劇場公開日 2025年11月21日

「『学校』『息子』に並ぶ良質な作品」TOKYOタクシー M•Yさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 『学校』『息子』に並ぶ良質な作品

2025年12月8日
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山田洋次監督の91作目となる『TOKYOタクシー』を観た。
倍賞千恵子と木村拓哉の共演。キムタクについてはハーウエイの広告に出たとか、その真意を聞きたいと思う。監督が山田洋次だから観に行ったのである。
映画を観て涙が出たのは『青春の殺人者』以来である。
山田洋次の作品は、根底に人間の暖かさがあるから安心して観れる。勿論、言いたいことの核心に迫った時は言い難い緊張感に包まれる。描く人間模様はユーモアを要所要所に入れ、実に重たい内容を丁寧に活写するのだ。
長い人生の終わりを迎え、もうすぐ終わろうとする1日の出来事を淡々と描き、それは賠償千恵子のセリフの言い回しによく出ている。暗い過去を持つ自分がさいごにできることは東京見物なのである。その案内人として運転手の木村拓哉との出会いがある。賠償千恵子の若い頃を演じた蒼井優の演技は、鉱脈をあてたような出色のものである。夫の暴力に立ち向かい、夜中、就寝中の夫の性器に沸かしたての熱湯をかける。裁判で9年の刑を言い渡される。熱湯のシーンはこの映画の中の重要な部分なだけに何か救いようのない絶望感に襲われる。
さいごに、賠償千恵子は、木村拓哉との会話のやり取りや食事のシーン、目的地へ着くと急激に襲われる淋しさ。そして、突然の死。
観終わって「もっと観たい」と思わせる最良の作品に仕上がったと思う。

M•Y
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