TOKYOタクシーのレビュー・感想・評価
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個人的には木村拓哉さんのベストアクト、過去作含め一番好きです
秀作だった『パリタクシー』(2022)のリメイクでストーリーはほぼ同じ、タクシー運転手を木村拓哉さん、乗客の老婦人を倍賞千恵子さんが演じ、舞台をフランスから日本に置き換えた作品です
オリジナルのフランス・パリの街並みに対し本作は東京〜葉山の街並みが描かれ、これはこれでとても楽しめました
特に物語のスタート地点が本作の山田洋次監督と“さくら”こと倍賞さん 両名のゆかりの地、『男はつらいよ』シリーズの舞台でもある葛飾柴又の帝釈天、この始まりからグッときました
始めの方でオリジナルと同じストーリー運びというのが解ったので、この先何が起こるか想像でき、ただ ほのぼのとした内容ではないことを理解、なのでオリジナルを観た時ほど意外な展開に驚きはなく、想定内の顛末を落ち着いて観られました
しかも倍賞さんの若い頃を演じる蒼井優さんもすごく合っていたし、彼女の行う“事”も大筋同じ、でもオリジナルの方がかなりえげつなかったけど(恐)
そして、とにかく本作の木村拓哉さんがすごくいい、山田洋次監督作品には『武士の一分』(2006)以来19年ぶりの出演でしかも今回は現代劇ということで相性がどうかな、“ザ・木村拓哉 映画”になってなきゃいいけど、と思って怖怖 観ましたが、全く問題なく、逆にとてもしっくりきていて素晴らしかったです
等身大の中年男があんなに合うとは正直 予想外でした、歳を重ね とてもいい雰囲気があるので、これからも肩肘はらずにこういった役を演じられたらいいかと思いました
そして木村さんの奥さん役を演っている優香さん、久しぶりに見ましたがとても綺麗で魅力的な女性になりました、出番は少ないものの自分にとってはすごく印象的でした
あと、エンドクレジット見て明石家さんまさん!?・・・気づきませんでしたが、終わってからネットで調べて納得しました
ハウルのコンビの共演
いまを生きているから
「今生きてるから、この景色を見ることができるんです。死ななくて良かったんだ。すみれさんは。」
たまたま頼まれた長距離運転。タクシードライバーの宇佐美浩二(木村拓哉)がピックアップした85歳のマダム・高野すみれ(倍賞千恵子)は面倒くさそうな人だ。注文に応じて東京のあちこちを巡りながら葉山の老人ホームへ向かう2人。すみれの人生も辿りながら。
最初は寝ててくれないかなと思って面倒くさそうにしていた浩二も段々と話に引き込まれていき、自身の生活の話もしながらお互いに共感を深めていく。
すみれの東京での生活は決して良いことばかりでは無かった。悲しい出来事を思い出しながら横浜へやってきたときに浩二は冒頭の台詞をすみれへ告げる。
港町横浜はすみれの人生と今日という日を祝うように美しいイルミネーションを見せる。
この映画の旅は柴又帝釈天から始まる。言わずと知れた山田洋次監督の代表作「男はつらいよ」の舞台だ。倍賞千恵子はさくらとしてこの町で暮らした。山田洋次監督と倍賞千恵子の記憶のオーバーラップ。人生の総括もこの作品には含まれていると思わずにはいられない。
倍賞千恵子の華やかでちょっと意地が悪そうな中から染み出る優しさが素敵。
木村拓哉はお金を稼がないといけないのに長距離の仕事という稼げる案件に何故か張り切らない。どこか人生に保護線を引いている。そんなキムタクを「駄目よ、そんなんじゃ」と叱る倍賞千恵子。「ハウルの動く城」のソフィーとハウルを思い出した。
ぶっきらぼうだけどさりげなく優しい宇佐美浩二を木村拓哉が好演。今作の木村拓哉は本当に良い。自然体でさり気ない。木村拓哉の代表作だと言っていいと思う。
人と人との関係で嬉しいことはなんだろう。
優しくしてもらったり助けてもらったりといろいろあると思う。
でもこの映画のように自分の人生に共感してもらえた時ほど嬉しいことは無いだろう。
そして、自分の気持ちは伝えられるときにまっすぐに伝えないとその機会は永遠に失われてしまうかもしれない。
この映画の最後は悲しくてほんのりくだらない。でも、時にはそんなくだらなさがあったっていい。
すみれは言う。「昔の日本は良かった所だってあったのよ。楽しい音楽が流れてお店だってたくさんあったし。なによりみんな元気だった。」
ちゃんと生きていたら良いこともあるよね。
キムタクだから観ました
パリタクシー(2022年、クリスチャン・カリオン監督)のリメイクだそうです。
優しい時間が流れておりました。
ラストにちょっとだけ盛り上がる感じです。
運転手キムタクをアップでずっとみて居られて幸せ…笑
公開2日目で 年配の方が多かったです。
派手さはないですが こういう映画を年末年始に観たら 良い年越しができそうですよ!
オリジナルと比較しなければ良作
パリタクシーがあまりに良かったので
そこと比較しちゃうと残念な気持ちにはなりますが
キムタクがキムタクを8割方封じていたので
とてもよかったです。(めちゃくちゃ褒めています)
それでもオリジナルではとてもくたびれ、
人生にも投げやりになり掛けていた運転手だったので
キムタクはやはりかっこよすぎましたけども。
正直、山田洋次監督らしさ全開過ぎました。
美しい銀杏並木や東京駅、東京タワーなど
こちらとしては、はとバスならぬハトタクシーにでも
乗ってるかのような錯覚を覚えつつ
すみれの語りに耳を傾けるそんな感じでした。
まぁ同僚?先輩のタクシー運転手や実姉を
あのキャストにしたのは狙いすぎているようで
個人的にはちょっとシラケたかも。
良くも悪くも山田洋次らしい作品
<総評>
良くも悪くも山田洋次らしい作品だと思いました。
話の流れに違和感がなく、ところどころポリコレが散りばめられているものの、そこまで主張の激しさや強引さは感じられないので、許容範囲だった。
ただ、山田洋次らしさが強すぎて、話のスケールが寅さん時代から広げられていないと感じた。
<あらすじ>
家族を養うために個人タクシーで運転手として働く宇佐美浩二(キムタク)。夜勤明けに新規で予約が入り、その予約客が高野すみれ(男はつらいよのさくら)というマダムで、そのマダムに振り回されつつもお互いに打ち解けていく…というストーリー。
<気になった点>
すみれマダムの過去話を聞きながら展開が進んでいくのだが、話の内容やスケールが寅さん時代から使い古されているようなネタが多く、焼き直しレベルにしか見えない。
ただ、この手のネタが好きな人にとっては問題のない完成度の構成だと思われる。
以下、使い古されたネタと感じたもの一覧
・若い頃に好きな男とできちゃったものの、子どもができたことに気づかずに別れてしまう
・子どもを育てながらも、男を作って映画館にいちゃつく(その間子どもは母親に預ける)
・結婚した男が亭主関白で、前の男の子どもが気に食わずに虐待する。すみれには自分の子どもが欲しいと言って、カラダの関係を迫る(結婚して夫婦の関係なのにね)
・すみれが刑務所に入ったことで、息子がグレてバイクの事故で亡くなる…などなど
一番すごいなと感じた点は、結婚した男の「昭和の男」らしさというか、幼児性をうまく表現できていたと思う。
この男はおそらくそんなにモテるわけではなく、コブ付きのすみれを狙って結婚まで持ち込んだものの、己の欲求(甘えたい、自分の子どもが欲しい)が満たされないがために妻や連れ子に当たり散らし、結果破局してしまうのは救いがないように思える。
裁判で男性機能がなくなった旦那に対して、すみれの「世の中のためになったと思います!」という発言は、山田洋次らしい発言のように思える。リアルに考えると、性機能がなくなるどころでは済まないレベルだと思うが…
刑務所に入るまでがクライマックスで、ここから話のスケールが一気に限界を迎える。出所後は美容院で働き、外国人のネイルに憧れて渡米し、働きながら勉強してネイルアーティストになって…と膨らませられそうな話題が出てくるものの、ここからの描写は段々と言葉だけ済ませられる。このネイルアーティストの設定のおかげで、すみれはリッチなマダムになれたのだが掘り下げがないせいで無駄設定と化しているように思える。これならお金持ちの人と再婚したほうがまだ自然なように感じる。
この辺りの描写の少なさから、下町スケールの話しか組み立てられないのではないか?と感じました。それが悪いと言いたいわけではないが、感動するには物足りなかったです。
ただ、よかったと感じるシーンもありました。
キムタクが、すみれの旦那の虐待話を聞いたことで反省し、喧嘩していた奥さんに電話で謝ろうとするシーンにはほっこりとさせられました。
とても良かった。倍賞千恵子さんの深みのある人生がにじむような声。だ...
素晴らしい
素晴らしい映画体験
原作映画であるパリタクシーは残念ながら未見。
倍賞千恵子が演じる老婦人の役名はすみれ、彼女が木村拓哉演じる浩二のタクシーに乗り込むのが柴又帝釈天前。ここからも明らかなように、この映画が彼女がさくらを演じた男はつらいよを参照しているのは明らかだ。この作品は高野すみれという架空の女性の激動の生涯を描きながら、戦中から始まる日本の歴史を東京を巡りながら辿り、更には女優である倍賞千恵子の歴史をも重ね合わせるという非常に多層的な作品となっている。またこの作品の大きなテーマの一つが男性による女性へのDVであり、蒼井優が若き日のすみれを演じる回想シーンではつらい場面が続く。ただし現代パートでの演出は軽妙で無駄がなく、2人の会話シーンが中心でありながら、テンポが良いこともあり重い回想シートとのバランスが取れている。
本作にはハッとするような名シーンがいくつかあるが、特に若き日のすみれを演じる蒼井優が、タクシーの倍賞千恵子の隣の席に突然現れ倍賞の手を握る場面。何の説明もなくシーンの解釈は観客に委ねられる。若いすみれが激動の人生を生き抜いた現代のすみれを労うようにも見えるし、蒼井優という女優が大先輩である倍賞千恵子に親しみを込めて敬愛の情を示しているようにも見える。いずれにしても、本作屈指の名シーンであり、思わず嗚咽しそうになった。
最後に木村拓哉について。本作では柔らかい受けの演技に徹していて、キムタクの役者としての新たな側面を見せている。それが監督の狙いだったらしいが、こんなキムタクをこれからも見たいと思った。娘の入学金の金策に困り妻とちょっとした言い合いになり、朝食の納豆を一生懸命かき混ぜるような普通のお父さん。いい塩梅の味わいがあった。
東京の車窓から
すごく良い映画ではあったけど、角川シネマ有楽町をメインに、小規模の公開だった『パリタクシー』をリメイクに選ぶなんて、なんで?ってのが最初の感想。
山田洋次監督だから、おかしな改悪はないってことは分かるとはいえ、正直なところ「どう変わったか観てやろうじゃないの」的な、少し意地悪な気持ちはあったかな。
慰霊碑のエピソードを東京大空襲に置き換えるとは、なるほどオリジナルを踏襲しつつ、上手く日本映画として落とし込んだなぁと感心。
その時点で、この映画に対する邪な気持ちは無くなった。
内容を知っているから迫田さん登場で、お前がアイツかー!と怒りが先走り。当然ながらやっぱりイヤな奴。
そしてこちらでもやはりザマァな目に遭うワケだけど、『パリタクシー』を観ていない方が、すみれさんの過去のインパクトはあるのかな。
実際、一緒に行った母も驚いていたし。
最後のすみれさんからの贈り物に関しては、娘の進学エピソードを加えたことで、あげる理由としてしっくりくるなと思った。
柴又がスタートだったり、電話出演に大物引っ張ってきたり、遊び心もあって面白かった。
ルートは無茶苦茶だった気がするけど。
二人の会話がとても良い
「山田洋次監督の松竹映画」という映画
ちょっと中途半端だった感じ。もっと我儘に監督の好きな様に作れば良かったのに。
まず最初に原題のパリタクシーは話の構成以外は本作の存在に重きをなしていないと感じました。本作はパリを東京に置き換えたパリタクシーのリメイクに見せかけた山田監督自身のレミニセンス作品だと感じました。
「山田・倍賞・柴又出発」これだけで判る人は判るようにこれは山田監督の昭和~平成(山田映画の黄金期だった時代)へのレミニセンス作品なのです。そして同時に時代の流れと共に移り変わっていった日本へのレミニセンスも込められています。レミニセンスを語る為に倍賞さんが演じる「時代の語り部たる高齢者」が各地を巡ると言う設定の最優先目的を達する為にタクシーが必要で、そのために原作としてパリタクシーの構成・設定を利用したのでしょう。
リメイクに見えるこの映画に隠された主題は山田監督のレミニセンスであり渥美清亡き後それを共に共感できる倍賞さんを軸にして作った作品だと感じました。パリタクシーのリメイクだとか木村拓哉を中心にして映画を観ると先入観で目が曇ってしまって、この映画の本質を捉えられないでしょう。それ以前に時代の背景や心理・行動はその時代を生きてないと共感しづらいとも思える。(昭和はハラスメントと言う言葉が無い時代だからね。親も教師も言葉より殴って聞かせてOKな時代。初期の寅さんなんて今だとハラスメントの権化みたいな人だからね。w)
そうなると観ている若い観客は倍賞と木村の掛け合いだけを共感対象として観る事になってしまい、映画全体に隠されている魅力を味わう事ができないので酷評が立つことになると思われます。
最後に本作は、例えるならば『宮崎映画を全部見た挙句にマニアックな設定集や自伝を読まないと「君は~」の良さが理解できない』等とオタクっぽい評論家やジブリマニア達が口を揃えて言う様に、「男は~」シリーズをある程度見ないと本作に込められた山田監督のレミニセンスを感じ取る事はできないといえるでしょう。できれば寅さんシリーズを最低20作以上見てからもう一度鑑賞しなおしてみてください。時代を生きた年寄りでなくてもまた違った感覚が湧くと思います。
ほっこりする「東京〜横浜間の名所巡り」
なんとなーく「評判いい」くらいの噂を聞きつけて鑑賞を決めました。
また、原作の「パリタクシー(原題: "Une belle course")」は本作鑑賞後にアマプラで(吹替版)視聴しました。
かなり面白かったです。
終盤(特にラストシーン)はウルッときちゃいましたし、
翻訳できれば海外の方にも「23区+ちょっと横浜の観光名所ストリートビュー」体験ができる映画としてもアリな感じがします。
で、原作である「パリタクシー」との比較なんですが、
原作から追加されたシーンや、フランスと日本という舞台の違いに合わせて改変された細かい設定の違いなどはあれど、
概ね同じ映画となっていますが、
「こっちはTOKYOタクシーの方が…」とか「ここはパリタクシーの方が…」とそれぞれ良い点があるので、
どちらも甲乙付け難い良さがあり、それを見比べてみるのも良い体験になりました。
なのでそこら辺をちょっとだけ列挙します。
①終盤の宇佐美とすみれさんのとあるやり取り
…終盤に宇佐美とすみれさんが目的地に着いて別れるシーンがあるのですが、そこに原作から追加されてるやり取りがあります。
これに関しては「入れた意図」は分かるのですが、
ここはもう少し柔らかいやりとりにして、「また逢いましょう」って感じを強調した原作の方が好きでした。
原作見る前もやや安直に感じました。
②本作で追加された「阿部さん」
…原作だとマダム(マドレーヌさん)の代理人ってめっちゃ出番少ないんですが、
本作では笹野隆史さんが演じる「阿部さん」というキャラに変えて序盤から登場させる事で、物語にサラリと、しかし確実に厚みを持たせていたと思います。
宇佐美との絡みも原作より自然でしたし。
③宇佐美が衝撃の事実を知るシーン
…これも終盤のシーンなんですが、宇佐美が再度高齢者向け施設を訪れる際にとある事実を知ってショックを受けるシーンがあるんですが、
「木村拓哉さんらしい演技が光ってる」と思う反面、
ここは原作通りもっと「ショックを受けてる」ってシーンにしても良かったと思います。
そうする事で同伴した優香さん演じる奥さんが寄り添う演技がもっと際立ったと思います。
④ある手紙を読むシーン+その後の追加シーン
…ここは最終盤ですね。ここは原作も本作も読んでる最中の演出は本当に良いんですが、本作はそこに細かい演出(たとえば読んでる最中に度々映る別の人物たちのやり取りや、外が晴れて光が差し込む演出など)を追加していてとても良かったです。
そして原作は読んでエモーショナルに終わるんですが、そこに帰りの車中のシーンによる「ほんのりエモーション」を追加してて凄く良かったです。
他にも色々語りたい事があるのですがネタバレになるのでこの辺で。
「序盤にマダムの隣に映る『誰か』のシーンとかは原作同様、唐突過ぎるしヤバいシーンの後にそういう演出するからあんま刺さんねぇなぁ…」とか細かい指摘もできますが、
総じてかなり上質な「ほっこりロードムービー」として仕上がってたと思います。
迷っているなら是非観てみてほしい一本です。
昭和の残り香と、木村拓哉の静かな成熟が支える「人生の残照映画」
本作を観ていると、物語そのものの起伏よりも、そこに存在する「人間の時間」がじわじわと迫ってくる。84歳の倍賞千恵子が演じる老女の、あの立ち姿、あの声の震え、あの少しゆっくりした呼吸。作り物ではなく“人生の重さそのもの”がスクリーンに染み出していて、観客は彼女の言葉を聞くというより、彼女の時間を共有させてもらっている感覚に近い。演技というより、存在の説得力。これだけで映画が成立してしまうのだから、本作はある意味でズルい。
そして木村拓哉。ここ数年で彼が纏うようになった「力みのない大人の余裕」が、この映画で見事にハマっている。かつての“主人公然とした木村拓哉”ではなく、相手の人生を静かに受け止める“聞く側”の演技ができている。無駄な感情を乗せず、距離を詰めすぎず、沈黙を大事にし、相手の話を遮らない。演技の熱量を一段引いたところに品が宿っていて、「自然な紳士」という言葉がこれほど似合う木村拓哉は初めてかもしれない。彼の成熟そのものが、この映画の温度を決めている。
ただし、物語構造は正直いびつだ。人生の終盤を描く映画にありがちな“死の気配”の伏線が弱く、いきなり訪れる死と、その直後に提示される遺産相続があまりにも急で、観客を感情の橋から落としてしまう。原作『パリタクシー』では、都市の冷たさや人生の終わりがじわじわと積み上がり、最後の別れに向けた心の準備ができる。しかし日本版は、良くも悪くも“情緒優先の昭和文法”で、物語の最後を整えるためのイベントが急に降ってくる。ここはどう考えても弱点だ。
また、「ロードムービー」のように宣伝されているわりに、旅の必然性や外界との衝突がほとんどない。東京から葉山まで移動しているはずなのに、外の世界の温度が物語に入り込まず、タクシーは旅を運ぶ器ではなく、ただの密室として機能している。旅は人を変えるものではなく、この映画では“語りを運ぶ背景”に過ぎない。この点は完全に原作との差で、都市のザラつきや傷が削ぎ落とされてしまったことで、映画が持つ社会性の部分が薄れてしまった。
とはいえ、本作を単に物語構造の粗さで切り捨てるのはもったいない。むしろこれは、昭和から平成を生き抜いた二人の役者が、その人生をスクリーンに刻む“残照の映画”だと思う。劇的な展開があるわけでも、深い社会批評があるわけでもない。ただ、老いていくということの寂しさと尊さを、倍賞千恵子の身体が語り、木村拓哉の成熟がそれを静かに受け止める。それだけで充分に胸に残る。
美しい映画とは言えない。完璧な映画でもない。けれど、人生に寄り添う映画だった。そういう作品を、たまには観てもいい。
令和のファンタジーなのか、ハッピーエンドと言えるのか A Reiwa-era fantasy, or can it really be called a happy ending?
元になった【パリタクシー】は観ていない。
観たいと思う。
鑑賞した席の周りは偶然、
演じる倍賞千恵子さんと近い年齢の方々だった。
(自分よりも20近く上の先輩方)
思わず声が出るリアクションも、
今回に限っては、むしろ好印象。
だが、途中のあるシーン以後、
倍賞千恵子さん演じる主人公に共感できなくなった。
ネタバレになってしまうが、
過去に、私生児を産み、
その後、連れ子を伴って結婚。
だがその相手と色々あり、
子供に対する暴力行為の怒りから
相手の生殖器に熱湯か熱い油(?)をかけ
殺人未遂に問われ、何年か刑務所に。
そこからは、
一命はとりとめたが、生殖機能を失った夫と
当時新聞でも話題になったこの事件の
主人公の息子のその後が気になって
引っ掛かかりながら観ることになった。
気になってもとの【パリタクシー】のあらすじを見たら
元の話も夫にした行為は同じか・・・・。
(オリジナルはガスバーナー)
夫は生殖機能と社会的な立ち位置を失い、
子供は、犯罪者の息子というラベリングで、
想像を絶する扱いを受けたことは容易に察しがつく。
終わりよければ~なのかもしれないけれど、
元夫と子供にも人生は続くわけで。
手放しに良かったとは思えない映画だった。
I haven’t seen the original film A Paris Taxi.
I’d like to.
By chance, the seats around me were occupied by people around the same age as Chieko Baisho, who plays the lead—folks easily twenty years my senior.
Their spontaneous, audible reactions actually left a good impression on me this time.
However, from a certain scene onward, I could no longer empathize with the protagonist played by Chieko Baisho.
This will involve spoilers, but:
in the past, she gave birth to a child out of wedlock,
then later married, bringing that child into the new household.
Various things happened with her husband, and in a rage over his violence toward the child,
she poured boiling water or hot oil (?) over his genitals,
was charged with attempted murder, and spent several years in prison.
From that point on, I watched with a constant snagging feeling, preoccupied with what became of the husband—who survived but lost his reproductive function—and of the protagonist’s son, after this case that had once been talked about in the newspapers.
Curious, I looked up the synopsis of the original A Paris Taxi,
and it turns out she commits the same act against her husband there as well…
(in the original, it’s with a gas burner).
The husband loses both his ability to have children and his place in society,
and it’s easy to imagine the son, branded “the child of a criminal,” being subjected to treatment beyond anything we’d care to picture.
Perhaps you could say “all’s well that ends well,”
but the ex-husband and the child also have lives that go on.
I just couldn’t see it as an unqualified “good” film.
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