TOKYOタクシーのレビュー・感想・評価
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人生を辿る、人生を振り返る、人生を見つめ直す。
これは山田監督からのギフト
日本のひとつの時代を生きた、ひとりの女性の定点観測
あらすじは、
個人タクシードライバーとしてあくせく働く宇佐美浩二(木村拓哉さん)が、妻(優香さん)と長女(中島瑠菜さん)と3人家族で生活に追われているところ、
急遽、腰痛で動けなくなった同業ドライバーからの代行の依頼が舞い込み、長距離の良い仕事を受けることに。
宇佐美が依頼された場所に車を回すと、高齢のマダム・高野すみれ(倍賞千恵子さん)が1人で乗車する。
彼女は85歳の戦前生まれで、神奈川県の葉山にある高齢者施設への転居を予定していて、「東京を去るその直前に、自分の思い出のある各地を見納めしたい」という依頼内容でした。
依頼を受けた宇佐美は最初はビジネスライクでしたが、車内ですみれが歩んできた人生の話を聞いていくうちに、その容易ならざる巡り合わせ・境遇に、圧倒され、次第に共感を覚えていく。
というものです。
私は山田洋次監督作品は、「幸せの黄色いハンカチ」だけを見たことがある程度だったので、最初は本作を「けっこうほのぼのした雰囲気の映画かな」と思っていたのですが、
見てみると、けっこう「ギョッ」とする過激な描写もあり、そして、山田さんの思想信条的に、「国家権力を良しとしない」バイアスが少しだけかかっているように感じました。
ただ、本筋としては、
時代の荒波に翻弄されながら、「確かに生きてきた」、高野すみれというひとりの女性が何を、どのように見てきたかという、
定点観測記録の伝承映画(作品としてはフィクションですが、そこにはリアルも多分に含まれていると思います)というのがメインであり、
実際、戦前生まれの方々も、高齢になってきているので、
その、まなざしから見ていたものを、映画を通して、体感して知ることができて良かったです。
あと、役者さんがみなさん素晴らしい演技でした。
倍賞千恵子さんは、もう、何も文句のつけられないような「高野すみれ」その人でしたので、感服しました。
木村拓哉さんは、非常に自然な演技で、「かっこつけない、かっこいい父親」になっていて、人柄が素敵だなと思いました。
あと、優香さんも、役作りの完成度が高くて驚きました。宇佐美の妻として作品にストンとハマり、作品全体にリアリティを感じることができました。
過去回想シーンでのすみれは蒼井優さんが演じていて、若々しい、昭和の時代にマッチした魅力ある女性を演じられていました。
個人的に、気に入ったのは、
作品冒頭と最後の方だけ出てくる、笹野高史さんが、コケそうなよろめきをする動きに、職人芸の神髄を見た気がしてとても満足しました。
終盤ではウルッと来るくらい感動したので、星4.5です!
2人の会話劇が心地よい
「パリタクシー」は観ていません。
すみれさんの壮絶な人生は、ちょっと想像以上でしたね。。激動の時代を生きた女性たちには本当に敬意を表したいです!こういう強い女性たちが切り開いてくれたからこそ、今現在、女性が色々なところで活躍したり嫌なことを嫌といえる時代になったんだなーと。感謝です。
映画に戻ると、浩二さんの生活はまるで自分の家のことのようで…私も宇佐美夫妻みたいに疲れた顔ばかり&怒ってばかりだから、最後の浩二のように柔らかい顔で過ごさなくちゃ!それができたらなんてことない自分の人生も少しは愛しく感じられるかな?なんて思いました。
東京の景色もとってもキレイで、見え方がなんかいつもと違ってちょっと観光客気分になれましたね!
そして何より2人の声が本当に心地よくて。2人の会話劇をずーーーっと聞いていたいほど!ぜひ劇場の音響・映像で観て欲しい作品です!
ストーリーは◎だが、やっぱりパリタクシーには及ばない
TOKYOタクシーを観たが、パリタクシーのリメイクでベースは変わらないが、山田洋次流TOKYOタクシーはなかなか味わい深い作品だった。倍賞千恵子、木村拓哉はさすが。ただ、原作のパリタクシーと比べると物足りなさも感じる。悪くはないが。パリタクシーを観ているので、どうしても比べてしまう。
素晴らしい物語でした
未来はお金で買えるけども、大切なのは。
木村拓哉がタクシー運転手!?
キムタクシーじゃんwwwwwwww
と、公開前より私は俳優目当てでこの作品に注目していた。
木村拓哉さんという俳優はそれはそれはもう誰もが知る有名俳優で、検事だったり武将だったりシェフだったり侍だったり教官だったりとまぁ素敵な役柄を与えられて彼っぽい演技で作品を支配してしまう魅力を兼ね備えている。
そんな彼が本作ではタクシー運転手である。かなり庶民派な印象を受けた。
そして監督は山田洋次さん。男はつらいよなど人情もの印象が強く、いくら数々の作品の顔となってきた木村拓哉さんでもこの監督の作風に食われてしまうのでは、、、と懸念していたが杞憂だった。むしろ彼のイメージはそのまま主人公のキャラクターの一部として取り込まれており、彼個人のファンにも嬉しい1作となっている。
と、前置きはここまでにして。
作品としてはかなり台詞を読ませてくる小説のような映画。その辺を配慮してか激しいカメラワークなどは全く取り入られておらず、登場人物たちの台詞に集中出来る画作り。それもちゃんと登場人物たちの感情の起伏を感じやすい配慮がなされている。終始穏やかな運転のシーンが続くのでこの辺はタクシードライバー系の映画の系譜とも言える。
また、背景なども、やや古臭さはあるものの生活観を意識して作られている。
時系列が過去のシーンで1部のものが現実の時代の整合性が取れていなかったりする所もあるが、リアルではないにしても、こんな人達が住む部屋ってこんなもんだよね、だとか、ここはこういう場所だよね、等、作品内のリアルを大切にしている印象を受けた。
勿論時系列は現代の映画なのでスマートフォンなどの最新の生活機器は登場するし、ちゃんと駆使するシーンもある。
だが、この作品において大事なのは、何よりその場を現在として過ごす時間そのものだろう。
楽しい、悲しい、悔しい、辛い、怒り。これらはずっとは続かない。でも振り返って楽しかったな、と思える時間こそが人生の財産。その事に気付けるかどうかが作品を楽しむポイント。
それこそ未来を憂いる大人に対し、将来を楽しみにしている娘という登場人物が割とこの作品のキーだろう。
人は時間によって色んな感情を内に秘めて、信頼できる人にだけそれらを表情にして振る舞える。
期待だったりとか、サプライズだったりとか。
案外その環境下にいる人はそれを幸福だと自覚出来ない人もいるだろう。隠し事だとか、裏切りだとか。
それらを後で振り返って、後悔はないにせよ今を幸せと呼び楽しめる人にこそ相応しい映画だと思う。
ありそうな日常を、こんなに素敵な日常に!
観終わった後、幸せな気分になって、今も幸せ感続いています。
キムタクの抑えた演技もよくて、最後の後悔と感謝の涙も、私もうるうるしたし、でも良かったなと思って、幸せな気分になりました。浩二と奥さんとの絡みのシーンがもっと観たかったです。
えっと、20年前公開ではないよね?
いろんな意見があってもいいけど
この作品を酷評している人は、人生経験が未熟か、人の気持ちを理解する事に難点がある人と思います。山田組の作品としては、かなりシンプルな描写の積み重ねであり、役者の技量が溢れ出た、寅さんが好きでなくても素直に心に染み渡る秀才と思います。ドキドキ、ハラハラが全く無いのに黙ってじっとスクリーンに引き込まれました。人に「見たほうがいい」と言える一作でした。パリタクシーが原作ですが、同じ描写の「ドライブインマンハッタン」も観るとこの作品の価値が理解出来ると思います。
さよなら昭和の面影、消えゆく東京の下町
そんな下町は出てこないですが、
倍賞千恵子さんと言うことで。
最近の山田監督作品は思想が強すぎて、
本当に苦手だった。
さんま、しのぶ元夫婦コンビの電話出演や、
タクシー乗客の高齢者女性の過去が、
今回も戦争から始まり、在日、シングルマザー、DVと苦手な方向へ進むかと思いきや、
逮捕されて、刑務所‥その後の波瀾万丈な人生に魅了されていった。
予告編を見れば、その筋立てはすぐにネタバレ状態だが、まさしく壮絶な人生だ。
倍賞さんが熟練の演技で魅了する。
キムタクも今回抑えた演技。
優香さんの可愛いさもいいし、蒼井さんも安定の演技力。
東京、横浜の名所も巡り、
歳をとったせいかもしれませんが、
とてもいい作品でした。
ただ女性視線から考えると、
あんな憎んでる相手とはあの時点で行為には及ばないかなと。
これは男性脚本ならではかな?と思いました。
オリジナルの『パリタクシー』も観てみたい。
喜劇なのだ だからいいのだ(^^)
あえてあのイケメンにあのドライバー役を演じさせる山田監督の粋な面白さがあったし、その期待にちゃんとキムタクも応えてくれたと思います。
笑いあり涙ありの喜劇だから、期待した通り、最後はハッピーエンドで終わって良かった。
寅さんが始まった1969年〜。寅さんでは描かなかった(描けなかった?)、あの時代のリアルなもう一面を見せてもらえたような感じもした。
戦後80年と昭和100年を意識していたかどうかは全く定かではないのですが、両親が戦争を体験していた自分にとっては、親がどんな時代を生きていたのかを改めて知れたような感じで良かったです。
本当は満点を付けたいのですが、山田監督様と倍賞千恵子様にまだまだ頑張って欲しくて、4.5にしました。次も期待してます。
よくあるお伽話だけど
フランス映画『パリタクシー』の翻案。
オリジナル未見。
山田洋次監督作を劇場で鑑賞するのは、くしくも前回木村拓哉と組んだ『武士の一分』以来。抜群の安定感で観せてくれる。
木村拓哉演じるタクシードライバー、倍賞千恵子演じる老婦人、彼、彼女が如何なる生活環境にあるか。そのファーストショットで観客は基本情報を得られる。
これが映画だ。
軽妙洒脱、軽やかに物語を語っていく。
御年94才とは思えない。
重く暗い老婦人の過去も倍賞千恵子の演技力があって、観客を離さずこの人物に寄り添わせてくれる。
木村拓哉も生活感をまとう役柄を演じきったのもいい。キチンと年齢を重ねてきたということだろう。
使い古されたお伽話だけど、人生なんて想いと裏腹なすれ違いばかりだよとつぶやく。
すこし意地悪だけど、座席に身を包まれ至福の時間を過ごせた。
独りよがりの作品が散見されるいま、名匠が映画の基本を世に示してくれた逸品である。
今の世の中では
山田洋次監督作品で一世風靡した
渥美清さん高倉健さん亡き今、過去作品の誼で木村拓哉さんを自らご指名したとのこと。
海外作品の原作があり創造性はなく
観賞後に賛否があるストーリーに思います。
筋書きはタクシー運転手と乗車客の物語
年老いた女性を終の棲家へ送り届ける過程での出来事。
安全で無事に目的地に送る職務。
前後左右に気配りが鉄則、話を聞きながら思考運転は前方不注意事故の可能性が…
独居生活老人は年々増える傾向
老人ホームで終活を送れる恵まれた人は極僅かでしょう。
物騒な世の中です。
密室とも考えられるタクシー内で、個人情報の身上を吐露し、お茶を飲んだり食事までして終の棲家に送り届けて貰うことの現実との乖離
騙され詐欺が一向に減らない現在
1人暮らし老婦人が観賞後に妄想する可能性を懸念。
タクシー運転手さんは誰でも優しく、どんな話も聞いてくれると勘違いしかねません。
同じ職種の方々が、乗客を選び算段する可能性も無いとは云えないでしょう。
思いもよらない事件や事故が現実にある現在です。
感動した泣けた等々似たような評価が多いのは平和なのでしょうか。
感想は人生経験に依るので皆さんそれぞれ
金銭に不安がない老後の生活設計が安定している人は絵空事物語として楽しめるのでは
山田洋次監督は自画自賛して、常に出演俳優を誉め称え、業界君臨された巨匠監督。
日本映画界の発展を願うなら
木村拓哉さんの知名度に頼らず、将来有望の役者さん起用し実力と存在感を示されることを希望。
各媒体業界では忖度の無い映画評価を願います。
美しい映画
見終わったあと、とてもやさしい気持ちになりました
物語の中に、いわゆる「サービス付き高齢者向け住宅」が出てくる。すべてがそうだというわけではないけれど、サービスより“管理”が優先される所もあるやに聞く。この作品の中で、すみれさん(倍賞千恵子)が目的にしている施設は、なんとなくそんな雰囲気をにおわせている。
それから、個人タクシー運転手の浩二(木村拓哉)の家庭の事情が、まさにリアル。そこそこ暮らしていけてはいるものの、いざ娘の夢を叶えてやろうとしたとき、お金がない。その惨めさや、現実逃避したい気持ちがひしひしと伝わる。
台詞回しや演技に嘘くささが残るけれど、タクシーの中でかなりディープな身の上話を始めるという設定がそもそも嘘くさいので、まあそこは許せるとして。
人生はいつも時代とともにあったし、時代は一人一人の人生とともにあったのだなあという、ごくごく当たり前のことに気づかされた作品でありました。
お年寄りは大切にしなきゃなあと思いましたが、若い人には伝わりにくいかも。
そういえば、タクシーの中のシーンって、どうやって撮影したんだろう。昔みたいに、止まってる車内で、背景に流れる景色を映写するって感じでもなかったし、CGの嘘くささもなかったし…。
たぶん撮影用の特殊な車両を使ったんだろうな。キムタクは本当に運転しているんじゃなく、牽引された特殊車両の動きに合わせて演技していただけなのではないだろうか。
そこらあたりの種明かしを楽しみに待ちたい。
全305件中、141~160件目を表示
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