「夕凪」TOKYOタクシー ブレミンガーさんの映画レビュー(感想・評価)
夕凪
オリジナルの「パリタクシー」がめちゃめちゃ好きだったので、日本でのリメイクってそのままなぞってもいけるか…?と懐疑的な目で観ていましたが、蓋を開けてみれば忠実なリメイクで、東京という街を巡るにしっかり置き換えられていて良かったです。
娘の学校の入学費用に悩む個人タクシーの運転手の浩二が、急遽入った仕事で老人ホームに移る予定のすみれさんをタクシーに乗っけて過去を振り返り、今を憂うというほぼ2人での会話劇がメインですが、観やすさというかバランスが絶妙で心地よかったです。
最初はお互い無関心だったのに、徐々に心境を打ち明けてたくさん話すようになり、お互いのことを名前呼びしたり、すみれさんが立ち上がる時に腕を差し出す浩二には優しさが滲み出ていて惚れちゃいましたね。
2人で楽しく会話しているだけでも面白くなるってやっぱ素晴らしいわ〜ってなりました。
一緒に飲み物を飲んだりお菓子を食べたり、初恋の話をしてみたり、夜ご飯も食べたりと、とっても幸せな空間が流れていて微笑ましかったです。
同時にすみれさんの激動の過去が語られ、朝鮮人と恋に落ち、子供ができ、再婚するも旦那がDVをはたらくクソ野郎というのも明かされたりしながら進んでいき、オリジナルと同じような形での進行になります。
子供のその後だけ少しいじられていますが、パリと日本ではやはり事情が違うのでこの変更はしゃーなしかなと思いました。
オリジナルを観た時にもひゃ〜ってなったんですが、今作でも男性の肝が冷えるような展開がスタンバイしていて、熱々の熱湯をオティンティンにぶっかけて生殖機能にトドメを刺す容赦のない行動、それまでの旦那のDVっぷりを観ていればこんくらいやらないと気が済まないんだなとは思いますが、自分がもしこれをやられたらと思うとゾッとします。
日本風に解釈するとここは熱湯なんだという衝撃込み込みで一番印象的なシーンでした。
終盤の老人ホームでのくだりは悩ましいながらも、どうしても人の目ってのは気にしてしまいますし、とっても良い人面白い人だからこそつい言葉に出して怒ってしまったんだなと思う場面もありました。
その後の展開もオリジナルをなぞり、棚ぼたな感じはしますが、一つの善い行いが大きく恩になって帰ってくると思うとそれはそれで良いのかなと思いました。
もう少し余韻をもたせて終わってくれてもとは思いましたが、変なことをせずに終わったので良しです。
キムタクはいつものキリッとした役回りとは違う、地に足ついたイケオジになっていて、最初はあのおじんをキムタクがやるのかと思っていましたが、終わってみればキムタクで良かったと思えました。
倍賞さんの品もあるけどユーモアもあるお婆ちゃんがとってもキュートで、オリジナル元とはまた違う良さがこれまたありました。
王道のリメイクではあったので満足度も結構高めです。
東京ってやっぱり色々入り乱れている不思議な街なんだなと再認識しました。
鑑賞日 12/3
鑑賞時間 13:20〜15:15
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