「旅は道ずれ世は情け」TOKYOタクシー たそがれさんの映画レビュー(感想・評価)
旅は道ずれ世は情け
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東京・柴又から神奈川県・葉山までのタクシー運転手とその乗客の老女の織りなすロードムービー。
過行く時間と通り過ぎる景色のリズムが重なり映画ならではの魅力が横溢する。
主題は老女の辛く厳しい人生行路がメインである。
私はこの老女と同年配なので色々思い当たる事がありました。
特に老女の恋人が北朝鮮出身で彼が祖国の建設にわが身を捧げたいと「北朝鮮帰還船」にのって北朝鮮に行ってしまう場面に心がゆれました。
その当時のニュース映画が出てきましたが私も何度もそのフィルムをみました。
実は私は「北朝鮮帰還船」で北朝鮮へ行ってしまった人達のその後に興味があり色々な情報を集めていました。
そこで知ったのは祖国の建設に希望を抱いて帰還した人々を待っていた苛酷な現実でした。
理想と現実の残酷な齟齬に翻弄された人たちが本当に可哀想でなりませんでした。
さらに老女が彼との間に出来た子供を守るために罪を犯したのにその子が服役中にバイクの事故で死んでしまったあまりに酷い運命。
でも彼女は強い性格とバイタリティーで生き抜いてきました。
今彼女は最後の時を過ごす為に葉山の施設に向かう。
そこで人生を振り返ってみれば幸せとは言えないがこれが私の人生と感慨深い物が有ったでしょう。
倍賞千恵子と木村拓哉はそれぞれ好演。
ラストの宝くじに当たったような奇跡が微笑ましい。
山田洋二監督は現在日本映画の至宝とも言うべき名監督で本作でもその実力を見せてくれました。
本年掉尾を飾る佳作です。
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