TOKYOタクシーのレビュー・感想・評価
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銀河鉄道の夜
公開からずいぶん経ってから、やっと見ました。見て良かった。見たいアニメとか沢山あったし、人間ドラマはしんどいかなと思って食指が進まなかったけど、見ておいて良かったと思いました。やっぱり重たかったけど。
直感的に「銀河鉄道の夜」だったと思います。物わかりの悪い私の感じ方が正しければの話ですが。特に次の入居先、老人ホームに近づくにつれ、夜がとっぷり暗くなる、その様がまるで「銀河鉄道の夜」の「石炭袋」の様。そう気が付いてからは、結末まで「銀河鉄道」のイメージのままに雪崩れ込んだと思います。
単純に「山田洋次監督」版の「銀河鉄道の夜」を描いただけでは無いと思います。それはラストの遺産を譲り受けた下り。正にお伽話の様で、めでたしめでたしで話を閉じるための魔法に見えるのですが、「それだけでは終わらせない」という仕掛け。これは「銀河鉄道の夜」だから、「遺産相続のお伽話」ではないんだよ、よく考えなさい、というメッセージだというのは考えすぎでしょうか。
「自分は人のために何が出来るのか」というのが「銀河鉄道の夜」の大切なテーマだったと思います。そのツボは、あのタイタニックに乗っていた女の子が語っていた「蠍の火」のエピソード。詰まらない死に方をしてしまった蠍の話。せめて自分が喰われてやれば、あのイタチ(だったかな)も一日、生きながらえただろうに、という教訓。
まさしく、ラストで「俺は間違っていた。望み通り、ホテルに泊めてやるべきであった」の嘆いていたキムタクさんこそ、その蠍の姿であり、自分が後悔しないようにと思い立ったのが、遺産を譲ったスミレさんだったのではないでしょうか。
そしてキムタクさんは涙する。後ろに眠る妻と娘を乗せて。妻のことを「ちゃんと愛していると云え」と諭されて、非道い夫のエピソードを聞かされ、その夫の股間を焼いた女の恐ろしさ、そして息子を失った悲しさも聞かされ、さあ運転手さん、あなたは何が出来るの? そう考えると譲り受けた遺産は余りに重い。正に母親のための牛乳を抱えて走るジョバンニそのものでは無いでしょうか。
映画自体、何気ないようで凄いですね。運転しながらの演技のシーンは流石に合成だと思いますが、運転手さんの妻との馴れ初めを語るシーンで、車の外ではタイミング良くウェディングドレスの姿がちらり(たまに見かける写真撮影しているモデル達だと思いますが)。わざわざモデルさん用意したのかな。名監督には「あの山をどかせ」とか言い出したりするから、それよりは簡単だけど。雑踏の映画撮影なんて、適当にカメラ回して出来るもんなんだろうか。「腕組んでいい?」ってところで、ちゃんとカップルのエキストラで印象づけるとか、色々と気配りが凄い。
オープニングの小ネタも良いですね。明石家さんまと大竹しのぶさん。スマホに映るしのぶさんと「姉」との表示には吹き出して笑ったw テロップ付きの登場みたいで。
余談ですが、「遺産を貰えたお伽話」の「めでたしめでたし」について。やっぱり絵に描いたお伽話の様ではあるけど、必要で重要なことだと思います。そりゃトゥルーエンドやバッドエンドにすれば渋くて格好いいとも思われがちだけど、やっぱり「めでたしめでたし」の方が気分が良い。なんで「童話」「お伽話」は「めでたしめでたし」「いつまでも幸せに」で締めるのか。それはやっぱり子供達に、登場人物の行く末は心配要りません、安心して本を閉じてください、というおまじないだと思うからです。
ただし、(繰り返しますが)キムタクさんが受け取った遺産は「夫の股間を焼いて」「子供を失って」それをバネにしたのかどうか「アメリカに単身で飛び込んで」稼いだ遺産です。重い、重すぎる。お金持ちになったと遊びほうけるなんて許されないでしょう。なんか心配してしまうけど、あの運転手さんなら大丈夫でしょう。とりあえず本は閉じますが、どうかお達者で。
正月に観るにはまあまあ
正月に映画を観たくて、残った選択肢。まあまあ良かった。展開や演技、最後のまとめ、平均的に良かった。ただ、なんと言うか、もう少し驚きがあって良かったかと思う。
まず、キムタクが、車検代に困る下町のタクシーのあんちゃん、という感じがなかった。これは、平場の月の堺雅人も共通している。何と言っても顔色がよい。ほどよく化粧もしている。いつものキムタクだ賠償さんは、何かお金持ちなんだな、と思うし、お金の工面するんだと思った。唯一、時代として、奥さんや子供が殴られるってことがあったんだな、って思った。旦那のあそこを焼くのはやりすぎですよね。だけどリアリティーがあり痛快だった。
蒼井優の演技は良かった。だらだらと書いたがまあまあのものだった。監督には高齢のおり、すごいと持った。ただ、それだけだけど。作る意欲はすごい。
他人(ひと)の為にした事は、巡り廻って、自分の元へ還ってくる
合縁奇縁の一期一会。
東京下町の家から、終の棲家となる郊外の介護付き老人ホームへ向かう為、80半ばの素敵なマダムを乗せた個タクのキムタク。
長い道中…退屈凌ぎにお互いの身の上話を少しずつ。
人に歴史有り…とはよく云ったモノで、人類史に名を遺した偉人でなくとも、
一生懸命生き抜いてきた人の人生は大なり小なり山あり谷あり。
より良く生きる為には、より善く生きること。
人様に後ろ指を指され、死を望まれる様な生き方は、、哀しいモノです。
東京の景色が綺麗だった
施設に入居する為にタクシーを呼んだ老婦人と、タクシー運転手のお話
柴又から葉山まで、かなりの距離あって大変そうだなと思って見始めました
老婦人のゆかりある東京の景色が凄く綺麗で、一緒にドライブした気分にになりました
あんな元気な婦人がなくなっていたなんて、自分が運転手ならずっと後悔しているなあ
たった一日の出来事が、老婦人にとってはかけがえのない日になったんだと最後の遺言で分かって、とても良かったです
老婦人にとっても、運転手の今後にとっても…
蛇足ですが、高級なサ高住にしてはあまり良くない対応の数々な気がして…
あんなにキツイ言い方とかするのかな
老婦人にとって長く居ない方がいい施設な気がしたから、運転手家族に会えなかったのは寂しくあったが、良かったのかもしれない
キムタクに惹かれる
特にキムタクのファンではないが、彼がごく普通のタクシードライバーを演じているだけで、妙に役にはまっていると感じさせてくれる。キザなヒーローを演じている方がなんだか嫌味な感じがしてしまう。
映画の最初に100数万のお金の話題がでてくる。これが伏線になるが、実際のキムタクならそんな金額は大した金ではないだろうと想像してしまうと映画の中の彼に親近感が湧いてくる。たった1日、時間にして10数時間程またタクシーという狭い空間の中で物語は淡々と進んでいく。複雑な謎解きも痛快なアクションもなく、どこにでもありうる物語のようでありながら、現実にはこのような出会いは皆無であることが今の時代を「嫌なもの」にしているのかもしれない。乾燥気味の心を少し潤してくれる、そんな映画だと思った。
人のぬくもり
東京の懐かく美しい風景を背景に
過去と現在が交差していくストーリー。
派手さはないがじわじわくる温かさ。
人のぬくもりと体温が観ながら感じ取れる作品。
その辺いるタクシー運転手だけど
普通に木村拓哉さんは格好いい。
倍賞千恵子さんの力強い演技は素敵。
寒い時に観ると、より一層
ポカポカする人肌と心が感じ取れるなぁ。
人生について考えさせられる珠玉の作品
ほとんどが浩二とすみれのタクシーの中での会話ですが、倍賞千恵子さんのリアルな演技の影響か、前半から自分の目が潤んでいました。
すみれの人生は決して幸福なものでなく、独り身で心臓が悪く、おそらく死期が近いと悟っていたのでしょう。
最後に浩二と出会ったことで、人生最高に輝いているすみれを感じました。夜景も2人の心情とマッチしていて、非常に綺麗でした。
木村拓哉さんのぶっきらぼうな性格もこの映画にマッチしていたと思います。
山田洋次監督は、人間の内面の弱さを描くのが非常に上手いと思います。
リメイク作品なのですが、作品の舞台を東京に変えただけではない、監督の味付けがしっかりと付いていました。高齢世代の心にはサクサクと刺さりそうな作品です。良作。
「パリタクシー」みたいなタイトルだなぁ と思ったら
もろにリメイク作品でした。しかも「パリ」の監督さんが
この作品のスタッフとして参加しているという。へー。
で、監督が山田洋次監督です。
寅さんや光男出てこないかな。無理かな。
※なんてことを考えながら始まったお話の、スタート地点が
「葛飾 柴又 帝釈天前」 @∇@ あれま びっくり
山田洋次監督風の味付けへの期待感が膨らみました。
鑑賞スタートです。
◇
主人公は大きく二人。
高級老人ホームに引っ越す女性 高野すみれ(=倍賞千恵子)
彼女を乗せたタクシーの運転手 宇佐美浩二(=木村拓也)
当初の配送予定運転手がぎっくり腰で、急遽代役で迎えに行く
事になった。それだけのご縁の筈でした。
葉山までの道中、すみれが過去を振り返りながら、あちこちと
立ち寄ってほしいとリクエストを出すリクエストに応えて
あちらこちらと車を走らせる運転手の浩二。
最初は、すみれの話を聞き流し気味の浩二だったのですが
次第に、すみれに自分の家族のことも話すように。
タクシー車中での会話を交わす内に距離感が近づいていく、
すみれと浩二なのですが…。
◇
お話の骨格としてはリメイク元の展開を踏まえていました。
舞台となる都市が違うので、訪ねて回る先々は当然違います。
また、回想する過去のエピソードについても、変更されている
ものがありました。
※ 犯罪行為 火炎地獄 → 熱油地獄 (?)
息子の死 朝鮮戦争死 → バイク事故死
オリジナル版のエピソードは、日本版にはそぐわないものもあっ
たと思うので、不自然な変更とは感じなかった気がします。
◇
過去に起きた事、やってしまった事はややマイルドに。
運転手一家の家庭事情についての描写をより具体的に描写する
ことで、「TOKYO」での「戦争の傷跡」と「人の絆」を描いた
作品だったかと思います。
単にパリから東京に舞台を移しただけのリメークでは無かった
ことが、良く理解できました。
山田洋次風の味付けでした。
正直、鑑賞するか迷ったのも事実ですが
観逃さなくて良かった。鑑賞して良かった。
満足です。
◇少しの違和感と、増した納得感
ストーリーの終盤近く、バリ版には無いエピソードが追加されて
いました。(記憶違いだったらどうしましょ…)
あちらこちらと一日中東京を走り回り、最終目的地の葉山に近づく
につれ、表情が曇り始めるすみれ。
" 以前来たときは、もっと明るい場所に感じたのに… "
到着予定時刻を過ぎてから施設に到着。あとはタクシーを降りて
施設に入るだけ。…なのだが
なかなかタクシーを降りようとしない、すみれ。
" もう一晩、夕食を取ったホテルに泊まりたい "
" 明日、明るい時間になってから出直したいわ "
一日中すみれの言うままに東京を走らせ、疲れも溜まっていた浩二。
つい強い口調で咎めてしまう。あー
" 子どもみたいな我が儘を言わないで ! "
★↑このような強い口調のセリフは、パリタク版には無かった気が…
しょんぼりと、” その通りだわ " とタクシーを降り、施設の入り口に歩き
始めるすみれ。タクシー代を払っていない事に気付いて浩二に話しかけ
ルのだが、" また後日で良いから " と、浩二。
再会を約束してその日を終える。
また次の機会がある事を疑わずに、その日を終えて帰宅した浩二。
翌週、約束のとおりに妻を伴って施設を尋ねてみたのだが、
すみれは既に故人となっていて…。@△@;;
# きつい事を言われた際のすみれの心情
# 亡くなった事を知った時の浩二の心情
どちらも、想像するととてもやるせない気持ちになってしまい
この場面を観た時点では 「ここまでのやり取り必要なのか?」
との思いが拭えなかったのですが…
場面が変って、葬儀場。
行政書士の阿部(笹野高史)から帰りがけに呼び止められる浩二。
名前を確認され、預かった手紙があると言われて、事務所まで。
手渡されたのは高野すみれが生前に認めた手紙。
手紙の内容は、ほぼ「遺言書」と言えるもの。
同封されていたのは、感謝を綴った手紙と、小切手。一億円…。
# 娘さんの進学の費用に充てて欲しい
# ご家族でヨーロッパ旅行も楽しんできて
# タクシー代もここから取ってね (釣りはいらないわ~)
別れた際のゴタゴタを引きずることなく、心地よい一日を共に
過ごしてくれたタクシー運転手一家へ示した、最大の感謝。
やるせない別れをした分だけ、すみれからの好意が何倍にも
なって返ってきたような気がして、せつなさも倍増でした…。
山田洋次監督らしい演出だったような気がします。
◇そういえば
倍賞千恵子と木村拓也
組み合わせとしてピンと来るような来ないような。
何か過去の出演作で共演してたかな? などと考えている内に
「あっ」 と思い出しました。
良く良く考えたら「ハウルの動く城」で共演してましたね。
声の共演でしたけど。
※当時、60代のヒロインとして話題になりましたね。今回更新☆
◇最後に
「葛飾 柴又 帝釈天」から始まるこの作品
鑑賞中そして鑑賞後すぐには、山田洋次監督らしい着想だなぁと
シンプルに感心していたのですが、鑑賞後時間が経過してみると
" もしかして " と思う事が浮かんできました。
この作品の" 高野すみれ " の人生を通して、山田洋次監督が自身の
人生を振り返る作品にしたかったのではないかなぁ という事。
あ、もちろん的外れかも知れませんし、山田洋次監督を語れる
ほど作品を沢山観ている訳でもないので、そんな気がした
という程度の思いでしかないのですが。
作中でタクシーが通った道のりを、パンフレットで追体験して
みようと思います。どこに立ち寄ったのか、走った箇所のマップ
とか載っているといいなぁ。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
★ミューズ賛歌と、時代の記憶と、同窓会★
これは翻案ではなく、半世紀を共に歩んだ監督と女優が、記憶に献花するための映画だ。
『TOKYOタクシー』は、50年前の映画を現代に置き換えてのリメイク、ではない。オリジナルは、ほんの数年前のフランス映画『パリタクシー』だ。
きっと『TOKYOタクシー』は、『パリタクシー』の“アンサーソング”=返歌なのだろう、と思って劇場で見始めた。
だが、それも違うと気づく。
では、この映画は『パリタクシー』の、どんな翻案なのか。
■[ミューズへの賛歌]
単純な日本への翻案ではないことが、不自然なくらい順不同に経由する道中で、何度もハッとさせられる。
――Google Mapを開いてピンを打っても、この迷走は地理的には説明できない。
辿っているのは地図ではなく「年譜」だ。しかもそれは、役者・倍賞千恵子の辿った年譜であり、同伴する山田洋次の年譜でもある。
▼ 運転手・木村拓哉がタクシーで向かう出発点は、『男はつらいよ』寅さんシリーズで倍賞が演じた“さくら”の聖地、葛飾柴又。
▼ 葉山の老人ホームへ向かう道すがら、生まれ育った町を回りたいという倍賞が、最初に「迂回」するのは、1941年生まれの彼女が幼少期に交差したはずの、東京大空襲下の言問橋での祈り。
▼ 次の寄り道、墨田区の曳舟・鳩の町商店街は、山田洋次監督・倍賞千恵子主演の大ヒット作『下町の太陽』(1963年公開)の舞台だ。
▼「千住の団地」は、『パリタクシー』で主人公が抑圧的な結婚生活を送った、パリ郊外ヴァンセンヌへのオマージュだろうか。
実際のロケ地は、かつて山田洋次が住んでいた団地らしい。記憶の中で交差しているのかもしれない。
(不忍の池には、倍賞や山田の、どんな記憶が投影されているのだろうか。病魔との闘いの時、東大病院での検査の帰途に、ここで休んだことがあったのだろうか。)
49作(と思ってきたが、2019年の回顧版を含め公式には全50作)の『男はつらいよ』寅さんシリーズを含め、50年以上映画人生を歩んできた山田洋次。これは、彼のミューズである倍賞千恵子へのオマージュだ。
半世紀以上の記憶を共有する94歳と84歳の2人にだけ許されるかたちで、『パリタクシー』のスキームを借り、倍賞とのストーリーを、やや無理やりなくらい、きれいになぞった映画なのだと分かる。
■[同時代の投影記録]
それでも、不忍の池、赤いレンガに改装された東京駅、都庁、そしてまたスカイツリー(2度も?)。道順としては、「おかしくないか」とも見える。
だが1970年の山田作品『家族』では、長崎から大阪万博(1970年の。僕は小学校5年生だった)での描写も経て、若い母親役の倍賞と夫と年老いた父親(笠智衆)の北海道までの長い旅路を描いている。
同様に、この『TOKYOタクシー』に映り込むスカイツリー、東京駅、都庁もまた、時代の映像記録なのかもしれない。
■[山田組・同窓への賛歌]
『武士の一分』の主人公でもあった木村拓哉は、(もう50を過ぎているとはいえ、山田組では若手の側だが)倍賞千恵子への敬愛の態度から、決して前に出てこない。
代々の山田組のバイプレーヤー、司法書士役の笹野高史、ディナーシーンでのお爺ちゃん役の小林稔侍が集まり、さらに若き日のすみれ役の蒼井優まで揃えば、多世代が同窓として再会する場が、見事に映像化される。
タクシーの後部座席に、現在と過去のすみれが並ぶシーンは、『パリタクシー』の同じ場面との相似が美しい。
ーーそして観客にも、「見る側」としての同窓会が喚起される。
■[牙は抜かれたのか?――大切な話として]
ナチス占領下のパリを解放したアメリカ兵との淡い恋に始まり、シングルマザー、DV、殺人罪による長い投獄を経て、物語の最後には、言葉少なく、女性の権利拡大のアクティビストとして描かれる『パリタクシー』の主人公マドレーヌ。
一方、『TOKYOタクシー』のすみれは、戦後の北朝鮮帰還事業によって引き裂かれた恋人(子どもの父親でもある)との悲恋こそ描かれるものの、その半生は、アメリカへ渡って成功したネイリストとしての側面が前景化される。
だがそれは、山田洋次にとっての倍賞千恵子が、あくまで「ミューズ」であることに由来する。
――山田洋次が描く「さくら」や、『遥かなる山の呼び声』の風見民子(これは先ほどの『家族』での倍賞の役名と同じだ!)が、「パッシブな女性像の象徴だ」といったマンスプレーニング的な論評は、この『TOKYOタクシー』を見ているあいだ――同窓会の最中は――脇に置いておきたい。
『パリタクシー』が社会史としての女の人生を描く物語だとすれば、
『TOKYOタクシー』はミューズとしての女の人生を描いた映画だ。
山田洋次は、「戦わざるを得なかった時間」を抱えたまま生きる姿に寄り添う監督だから、牙を抜いたのではない。
牙をしまったのだ。
同窓会の日に、ナイフをテーブルの上に置かない。
この映画は、そうした倫理感のもと、記憶への献花として撮られている。
/EOF/
一期一会を思い出させてくれる一本
友人に「これ観た?どうだった?」と聞かれ、公開終了前に慌てて劇場へ。客席には10人ほどでしたが、細く長く愛されて上映が続いている作品なのだろうと感じました。
山田洋二監督らしい、人情味あふれるヒューマンドラマ。派手さはないけれど、人の弱さや優しさを丁寧にすくい取る語り口が胸に沁みます。
ちょうど最近、知り合いが急死したこともあり、画面を観ながら「人生は本当に一期一会なんだな」と何度も考えさせられました。
日常の中にある小さな出会いや別れ、その尊さを静かに思い出させてくれる映画です。
ファンタジーの中のリアル
「ハウルの動く城」の組合せ、往年の可憐さを持つ賠償千恵子さんと久し振りに見る木村拓哉さんの演技、山田洋次監督による「パリタクシー」、色々楽しみで見に行きました。
一番違和感無く見ていられたのは賠償さん、作り物めいたキャラも自分のものにしてしまう。
木村さんはどうしても疲れた個人タクシーの運転手には見えない。演技がどうというより、地味なジャンパーやズボンを履いていても絵的に宇佐美<木村拓哉なのは私の世代によるものか。
すみれさんのエスコート役としては完璧です。
宇佐美の妻や娘のリアクション、散りばめられたディテールで山田洋次監督作品そのものであることを実感。
夫が妻に暴力を振るっても離婚理由にはならない、すみれさんの人生に乗せて語られる戦後の日本社会はリアリティがありました。
最終手段としてすみれさんが夫に取った行動も、全体のファンタジー感に平手を食らわすようなかなりな衝撃です。
誰にでも徐々に、でも確実に迫る人生の終わり。
あらゆることに怖気づかなくなったと自負しても尚、華やかな思い出や後悔、孤独、恐怖が押し寄せてしまう。すみれさんは宇佐美との偶然の出会いで、そんな波立ちを半分ぐらい減らせたのかも知れません。
人生を折り返した層にはやけにリアルに響くテーマです。
すみれさんが若い女の子の様にはしゃいで宇佐美と腕を組んで歩く元町のシーン、一番のハイライトでした。
ラストに優香の「一言」が欲しかった
最後に木村拓哉がハンドル握りながら涙するシーン。
残念だったのは、後部座席で妻の優香が寝ていること。
見ず知らずの人から1億の贈与を受けたのですよ。優香が「税務署にはどのように申告するのかしら。でもこれで車検代金や家賃更新料、そして娘の学費も大丈夫ね。いーや それよりも家族で欧州旅行に行きましょうね。あなた。」って後部座席から木村拓哉に話しかけて、それで、木村拓哉がそれを聞きながら「あの涙」だったら私は涙腺爆発でした。
倍賞千恵子さんお元気ですね。
倍賞千恵子さんといえば歳のためか映像の露出が減ってきているように思いますが久しぶりに映像で見た倍賞千恵子さんはとてもお元気でしたね。
見た目は歳なので致し方有りませんが見た目以上に元気さは若い頃と余り変わってないように思いましたが倍賞千恵子さんといえばどうしてもさくらのイメージが強いですね。
内容についてはアクションとかSF主体で見る私はこう言う映画は余り多くは見ないのですが山田洋次監督の映画は見るようにしています。
激しいアクションやSFばかり見ているとこういう日常的なドラマ(映画)を見るのも個人的には箸休めになってとてもいいと思っています。
タクシー役のキムタク(宇佐美浩二)が同僚のぎっくり腰で送迎を頼まれたのですが客の倍賞千恵子さん役のすみれをタクシーに乗せて送迎しますがすみれさんの思い出話しであちこち引っ張り回されます、実際こう言う客がいるのかは分かりませんが中々ココまで付き合ってくれるタクシー運転手って現実には中々いないような気もしますがドラマとしてはとてもいいものだと思いました。最後はキムタクが会いに行ったら既にお亡くなりになっていましたが。キムタクさんは相変わらず何をやってもキムタクで其れも俳優の一つの個性として見るべきなのかもしれません。
ラストが読めてしまったのが難点と言えば難点。
一人娘の進学費用で悩む個人タクシー運転手が、ある日東京の柴又から葉山の老人ホームへ入居する85歳の女性を送ることになる一日を描く。
普通の老女と思われた彼女が生きた時代と襲い掛かる苦難に立ち向かった日々。
人生の終活に向けての旅は思いのほか楽しいものになる。
戦争無ければ彼女の人生は異なったし、若さ故に男を見る目が無かったことが彼女の息子を死なせる遠因になってしまうなど彼女に責任を問う声もあるだろう。
ラストが「事前に運転手の家計が火の車であることが語られていた」ことで読めてしまったのが難と言えば難点。
もうちょっと情緒があれば
映画が終わって周囲を見渡したら、年配の方々ばかり。カップルが数組。
盆と正月の寅さんで育った世代ですかね。
ご夫婦らしいみなさんゆったり小声で会話したりして、この映画はそうやって観るのが合っているなと思いました。
TokyoというかYokohamaタクシーかも。風景がきれい。
元になったパリタクシーを日本と日本人にそのまま焼き直したような映画なので、「良かったねえ」で終われていいんですが、ちょっと惜しい。もうちょっと情緒がほしかった。
浩二もすみれさんも、人物に深みがないような。
セリフが硬いせいというのがあると思う。
普通の会話ならこんな言葉使いはないだろう、こんな言い回しはしない、さらには全部説明してしまういかにもセリフな会話が多くて、演技してます感が出てしまった。
息子はどうしているか聞かれて、すみれさんは「あんまり言いたくないのよ、死んでしまって」みたいなことをすらすら言葉にするが、ここは表情と態度と間で「言いたくない感」を醸しだしたらよかったのに。だまって言いよどんで、「そうね、実はね、死んじゃったの」浩二が驚いて「すいません、言いたくないことでしたか?」その方が人の情感に訴えるものがあるような気がする。私見ですが。
そして、すみれさんの過去のエピソードの数々が重い話なのに薄い。
なので浩二がすみれさんに感情移入するほどのことに感じない。
私は倍賞千恵子さんの映画をほとんど見たことがないので普段どういうお芝居するのか知らないが、酸いも甘いも嚙分けた人生の達人のような懐の深い役は合わないのではないか。単に年齢と山田洋二チョイスで配役されたような気がする。松竹だと山田洋二で倍賞千恵子、とすらすらなってしまうんでしょうが違う映画会社だったら違う監督違う配役で、その方がよかったかも。ってか松竹だからのリメイクな気もする。
キムタクは、当初の仏頂面でつっけんどんな表情が、いつのまにかすみれさんに魅かれて劇的に柔和になるような、オリジナルでは見せ場だったドライバーの感情の変化が感じられない。最初から最後まであまり変わらない。
(但し、夫や父親としてはいい感じだった。ごく普通の家庭の、家族思いのお父さんで夫。朝ごはんは白いごはんに納豆派なのね)
パリタクシーとストーリーはほぼ同じだが、情緒が大分違う。
元町を歩きながら、すみれさんの方から浩二に「腕を組んでも良い?」と聞くのはどうでしょうか。すみれさんのほうからそんな申し出をさせるのか。ここは浩二の方から肘を差し出して、すみれさんにお手をどうぞ、とエスコートするところじゃないですか。そのほうがスマートだし、浩二からの、すみれさんへの敬意と親しみの気持ちが表わせると思う。すみれさんは驚き、照れながら喜び、恥じらいながらも堂々と腕を組むでしょう。日本の男はそんなことしないかもだが、浩二もマダムのチャーミングな気品に、ぎこちないがそんな気持ちになった感じで良いのでは。
ホテルのディナーも浩二が自分の気持ちでごちそうする。すみれさんはお礼に浩二娘リクエストの元町の名店のシュークリームをたくさん買う。そのほうが良くないか。
そういう、ちょっとした人間の機微を拾って心動くような場面が、tokyoタクシーにはほぼなかった気がする。
すみれさんが自分より大分若い男性(ちょっと前のイケメンの代名詞キムタク!)侍らせて、ふたりきりで遊べて浮かれてはしゃいでいる金持ちマダム、な感じに見えてしまうときがある。
ホテルに行きたい、にはちょっとギョッとした、そんなわけ無いんですが。
昭和の日本人男性である山田洋二は、日本の下町や炭鉱での人情を描くのは名人だが、女性の微妙な気持ちとか大人の男のセンスあるふるまいには疎いのかもと思ってしまった。
浩二の奥さん役の優香が良かった。
良い家庭なので安心して見ていられる。
宇佐美一家はパリのドライバーほど切羽詰まって困窮してはいないようです。
長年さくらだったけど、今回はすみれ。
山田洋二監督のちょっとしたシャレなんでしょうね。
それにしても「1億」は大きすぎる。贈与税でかなり取られるにしても。
宝くじで高額当選して急に大金が手に入ったばかりに人生狂わせる人が多いようだが、この良き一家は大丈夫か、余計な心配をしました。
倍賞さんの歌声の透明感が素敵。
あまり期待せず鑑賞。
脇役は中々です。
やはりキムタクはキムタクなんですね。
経済的に苦しい感じは全く出ていなかったかも。
音楽は良かったです。
以前山田監督の「東京家族」を期待し過ぎて観てしまった覚えがあるため今回は気負わずに。
小切手の金額はいくらだったんでしょう?(笑)
いまいち説得力がない。
おばあさんが、タクシーに乗りながら、運転手に昔の思い出を話すのだが、ひとつひとつの話しが深刻なだけに、劇中で語られるエピソードが短かすぎて説得力に欠けているような感じがしました。
犯した罪の動機もいまいち。昔は実刑になった人も、米国ビザとれたのかな?贈与税が大変だな〜。キムタクと死ぬ前に腕組んでデートできるなら、現実にもありそうだ〜
いろいろ考えてるうちに映画が終わりました。
一瞬、一日、一生。
少々無愛想な個人タクシー運転手の宇佐美浩二は、娘の進路に関わるお金の工面が悩み事になっていた。
そんな折り、長距離の仕事が舞い込んで来る。85歳になる高野すみれを、東京の柴又から神奈川の葉山の高齢者施設に送る事になったのだ。
すみれの過去を聞きながら彼女の思い出の地を巡る中で、宇佐美は段々と彼女に関心を寄せ始める。
昭和の光と影を映しながら物語は進んで行きます。
光は便利になった今この世界を捨ててでも戻りたいと思える程眩しい。
一方、影は令和になった今でもあちらこちら濃く々残っている様に思えますが、あらためて突き付けられると反吐が出ますね。
車内のシーンが多いなか、ルームミラーに映る目だけで感情の揺らぎを見せる木村さんの演技は新鮮。
倍賞さんは、お声がね…トーン、スピード、滑舌、どれもお若いです。
その気になれば、「お兄ちゃん!」という台詞、まだまだ行けるかも。
最後のガラス越しのシーン、自分のダムは決壊致しました。
二人は再会を果たせませんでした。
でもすみれさんは1日、また1日と浩二に会えるのを楽しみに待っていたと思います。
浩二も会えると思い、妻を連れて行きます。
すみれさんに会わせたい、すみれさんに会ってもらいたいと思いながら。
そうした日々を送る心持ちって小さいかもしれないけれど、うん、幸せな事かなと思います。
追記
どなたのアイデアだったか気になりますが、「トラヴィス・ビックル」へのオマージュ?シーンがありましたね。
全122件中、1~20件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。








