劇場公開日 2025年11月21日

「人生、仕事、映画への、ほとばしる愛とリスペクト」TOKYOタクシー 青樹礼門さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 人生、仕事、映画への、ほとばしる愛とリスペクト

2025年12月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

あのガラス越しの場面に、こちらの声がとどかない、もどかしさに涙。

ああ、久しぶりに華がある、女優の表情、それを見つめる男の顔に、映画のロマンがありました

この映画の素晴らしさは、
緊張感がずっと継続している事!

運転手は、日々の疲れや夜勤明け、娘の進学や金策などで問題山積み、寝不足。
マダムは、施設暮らしを控えて、ひとりぼっち、心臓にペースメーカーを入れている、などなど。

二人とも不安要素満載で
どうなるか、ヤケクソになってもおかしくないから
ハラハラドキドキしながら見ていました
スリルとサスペンス

一方、回想場面は、マダムのこれまで生きてきた人生が紐解かれていく、
まさに人生とは先が読めないミステリー展開

果たして無事目的地に辿り着けるのか?
一日のタクシー乗車時間と
一生という長い時間の
並列描写が、まさに映画の時間を楽しませてくれます

映画とは時間の旅
柴又から葉山までの移動があり、
いろんなイベントが発生することで、
観客は、この二人と一緒に体験できるような仕組み

真実は虚実のあいだにある、と言われます

俳優さんたちも、倍賞・木村・蒼井の三方が、
これは素なのでは?というくらいナチュラルな実像を思わしながら

フィクションとしての役柄、
いわば虚の部分、しっかりと芝居として成立させて
まさに虚実相まってマリアージュなミルフィーユ!

いずれ、舞台やドラマにもなるんじゃないでしょうか

人生、仕事、映画への愛の賛歌です

最近の映画も細かく研究し、若い監督からも学んでいる94歳の名匠に脱帽です

山田洋次、倍賞千恵子の愛の賛歌という寅さんより前の映画を見たくなりました

友人に説明するときにどんな映画か?
そうですねドライブマイカーとPERECT DAYSを足して2で割ったというよくわからない言い方にしますかね

青樹礼門
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!

詳細は遷移先をご確認ください。