「誰もが「かくしごと」を秘めている」か「」く「」し「」ご「」と「 romiさんの映画レビュー(感想・評価)
誰もが「かくしごと」を秘めている
人はみな誰しも胸に「かくしごと」を秘めていて、だから相手の本当の気持ちなんて分からないし、目に見えている姿と本当の姿は違ったりする。
こういう人だと思っていたら全然ちがうなんてことも当然ある。
でも、なんだかんだ人は相手を観察して分析したりするし、聡い人はいるので、自分は隠しているつもりでもだだ漏れだったりするし、自分では隠さなきゃいけないと思っている部分が他人からは魅力に見えることだってある。
そんな、現実世界にもある人間と人間の複雑な関係性を、『人の気持ちが少しだけ記号になって見える』、でも完全な情報(心の声がそのまま聞こえるとか)ではなく断片的なのでその断片情報から考察するしかない、という地味な特殊能力によって可視化して、物語に仕上げられている。
原作だったかコミカライズだったかを読んだことがあり、能力の設定などはぼんやり覚えているものの、個別のキャラ造形や背景や関係性は忘れてしまっているので、どれくらい原作通りなのかは分かりませんが、映像になったことでよりドラマチックに表現されているような気がしました。
正直、恋愛関係の描写のほうはあまり興味がないので、若干眠気と闘いつつ観ましたが、ひたすら明るく天真爛漫に見える人気者キャラが実は普通に不安や自己嫌悪を持っていたり、達観したクールな個性的な魅力あるキャラが内心では負の感情を色々抱えていたり、そういう人間描写は好きなので、面白く鑑賞しました。そうだよね、みんな見たままのキャラなんかじゃないよね、と。
でもヅカくんのキャラはもうちょっと掘り下げが欲しかったな。彼視点だけ少なく、彼の内面や背景が分からなかった、原作には書いてあるのか?とりあえず原作を読み直そうと思います。
あと、主要キャストさんたちの演技がとてもよかった。特にミッキーの出口夏希さん、パラの菊池日菜子さん。
出口さんは『あの花が咲く〜』の千代ちゃん役が同じ女性でも胸を撃ち抜かれるくらい可愛くて健気で涙の演技も良かったので以降気にして出演作を見てましたが、今回の映画もすごくよかった。なんて自然な演技をされるんだろう、本当にこういう子なんじゃないかなと思わされる。これからも楽しみです。
そして菊池さん、初めましてだったのですが、クールでかっこいい容姿も、茶目っ気のある振る舞いの演技もとてもとてもよくて、ひきこまれました。今後お見かけしたらぜひ観たい役者さんです。