TOKYOタクシーのレビュー・感想・評価
全97件中、21~40件目を表示
「パリタクシー」が素晴らしいと改めて教えてくれます。
山田洋次監督の「パリタクシー」を題材にした理由として
「内容は重いのに何故ここまで軽快かつユーモラスに観られるのか。どんなところにその秘密があるのだろうかと考えさせられた」
「こんな時代だからこそ軽やかに 楽しく観られる作品を観たいという気持ちが僕にもあるし、この素材はそのような作品になりえるのではないかと思う」とコメント。
そのコメントどおり、「パリタクシー」のベースをしっかりと踏まえています。
金の工面に頭を悩ませて、労働環境の不満、社会に対する苛立ちなど、とにかくイライラしている運転手という設定、おばあちゃんとの出会いによって、冒頭しかめっ面だった運転手の顔が徐々に紳士の表情を見せていく過程はそのままです。フランスではなく、東京という特有の雰囲気を合わせていますが、ここは「男はつらいょ」で培った表現力が発揮されています。おばあちやんの過去についても刑務所生活や息子との別れも網羅されています。こちらの方が大げさではなくむしろリアルに感じました。
冒頭のすごく着飾った装いでいかにも金持ちマダムとして登場、大企業の社長夫人設定と思ったら、単身アメリカに渡ってネイルアートを学び、日本でネイルサロンの先駆け的存在として成功していたとは中々の発想です。
ラストはいい感じでフェイドアウトではなく、ここは山田監督。ガッツリと描き切ってちょっとした出会いにより一人の男とその家族の未来までも変えてしまう奇跡の物語としています。
そして、本作での見どころに木村拓哉の出演です。誰が言ったか「何を演じてもキムタク」といいにつけ、悪いにつけ評価されました。しかし、それが封じられてしまいました。
基本倍賞千恵子の話を聞く立場にあるので、普段受け手の芝居なので「キムタク」が発揮できません。これはこれでありでした。
しかし、絶妙な目配せをする、もう一度仮眠を取ろうとアイマスクを着用しようとするもうまくはめられず、結果外して布団被って寝る小芝居、車から降りた後、車のキーリモコンを使う仕草など、細かいところはキムタクです。
サービスシーンでは、優香です。シュークリームを食べるシーンです。監督の演出ではなく、志村けんから培った表現力です。
パリタクシー鑑賞者としては、うまくリメークしていますが、やはりオリジナルが素晴らしいからと再確認しました。
オリジナルと比較しなければ良作
パリタクシーがあまりに良かったので
そこと比較しちゃうと残念な気持ちにはなりますが
キムタクがキムタクを8割方封じていたので
とてもよかったです。(めちゃくちゃ褒めています)
それでもオリジナルではとてもくたびれ、
人生にも投げやりになり掛けていた運転手だったので
キムタクはやはりかっこよすぎましたけども。
正直、山田洋次監督らしさ全開過ぎました。
美しい銀杏並木や東京駅、東京タワーなど
こちらとしては、はとバスならぬハトタクシーにでも
乗ってるかのような錯覚を覚えつつ
すみれの語りに耳を傾けるそんな感じでした。
まぁ同僚?先輩のタクシー運転手や実姉を
あのキャストにしたのは狙いすぎているようで
個人的にはちょっとシラケたかも。
良くも悪くも山田洋次らしい作品
<総評>
良くも悪くも山田洋次らしい作品だと思いました。
話の流れに違和感がなく、ところどころポリコレが散りばめられているものの、そこまで主張の激しさや強引さは感じられないので、許容範囲だった。
ただ、山田洋次らしさが強すぎて、話のスケールが寅さん時代から広げられていないと感じた。
<あらすじ>
家族を養うために個人タクシーで運転手として働く宇佐美浩二(キムタク)。夜勤明けに新規で予約が入り、その予約客が高野すみれ(男はつらいよのさくら)というマダムで、そのマダムに振り回されつつもお互いに打ち解けていく…というストーリー。
<気になった点>
すみれマダムの過去話を聞きながら展開が進んでいくのだが、話の内容やスケールが寅さん時代から使い古されているようなネタが多く、焼き直しレベルにしか見えない。
ただ、この手のネタが好きな人にとっては問題のない完成度の構成だと思われる。
以下、使い古されたネタと感じたもの一覧
・若い頃に好きな男とできちゃったものの、子どもができたことに気づかずに別れてしまう
・子どもを育てながらも、男を作って映画館にいちゃつく(その間子どもは母親に預ける)
・結婚した男が亭主関白で、前の男の子どもが気に食わずに虐待する。すみれには自分の子どもが欲しいと言って、カラダの関係を迫る(結婚して夫婦の関係なのにね)
・すみれが刑務所に入ったことで、息子がグレてバイクの事故で亡くなる…などなど
一番すごいなと感じた点は、結婚した男の「昭和の男」らしさというか、幼児性をうまく表現できていたと思う。
この男はおそらくそんなにモテるわけではなく、コブ付きのすみれを狙って結婚まで持ち込んだものの、己の欲求(甘えたい、自分の子どもが欲しい)が満たされないがために妻や連れ子に当たり散らし、結果破局してしまうのは救いがないように思える。
裁判で男性機能がなくなった旦那に対して、すみれの「世の中のためになったと思います!」という発言は、山田洋次らしい発言のように思える。リアルに考えると、性機能がなくなるどころでは済まないレベルだと思うが…
刑務所に入るまでがクライマックスで、ここから話のスケールが一気に限界を迎える。出所後は美容院で働き、外国人のネイルに憧れて渡米し、働きながら勉強してネイルアーティストになって…と膨らませられそうな話題が出てくるものの、ここからの描写は段々と言葉だけ済ませられる。このネイルアーティストの設定のおかげで、すみれはリッチなマダムになれたのだが掘り下げがないせいで無駄設定と化しているように思える。これならお金持ちの人と再婚したほうがまだ自然なように感じる。
この辺りの描写の少なさから、下町スケールの話しか組み立てられないのではないか?と感じました。それが悪いと言いたいわけではないが、感動するには物足りなかったです。
ただ、よかったと感じるシーンもありました。
キムタクが、すみれの旦那の虐待話を聞いたことで反省し、喧嘩していた奥さんに電話で謝ろうとするシーンにはほっこりとさせられました。
素晴らしい映画体験
原作映画であるパリタクシーは残念ながら未見。
倍賞千恵子が演じる老婦人の役名はすみれ、彼女が木村拓哉演じる浩二のタクシーに乗り込むのが柴又帝釈天前。ここからも明らかなように、この映画が彼女がさくらを演じた男はつらいよを参照しているのは明らかだ。この作品は高野すみれという架空の女性の激動の生涯を描きながら、戦中から始まる日本の歴史を東京を巡りながら辿り、更には女優である倍賞千恵子の歴史をも重ね合わせるという非常に多層的な作品となっている。またこの作品の大きなテーマの一つが男性による女性へのDVであり、蒼井優が若き日のすみれを演じる回想シーンではつらい場面が続く。ただし現代パートでの演出は軽妙で無駄がなく、2人の会話シーンが中心でありながら、テンポが良いこともあり重い回想シートとのバランスが取れている。
本作にはハッとするような名シーンがいくつかあるが、特に若き日のすみれを演じる蒼井優が、タクシーの倍賞千恵子の隣の席に突然現れ倍賞の手を握る場面。何の説明もなくシーンの解釈は観客に委ねられる。若いすみれが激動の人生を生き抜いた現代のすみれを労うようにも見えるし、蒼井優という女優が大先輩である倍賞千恵子に親しみを込めて敬愛の情を示しているようにも見える。いずれにしても、本作屈指の名シーンであり、思わず嗚咽しそうになった。
最後に木村拓哉について。本作では柔らかい受けの演技に徹していて、キムタクの役者としての新たな側面を見せている。それが監督の狙いだったらしいが、こんなキムタクをこれからも見たいと思った。娘の入学金の金策に困り妻とちょっとした言い合いになり、朝食の納豆を一生懸命かき混ぜるような普通のお父さん。いい塩梅の味わいがあった。
昭和の残り香と、木村拓哉の静かな成熟が支える「人生の残照映画」
本作を観ていると、物語そのものの起伏よりも、そこに存在する「人間の時間」がじわじわと迫ってくる。84歳の倍賞千恵子が演じる老女の、あの立ち姿、あの声の震え、あの少しゆっくりした呼吸。作り物ではなく“人生の重さそのもの”がスクリーンに染み出していて、観客は彼女の言葉を聞くというより、彼女の時間を共有させてもらっている感覚に近い。演技というより、存在の説得力。これだけで映画が成立してしまうのだから、本作はある意味でズルい。
そして木村拓哉。ここ数年で彼が纏うようになった「力みのない大人の余裕」が、この映画で見事にハマっている。かつての“主人公然とした木村拓哉”ではなく、相手の人生を静かに受け止める“聞く側”の演技ができている。無駄な感情を乗せず、距離を詰めすぎず、沈黙を大事にし、相手の話を遮らない。演技の熱量を一段引いたところに品が宿っていて、「自然な紳士」という言葉がこれほど似合う木村拓哉は初めてかもしれない。彼の成熟そのものが、この映画の温度を決めている。
ただし、物語構造は正直いびつだ。人生の終盤を描く映画にありがちな“死の気配”の伏線が弱く、いきなり訪れる死と、その直後に提示される遺産相続があまりにも急で、観客を感情の橋から落としてしまう。原作『パリタクシー』では、都市の冷たさや人生の終わりがじわじわと積み上がり、最後の別れに向けた心の準備ができる。しかし日本版は、良くも悪くも“情緒優先の昭和文法”で、物語の最後を整えるためのイベントが急に降ってくる。ここはどう考えても弱点だ。
また、「ロードムービー」のように宣伝されているわりに、旅の必然性や外界との衝突がほとんどない。東京から葉山まで移動しているはずなのに、外の世界の温度が物語に入り込まず、タクシーは旅を運ぶ器ではなく、ただの密室として機能している。旅は人を変えるものではなく、この映画では“語りを運ぶ背景”に過ぎない。この点は完全に原作との差で、都市のザラつきや傷が削ぎ落とされてしまったことで、映画が持つ社会性の部分が薄れてしまった。
とはいえ、本作を単に物語構造の粗さで切り捨てるのはもったいない。むしろこれは、昭和から平成を生き抜いた二人の役者が、その人生をスクリーンに刻む“残照の映画”だと思う。劇的な展開があるわけでも、深い社会批評があるわけでもない。ただ、老いていくということの寂しさと尊さを、倍賞千恵子の身体が語り、木村拓哉の成熟がそれを静かに受け止める。それだけで充分に胸に残る。
美しい映画とは言えない。完璧な映画でもない。けれど、人生に寄り添う映画だった。そういう作品を、たまには観てもいい。
令和のファンタジーなのか、ハッピーエンドと言えるのか A Reiwa-era fantasy, or can it really be called a happy ending?
元になった【パリタクシー】は観ていない。
観たいと思う。
鑑賞した席の周りは偶然、
演じる倍賞千恵子さんと近い年齢の方々だった。
(自分よりも20近く上の先輩方)
思わず声が出るリアクションも、
今回に限っては、むしろ好印象。
だが、途中のあるシーン以後、
倍賞千恵子さん演じる主人公に共感できなくなった。
ネタバレになってしまうが、
過去に、私生児を産み、
その後、連れ子を伴って結婚。
だがその相手と色々あり、
子供に対する暴力行為の怒りから
相手の生殖器に熱湯か熱い油(?)をかけ
殺人未遂に問われ、何年か刑務所に。
そこからは、
一命はとりとめたが、生殖機能を失った夫と
当時新聞でも話題になったこの事件の
主人公の息子のその後が気になって
引っ掛かかりながら観ることになった。
気になってもとの【パリタクシー】のあらすじを見たら
元の話も夫にした行為は同じか・・・・。
(オリジナルはガスバーナー)
夫は生殖機能と社会的な立ち位置を失い、
子供は、犯罪者の息子というラベリングで、
想像を絶する扱いを受けたことは容易に察しがつく。
終わりよければ~なのかもしれないけれど、
元夫と子供にも人生は続くわけで。
手放しに良かったとは思えない映画だった。
I haven’t seen the original film A Paris Taxi.
I’d like to.
By chance, the seats around me were occupied by people around the same age as Chieko Baisho, who plays the lead—folks easily twenty years my senior.
Their spontaneous, audible reactions actually left a good impression on me this time.
However, from a certain scene onward, I could no longer empathize with the protagonist played by Chieko Baisho.
This will involve spoilers, but:
in the past, she gave birth to a child out of wedlock,
then later married, bringing that child into the new household.
Various things happened with her husband, and in a rage over his violence toward the child,
she poured boiling water or hot oil (?) over his genitals,
was charged with attempted murder, and spent several years in prison.
From that point on, I watched with a constant snagging feeling, preoccupied with what became of the husband—who survived but lost his reproductive function—and of the protagonist’s son, after this case that had once been talked about in the newspapers.
Curious, I looked up the synopsis of the original A Paris Taxi,
and it turns out she commits the same act against her husband there as well…
(in the original, it’s with a gas burner).
The husband loses both his ability to have children and his place in society,
and it’s easy to imagine the son, branded “the child of a criminal,” being subjected to treatment beyond anything we’d care to picture.
Perhaps you could say “all’s well that ends well,”
but the ex-husband and the child also have lives that go on.
I just couldn’t see it as an unqualified “good” film.
山田監督が描いた「日本の戦後史」
原作のパリタクシーは未鑑賞です。
山田洋次監督、倍賞千恵子・木村拓哉の共演に惹かれ鑑賞しました。
昭和100年の節目の年に山田監督の昭和へのレクイエムあるいはノスタルジーを
感じられて、しみじみしました。
倍賞演じる高野すみれの波乱万丈の人生にも引き込まれました。
この映画は、評論家の町山智浩氏が指摘するようにまさに山田監督が描いた「日本の戦後史」です。在日朝鮮人の帰還事業、夫の妻や子供への暴力、男尊女卑の風潮等々。そして、現代の庶民の苦しい生活と老いへの向き合い方にも焦点を当てています。個人的には、東京大空襲への言及に山田監督の反戦への強い思いを感じましたし、すみれの在日朝鮮人との恋愛、不忍池における仲睦まじい中国人親子の描写など所々に多様性を重んじる山田イズムが感じられて良かったです。結末は何となく想像できましたが、ファンタジーですね。久々に余韻に浸れる映画でした。
女もつらいんだわ
寅さん世代ではありませんがハウルの動く城が好きなので観ました。
終始ほのぼのを想像してましたがすみれさんの人生が思いの外波乱万丈でハラハラしたので、
それも込みで楽しめました。
明石家さんまと大竹しのぶが声の出演してたところと倍賞さんが教会のところで
「南無阿弥陀仏…あっ間違えた」ってとこでクスクス笑いが起こってました。
最後、死エンドとは思ってなかったのでショックでしたが、
そのあとの「奇跡」は想像こそできたものの演出がとてもよかったので泣けました。
俳優さんみんな演技が良かったのですが蒼井優さん迫田孝也さんが素晴らしかったです。
お二人共こういう役やらせたら右に出る者はいないんじゃないかな?
蒼井優さん昭和の衣装もすごく似合ってました。
監督が倍賞さんに注いできた愛情を撮り方や歌で感じることができました。
若い人にも観て欲しい。
ヒットと聞いて、自分のことのように嬉しくなった作品の1つです。
ただ…一人息子を持つ母として苦しくなるシーンが所々あったので★は1つ減らしました笑
日本リメイクの良し悪し
舞台設定は東京に変わり、役者に合わせて役柄が変わってはいるものの、全体的には、ほぼ原作の「パリタクシー」まんまだったのが意外。
御歳94歳の山田洋次監督が見た東京の昭和100年史を目指したのだろうか?
ここからは、原作「パリタクシー」と比較して。
主人公の運転手。ちょい悪オヤジからキムタクへと変わった為、よく言えばスマート、悪く言えば味のないキャラクターになった。ちょっとイラちな部分のあった原作の方が、まるで家族の様になった雰囲気があった為、ラストへの説得力にも繋がっていた。
お客の老女、原作の92歳から85歳への変化は倍賞さんの年齢に合わせたものか?
暴力シーンが薄まっていたり、交通ルールに関する点は邦画のロードショーの限界か?
彼女の息子の死因が原作から変わっているのは、それに見合う日本の歴史上の出来事が難しかったか?しかし、かなり薄味になった事も事実。
ラスト近く、原作から変更していたと思うシチュエーション、「こんな所で終わりにしたくない、今夜はホテルで泊まりたい」という部分、山田監督がもし最後を迎えるなら、やはり人の営みを感じる街なかで、と考えられたのか、そんな思いが垣間見える気がするとともに、日本の老人ホームの住宅事情問題も見えて、この歳になると考えさせられる。
また、運転手の奥さんが圧倒的に原作の方が良い人に思えるのは、日本の教育問題も炙り出しているのか?
町山さんの配信を見て追記。
成程、戦後日本の憧れが下町を出て団地に住む事。
その姿を描いたのが山田洋次監督倍賞千恵子主演「下町の太陽」。
しかし、その団地も今や跡形もない。
そして、下町に縛り付けられたのが、寅さんシリーズ。
そのどちらもが行き着く所が、今回の老人ホーム。昼間は綺麗だが、夜は静かで不気味で淋しい。
成程、面白い。
#TOKYOタクシー
#パリタクシー
#山田洋次 監督
和風リメイクにした点は理解するものの(ネタバレがあるので注意)
今年196本目(合計1,737本目/今月(2025年11月度)1本目)。
この作品はもともと、コロナ事情のもとで放映された「パリタクシー」のリメイク版といえ、展開がやや異なる部分はありますが、リメイク作品にあたるので、展開に似た部分があります。
一方で、日本に環境をうつしたため、タクシー業界においてフランスと日本の法規制が異なる点の配慮がなかったり、この映画でテーマになる「帰国事業」についての扱いが雑であるなど(特に、帰国事業については現在も進行中の事案であり(後述)、あえて帰国事業という設定にする必要があったのかとは思える)、ややこう、配慮が足りないなというイメージです。
採点はかなりきつくしています。
---------------------------------------------------
(減点2.0/道路運送法に対する配慮が足りない)
この点、(個人)タクシーの許認可業務に行政書士はかかわるので、ある程度の知識があると、ちょっとどうなのかなという気がします。
つまり、道路運送法は
----
第二十八条 一般旅客自動車運送事業者の事業用自動車を利用する旅客は(途中略)又は走行中の自動車内でみだりに自動車の運転者に話しかけ、その他国土交通省令で定める行為をしてはならない。
第百四条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
三 第二十八条第一項(途中略)の規定に違反した者
----
…とあるので、お客さんがみだりに話しかける行為は法律上アウトで、罰金刑もつきます。これは、タクシーやバスほかで運転手が気が散らかって交通事故を起こすことを未然に防止する意味において強行規定であるためです。
このことについて配慮が足りないのは、日本とフランスのタクシーに対する法律の事情を配慮していないのでは…と思います。
(減点0.5/遺言書に対する配慮が足りない)
たとえ司法書士事務所であっても、(封のある)遺言書を家裁の検認を経ずにあけると法に触れます。
-----
(民法)
(遺言書の検認)
第千四条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
(過料)
第千五条 前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、五万円以下の過料に処する。
-----
したがって、本来は家裁が描かれるべきところが抜けているのであって、この部分の配慮は欲しかったです(ただし、この規定に違反しても、内容を改ざんなどしない限り、単に処罰されるだけで、遺言の内容自体が無効になるのではない、というのが判例)。
(減点0.5/「帰国事業」に対する配慮が足りない)
この点は長くなるので、後述します。
(減点0.2/心裡留保の善意の第三者の保護要件)
心裡留保において、本人は(意思表示の真偽につき)善意の第三者に対抗できません。
---------------------------------------------------
(減点なし/参考/いわゆる「帰国事業」について)
日本において、いわゆる「帰国事業」が大々的に行われたことは事実の通りですが、1990年頃まではソ連・中国の援助を受けていた北朝鮮のほうが国力が明らかに高く、韓国に帰るという方は稀なケースで、その中で行われた事業にあたります(現在では下記のように、北朝鮮における人権侵害が明確になったため、いわゆる漂流で来た方については、韓国に戻す扱いにしています)。
しかし、実際に楽園とうたわれた北朝鮮がそうではなかったことはご存じの通りで、この帰国事業により多くの人が「人質」に取られたため、その後のいわゆる拉致問題について対応が困難になり、また、この拉致問題については、この帰国事業がそれを引き起こした(フェリーの行き来について、当時はチェックがあいまいだったため、(暗号表を持った)スパイが多数やってきたとされます(このことを「土台人」といいます)。このように、帰国事業はいわゆる拉致問題を引き起こす「日本側のスパイを送り込んだ」ことも絡んで、現在進行中の事案でもあります。
また、この帰国事業があまりにもずさんであったため、被害者が国を訴えた裁判においても、民法の時効を理由に棄却した判例はあるものの、最近になって(令和5年)、「北朝鮮における人権侵害は日々日々行われているのだから、時効の起算点は毎日であり、終了という概念が存在しないため、時効を主張する国の見解が妥当しない」という判例(高裁判例。地裁に差し戻し)もあります(この考え方を「継続的不法行為」といいます)。
このように、帰国事業に関する色々なことは現在進行中であり(上記の地裁差戻も現在進行中の事案)、特に被害者が現在進行中に存在する中で、適当な描写のみで出すのは、それもそれでどうなのか、という気がします(他の事項ではダメだったのか、という気がする)。
とても素敵な出会いだから
山田洋次監督。御年94歳、91本目の作品。
子供の頃から映画作ってんのかい!…とさえ思う本数と変わらぬペースと精力さには頭が下がるより恐れ入る。
番宣なんかでTVに出てもしっかりとした言動。映画を作り続けているから衰えないんだね。骨の髄まで映画人。
日本と日本人の心、安定の人情作風を保ち続けているが、今回は豪勢。
山田洋次×倍賞千恵子×木村拓哉…!
寅さん、『武士の一分』、『ハウルの動く城』…。各々が組んだ事のある気心知れた関係性。
そんなビッグトリオで贈る最新作は…
中年タクシー運転手が一人の老女客を乗せる。
自宅を引き払って高齢者施設に向かう前に、思い出の場所巡りをしたいと。
お喋りな老女に当初はうんざりしていたが、次第に交流を深めていく。
タクシー運転手も人生の悩みを抱えていたが、老女も壮絶な人生を歩んでいた…。
2023年に日本でもスマッシュヒットしたフランス映画『パリタクシー』。
その年のベストの一つにも選び、是非この日本版にも乗車してみたいなぁ…と思っていたら、本当に日本リメイク。しかも、この豪華トリオで。
そもそもが邦画にも通じる人情ストーリーなので、フランスから日本へ“改造”しても何ら違和感ナシ。
それでいて、しっかりと山田作品にもなっている。
すみれと浩二の出会いが一期一会だったように、山田洋次と『パリタクシー』の出会いも一期一会だった。
乗せたのは葛飾柴又。帝釈天前。
山田作品でここと言ったら、もう!
何だか故郷でもないのに懐かしさが込み上げてきた。ついつい人ごみの中にあの四角い顔や帝釈天に源ちゃんを探しちゃったよ。あの曲も聞こえてきそうだった。
ファンにとっても山田洋次監督にとっても柴又は“聖地”。柴又にはずっと、寅さんの温もりが在り続けている。
倍賞千恵子が自宅から出てくるシーンなんて“諏訪家”と思った。名前は“さくら”から“すみれ”へ。美しい花の名前は同じだ。
浩二が妻と電話で会話。「女の人? 綺麗?」「綺麗だよ」。仰る通り! さくらの頃から倍賞さんのお美しさは変わらない。
薔薇のように上品だけど、チクチク刺がある。
浩二も当初は面倒そう。まあ、無理もないわな。勝手に一人でお喋り。パリでタクシーに乗った時も思ったけど、ばあさんの初恋の話なんぞ聞きたかねぇよ。
浩二の無愛想はプライベートの悩み事もあって。パリのシャルルは一日の仕事の忙しさで家族とぎくしゃくだったが、こちらはお金。
私立の音大に推薦で決まった娘の学費。娘の為に何とかしてやりたいけど、今の貯金じゃどうしようもない金額。
その他、家や車検でどうして?…ってくらい出費がかさむ。くたくたになって家に帰っても、妻はお金の話ばかり。妻は断腸の思いで信州の実家を売りに出すとまで。
唯一の家族旅行は妻の故郷の信州。思い出がある家を手離したくはないが…、そうも言ってられない。
俺が何とかする…と言ったけど、気が休まらない。
せめてその足しに。葛飾柴又から神奈川の葉山までの長距離移動。
稼ぎの為にお喋りやわがままに付き合う。…と思っていたけど、東京の思い出の場所巡りしたいなんて言い出したから!
葛飾柴又~浅草~スカイツリー~東京タワー~秋葉原…。東京各所から、ちょっと先に行ってしまうが夜の横浜。
各所の映像が本当に美しい。元がフランス映画だからかお洒落な雰囲気さえ感じた。
今年結局行けなかった東京旅行。一時でもそんな気分に浸らせてくれた。
すみれの若い頃と今とじゃ東京は別の町ってくらい大きく変わった。
東京も色々あった。85歳のすみれは戦争体験者。
まだ5歳だったが、はっきり覚えている。
東京大空襲。町が火に包まれ、逃げようとした人々で密集した言問橋。そこでお父ちゃんが…。
戦後80年。山田洋次は本作でも戦争の悲劇を伝える。
東京も色々あったように、すみれの人生も想像以上のものだった…。
若い頃のすみれも魅力的だった。恋もたくさんしてきた。
忘れられないのは、初恋相手の在日朝鮮人男性。
彼との短い日々は幸せだった。結ばれなかった。北朝鮮へ帰還。つまり、それは…。
しかし、遺したものが。彼との間に育まれた“生命”。
男の子を出産。勇と名付け、母が営む食堂を手伝いながら、育てる。
すみれはまた新たに恋をする。結婚したその相手・小川は真面目な男性かと思ったが…。
小川の亭主関白さが徐々に。暴力も振るう。自分だけだったら堪えていたが、暴力は勇にまで…。
許せないすみれは、睡眠薬で小川を寝かし、熱湯を小川のアソコに…!
フランス版を踏襲しているが、家庭内暴力や強引な濡れ場など山田洋次作品にしては珍しい。暗い映像もあって、一瞬これが山田作品である事を忘れたほど。
半世紀前、フランスも日本も男尊女卑や家庭内暴力は同じだった。
日本女性の美しさだけじゃなく、これまでにも女性の自立や芯の強さを描いてきた山田作品。
それを体現した近年の常連・蒼井優がさすがに巧い。(ついでに迫田サンの憎たらしさも!)
絶対に実現しては欲しくないけど、もし寅さんがリメイクされたら、さくら役は是非蒼井優で! それくらい、今=倍賞千恵子、昔=蒼井優のキャスティングもしっくり来た。
すみれは殺人未遂で有罪。懲役9年。
その間、勇が事故で…。
何て受難ばかりの人生…。死んでしまおうと思った事もあった。
しかし死んでしまったら、その後の人生やこの出会いもなかった。
ネイルに目を付け、それを学ぶ為に単身アメリカへ。ノウハウを身に付け帰国し、ネイル業で大成功。
実はお金持ちマダムのすみれ。まあ、身に付けてるものを見れば分かるけど。
谷あり山あり、服役から大成功。凄い人生…!
二生分のようなすみれの人生だけど、本人は心の底から幸せだったのか…?
息子の事もあったし、あれ以来お一人様のようだし…。
そんな時、この無愛想なタクシー運転手との出会い…。
最初は面倒臭ェって感じや話も上の空だったけど、いつしかすみれの話に聞く耳を立てる。
我々もこのタクシーの“3人目の乗客”として聞き入っていた。
浩二も次第に笑顔を見せるようになる。
ちょっとした毒舌、何気ないやり取り、ナチュラルな掛け合い…。倍賞千恵子とキムタクのケミストリー!
すみれから話で色々受けた浩二が今度はすみれにお返し。
二人でディナー、腕を組んで夜の街を歩く…いや、はっきりデート。嬉しそうなすみれに対し、ちょっと照れ臭そうな浩二が二人の性格や関係性を表している。
“無愛想”から“紳士”へ。倍賞千恵子をエスコートするキムタクは、まんまリアル・ハウル!
いつものキムタク・オーラは抑え、名匠と名女優の下で、初めてとも言える受け身の平凡な中年男を演じたキムタクが実にいい。
仕事くたくたで帰ってきて、ソファでくつろぐ姿には序盤こそ違和感あったけど、段々それも薄れて馴染んでくる。
娘に優しい父親、口では素っ気ない事言うけど奥さんを大事にする夫、ファミリーマンの姿は素…?
それでいてしっかりスター性や魅力も。ラストシーンの涙が美しい。この為のキャスティングだったんだと。
思ってた以上にフランス版を踏襲しているので、オチも分かっていた。
まさか…。突然過ぎる…。
妻を連れてまた会いに来ると約束したのに…。
分かっていても、ここはやはりしんみり。
そんな悲しみから、サプライズ過ぎるサプライズ!
フランス版通りとは言え、出来過ぎでもある。
しかし、それ以上のものがある。
知人はたくさんいるだろうが、親しい友人は居なさそうなすみれ。身内も…。
裕福成功者に見えて、壮絶な人生を歩んできた面倒臭いこんなばあさんに優しくしてくれた運転手さん。
あなたはどうして俺なんかに?…って思うだろうけど、それがその人にとって欠けがえのないものになる事だってある。
世の中にはある筈。一時の出会いがその後の人生に多大な影響与えたり、生涯忘れられなかったり。
それを、一期一会って言うんだよ。
大切な大切な、一期一会のあなたへ。
コロナや当初予定していた主演の死去でキャリアで最も苦労したであろう『キネマの神様』。
山田節全開ながら、ちょっと締まらなかった『こんにちは、母さん』。
直近の作品も悪くはないが、間違いなく直近の作品ではベスト。
94歳でまだまだ魅せてくれる!
年齢的にいつ遺作になってもおかしくないが、それでも次を乗車したくなってしまうのだ。
ロードムービーなので映像が良い
話もシンプルでわかりやすくよかったですが、倍賞千恵子の過去がやや特殊で、もう少し、普通の日本人の女性の人生的なわかりやすさ、もう少し共感のできるような、人生だったらよかったのに。と思ってしまいました。年代は違いますが刑務所に入るは特殊すぎるなと思います。法廷のシーンが番宣であったので、何かしたのかな?とは思いましたが。
木村拓哉はキザで苦手だったのですが、年相応な演技をして頑張ってるんだなと思いました。私がこの映画が山田洋次監督だけど、見てみたいけどどうしようかな?と思ってたのは木村拓哉さんが個人的にあまりはまらないからです。公開日初日に舞台挨拶の中継付きで行ったのです。(初舞台挨拶付き鑑賞の記念すべき映画)初めてみたので舞台挨拶。封切りは感動しました。横浜の冬の夜のシーンの植え込みがチューリップだったのでおや?と思っていたら、撮影は2月-4月だったのこと。さすがに植え込みまでは変えられないか。笑 植え込みに注目した自分すごい(花が好きなので)
倍賞千恵子さんはチャーミングなおばあちゃんで可愛い。蒼井優もとても可愛いし可憐。監督の作品が好きでおとうとは女優人生の転機になった作品とのこと。私は多分監督の作品は二作目。前作は「おとうと」かなと思います。家に帰って「おとうと」も見ました。
蒼井優が若い!まぁ出演者全体的に若いですが!笑
この映画に関して
息子が自殺設定は悲惨だなぁと思いました。
海外に飛んでネイルサロンはすごいなぁとは思うけどなんか現実味がない仕事なので本当はもう少し株で儲けたとか、エステサロン経営とかが良いんじゃないかなとか思った。
英語がすごくできる描写とかもないし、話の繋ぎ?設定としてはちょっと急すぎるし、不自然かなぁと。
丁度、最近、上野や横浜を一人旅で行ったので感情移入も出来、思い出深い鑑賞となりました。映像はとても綺麗だし秋に鑑賞するにはぴったり。もう一度見ても良いくらいです。見るのにあまり消耗せず、ぼーっと見れます。
これを機に舞台挨拶付きにはまりそうです。
また、この映画の評判や注目度が良いので個人的にに嬉しいです。
津南の映画館も中の雰囲気が良いしシートが広くてふかふかで居心地良いです。何気に2回目でした
なんだろう。とても泣けた
パリタクシーの映画は未観賞です。ストーリーはそれほど目新しいわけでもなく、大きな出来事があるわけでもない。それなのに何故か引き込まれて最後はめちゃ泣けてしまいました。
何より良かったのは倍賞千恵子の可愛いくて品のあるマダムな感じが素敵で、女性なら憧れるでしょう。そして愛想はないけどイケメンで中年のタクシー運転手とのツーショットもなんとお似合いなこと。1日一緒に過ごしておしゃべりして、横浜の元町デートも素敵過ぎた。
そんな彼女,とはいえ辛い人生を生きてきたことは映画が進むとわかってくる。そして最後が訪れるのだけれど、なんだか人生最後にもらったご褒美みたいな1日を大切にして手紙を書いたのだと思うと泣けてしまった。母のこと、自分のこと、老いのこと、静かな気持ちで考えた。
タクシー運転手役にキムタクなのも良かった。演技がどうとかよりその存在感がこの映画の雰囲気をワンランク上に引き上げたと思う。ファンなので欲目もあります(笑)
まったく噛み合いませんでした。
原作のパリタクシーは未鑑賞です。あくまでも本作のみへのコメントです。
死期の近い裕福な老人が偶然出会った他人とひと時交流する機会を得、感銘を受けた老人が最後にその他人の彼(彼女)に大きな贈り物をする。そこそこ使い古されたモチーフですけど、流れは悪くない。経済的余裕無いけれどいい関係性の家族を持ちややぶっきらぼうでとっつきにくそうだけれど頼まれると断れない運転手宇佐美と、身なりは裕福だけど訳ありそうで気難しそうなすみれ、タクシーの狭い車内でのやり取りが、彼女の思い出話を挟みながら、ぎこちなく、時にはすれ違いながら少しずつ深まっていく。ちょっと疲れてくたびれた中年ドライバーとしての木村さんは男前が過ぎるけど。まあいい男じゃないと話が輝かないのかもしれないだろうから致し方ないか。
深まっていくって書いたけれど、実際にはあまりそうではないのよね。最初こそギスギス感があるものの、それが収まってしまうとあんまり波風も経たず、最後まで淡々と進んでいく感じ、全然深くないんだわ。語られる彼女の人生はというと散らかっているだけで、だからどうなの?と思わずにはいられない、東京大空襲も戦後でもなかなか向上しない女性の地位が背景にある数々の苦労も心痛むけど。で彼女の前半生が波乱万丈だけどお金とは縁がなさそうで、でも今の彼女は裕福そうで目的地も葉山の(おそらくは高級な)老人施設で、そこへどう着地させるのかと期待していたら、あっさりと済まされてしまった。唐突にネイルの話になったかと思うと、ムショ帰りで愛息も失った50近い女性が一念発起して一瞬でお金持ち、以上。
もう一点、最後のほうで気になったのが入居施設の描写。時間守らないことに対する最初の電話は仕方ないとしても、出てきた従業員すべて冷たい態度はやりすぎだわ。すみれの本心が入居に前向きでないことはそれまでにもなんとなく示されているし、夜景の寂しさを見て車から降りず拒否反応になっていることで十分すぎるでしょ。こうした施設への偏見と悪意があるとしか思えない。
けっこうよかった
キムタクの感じがとてもいい。ただ3人家族で駐車場付き2階建て一軒家はオーバースペックだし、娘がクラリネットで音楽学校に行くのも無駄どころか彼女の人生にとってマイナスだ。よほどの図抜けた才能があるなら別だけど、プロの楽団は超難関で狭き門で、失敗した場合のつぶしが効かない。そういうのは富裕層の趣味的な人生だ。趣味で音楽をするならいくらでもすればいいけど、後戻りできない環境に行かせるべきではない。
タクシー運転手で、奥さんは年収103万円の壁があるとしても共働きで百何十万かの学費に苦労する。このような身の丈に合わない暮らしぶりが気になる。
なので1億円遺産をもらったとしても余計に金遣いが荒くなってタクシーを買い替えたり、もっと広い家に引っ越すのではないか。長野に実家があるなら、そっちに引っ込んでタクシーと兼業農家で、お金を残しながらとんとんくらいの暮らした方がいいのではないだろうか。
また渋谷に行ったと思ったら東京駅に出て新宿に出て東京タワーに行くなど、順路がめちゃくちゃでわざと遠回りしてタイのタクシーのようにぼったくりしているように見える。
おじいちゃんおばあちゃんでとても賑わっていた。
エピソードが弱いけど
小説が原作とか、漫画原作を映画化ということであれば「別物として」というスタンスはあり得るが、今作は映画「パリタクシー」の東京版リメイクなので、確実に比較される。
まず誰もが思うのが「タクシー運転手男前すぎる」ということ。パリタクシーの運転手は短気でイラつき、すぐ怒る、怒鳴る、見た目オッチャン。東京版は男前キムタクで、怒鳴らない、殆どイラつかない。これがエピソードの弱さに直結する。
パリタクシーで主人公は医者である兄に金の無心をするが、関係性は最新から最後まで良くない。
東京版は、公務員の姉に頼むが、姉も余裕は無い!程度のエピソードで終わってしまう。
自分のだらしなさが招いた困窮というのがフランス版だが、東京版は、可愛い娘の為の困窮。キムタクの人柄の良さだけが際立つ。
フランス版はキレ気味の運転手が、少しづつほぐれて、最後には夕食を一緒に楽しむところまで行く、しかも運転手が払う。その心の動きの高低差がドラマなんだが、東京版は高低差が少ない。
旦那のDVっぷりもフランス版と日本版では、日本版の小物っぷりが目立つ。理不尽さが小さいので、アレでソコまでやられちゃうの?って思う。もっと酷い男として描くべきだったと思う。
老人ホームでの別れのシーンもフランス版の方が納得感が高い。そもそも優しい運転手が優しく対応しました。あくまで職務上のサービスです。って匂いがしちゃうのが東京版。
フランス版は本当に心の交流が感じられるので、別れのシーンの描かれ方も情緒が高まる。
しかし、ラストシーンがフランス版は「え~~~!」って思った。遺産を手にしたと知った奥さんの喜びようが感動を根こそぎ奪っていくのだ。
日本版は、優香の抑えた演技が、遺産よりも悲しみに暮れる旦那の心情表現を消すことなく効いている。
また、キムタクの最後の後悔は蛇足と判断される可能性もある追加シナリオだが、その後悔がこれからの人生で後悔しない生き方を選ぶ布石になるのだろう。そういう演出であった。
ラストシーンは山田洋次版に軍配。だが
原作パリタクシー(原題 Une belle course)は、
今年2月にアマプラで観た。
日本版:山田洋次バージョンTOKYOタクシーは、
ごく日本的になるのは十分予想できて、
原作のエスプリは消え去るんだろうなぁ、と危惧したので、
観るのをためらったんだけれど、
ほかに観たいものがない(もしくは観たいものの都合が合わない)ので、観てみた。
そしたら、
「パリタクシー」で唯一、それはリアリティなさすぎで杜撰だろう、と思ったラストシーンに、
リアリティをもたせてて、さすが、と思ったし、
倍賞さんも木村さんも、
絶妙な演技がよかった
んだが。
* * *
日仏の映画文化の違いというか、
邦画の説明過剰と浪花節は、
どうにもならない宿痾なんでありましょうか。
日本版は、
個々のエピソードはかなり原作をなぞっているんだけれど、
観客に親切というか、
たとえばキムタクの娘の高校の入学金の話を、
何度も蒸し返してくれる。
――くどい。
* * *
日仏の女性解放運動の歴史もまた、
映画の違いに影響してる。
マドレーヌの裁判の時は、裁判所の外から
「マドレーヌに自由を!」という女性たちのシュプレヒコールが聞こえ、
裁判の妨げとなるほどだったのに、
すみれさんの場合はそんなことはない。
これは日仏の、たどった歴史の違いというしかないので、
映画でもどうしようもなかったんだろう。
* * *
また、
マドレーヌが惚れた男2人は、
ナチスドイツから解放してくれた米兵と、劇場で働いていた時の役者。
どっちも、うら若き乙女が惚れちゃう必然性たっぷり。
だが日本版では、
2人の男になぜ惚れたのかが、まったく分からない。
* * *
最悪なのは、
葉山に着いた時、すみれさんが「ホテルに泊まりたい」と駄々をこねるというシーン。
せっかくのそれまでの格好良さが、台無し。
もちろん、マドレーヌはそんなことは言わない。
* * *
なにはともあれ、
同じ話でも別の文化に移しかえるのは難しいと、
思った次第であります。
それでもラストは、
話が分かってるのにもかかわらず、
まんまと泣かされてしまったんでありますが。
山田洋次監督健全なり
フランス映画「パリタクシー」の東京版という感じでの山田洋次監督作品。「パリタクシー」は鑑賞しましたが、内容は忘れてしまいました。
タクシー運転手さんと乗客との会話をメインとした作品で今年の2月に公開された「ドライブ・イン・マンハッタン」(←ショーン・ペン、ダコダ・ジョンソン)のような作品かしら?と思いながら鑑賞しましたが、良い意味で裏切られました。
流石の山田洋次監督、笑いあり涙ありで監督して良かったです。
すみれ役の倍賞千恵子さんは、やはり安定していましたね。「男はつらいよ」のサクラさんが、良い歳の取り方をしたという感じです。(でもやはり老けましたね…男はつらいよの初期の作品では、ミニスカートでしたからね😋)
運転手役の木村拓哉さんは、最初は「どうかな?」という思いで観ていましたが、思った以上に似合ってました。妻役の優香さんも久しぶりに拝見できて良かったです。
小林稔侍さんもお元気そうでしたし、「男はつらいよ」で団子屋くるまやの店員(三平)役の北山正康さん(今作は老人ホームの施設長役)や笹野高史さんなど、山田洋次監督作品の常連さんも出ていて楽しむことができました。
ほのぼの
原作のパリタクシーがアマプラにあることは確認したがあえて未見のまま鑑賞することにしました。
見てしまうと比較することに頭を使ってしまいこの作品の感想にならない気がしたのでね。
まぁ感想としては全体的にほのぼのしているがどこか寂しさを感じる作品だった。
一番心に残ったのはやはり施設に着いたところで高野すみれが「今日は横浜のホテルに泊まりたい」と我儘を言い出すところかな。
この施設に入ればもう他に行き場所はなくなりここで余生を送るはことは分かっている。
覚悟を決めてここに来たつもりでもいざ入口まで来ると...という感じが。
この場面は胸が締め付けられました。
自分もそう遠くない将来に同じような境遇になるのかなぁとか考えつつ。
一点難をあげるとすれば序盤から運転手宇佐美が娘の学費で金銭的に困っているということを強調する場面が多かったこと。
これで最終的にどういう結末になるか丸分かりになってしまうのでラストシーンが感動的というより「良かったじゃん」に思えてしまうところかな。
これからパリタクシー見てみます。
何か書き足したくなったら書くかも知れませんので悪しからず。
85歳の女性の一生と現役世代の運転手が感じる物語
私はキムタクが演じる映画やドラマが好きではありませんが山田洋次監督作品にして倍賞千恵子さん主演と言うことで鑑賞。
人生の終わりを感じた老女が終の住まいとして選んだ施設へのタクシー移動の1日の映画なんだけど、スタートが帝釈天と言うのが嬉しい。
原作のパリタクシーを観ていないので内容も知らずだったが、85歳の高野すみれ(やっぱり花の名なのね)の一生で時代背景によるところの人間模様、変わっていくものと男が妻に対して愛を言葉にしないのは何時の時代も変わらずという点の表現は監督らしいですね。
東京大空襲から復興、経済成長、ウーマンリブ、ファッションなどの変遷、回顧シーンも素晴らしく日本の現代史と東京から横浜を巡って葉山まで東京観光のよう。
また個人的に大嫌いな言葉だが「老害」とネット上をはじめ昨今の若者にとって煩わしく感じる高齢者の事を一言で老害というが、戦中戦後を生き抜いてきた人生の先輩をもっと敬うべきなのではと運転手の宇佐美浩二を通して言いたかったのだろうとさえ思った。
誰もが一生を終える時が来る、望んで契約した施設にいざ入る時のすみれの何ともさみしい表情とそれを見送る浩二の切ない表情には涙腺が緩んだ。
老いた親を持つ身には堪えるシーンです。このシーンこそがすべてでは。核家族化と言われ久しい時代に親
の面倒見ることも他人任せの時代、自分たち親と子の家族の生活だけで経済的にも精一杯で自分に愛情注いで育ててくれた親に対して亡くなってから後悔するなどは現代日本の常ではあるが本当にそれで良しとしていいのかを問うた作品だと感じました。
忘れてはならない、歌手、倍賞千恵子さんにも注目です。
全97件中、21~40件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。











