身長190センチ近い大男が逃げ惑う姿。車の陰やソファ横に隠れるシーンなど、どうしても「頭隠して尻隠さず」感が漂い、シリアスな状況なのに思わず笑ってしまう。阿部寛の存在感を逆手に取った演出が光る。
また、若手俳優陣の“今どき感”は世代ギャップを感じさせつつも新鮮。懐かしい顔ぶれも登場し、田島玲子さんがスクリーンに現れた時は驚きと嬉しさが。。。彼女は『バイオニック・ジェミー』の主演・リンゼイ・ワーグナーさんの吹き替えで一世を風靡し、まさに「テレビに出ていない番組はない」と言えるほどの女優さん。更に美保純さんも出演しており、日活ロマンポルノ『ピンクのカーテン』や『男はつらいよ』シリーズを知る世代にはたまらないキャスティング。二人のクセの強い女優さんが作品に独特のスパイスを加えていた。
テーマはまさに現代的。ネットでの誹謗中傷や不確かな情報の拡散による人格攻撃が、どれほど人を追い詰めるかを描いている。しかもそれが誤情報だったとしても誰も謝らない社会の怖さを突きつけ、幅広い世代が考えさせられる内容であった。
評価は 3.5。
阿部寛のキャラクターを生かした演出と、女子大生連続殺人事件と並行して進むサスペンス展開は分かりやすく、最後までテンポ良く楽しめた。映画は一度観ただけで物語を理解できることが重要だが、その点も十分に合格点。
あえて難を言えば、国民的娘・孫のイメージが強い芦田愛菜は、ややミスキャストに感じる部分もあった。とはいえ、全体としては見応えある作品で、鑑賞後に考えさせられる部分もあった。
