「「パリタクシー」が素晴らしいと改めて教えてくれます。」TOKYOタクシー ヤマッチさんの映画レビュー(感想・評価)
「パリタクシー」が素晴らしいと改めて教えてくれます。
山田洋次監督の「パリタクシー」を題材にした理由として
「内容は重いのに何故ここまで軽快かつユーモラスに観られるのか。どんなところにその秘密があるのだろうかと考えさせられた」
「こんな時代だからこそ軽やかに 楽しく観られる作品を観たいという気持ちが僕にもあるし、この素材はそのような作品になりえるのではないかと思う」とコメント。
そのコメントどおり、「パリタクシー」のベースをしっかりと踏まえています。
金の工面に頭を悩ませて、労働環境の不満、社会に対する苛立ちなど、とにかくイライラしている運転手という設定、おばあちゃんとの出会いによって、冒頭しかめっ面だった運転手の顔が徐々に紳士の表情を見せていく過程はそのままです。フランスではなく、東京という特有の雰囲気を合わせていますが、ここは「男はつらいょ」で培った表現力が発揮されています。おばあちやんの過去についても刑務所生活や息子との別れも網羅されています。こちらの方が大げさではなくむしろリアルに感じました。
冒頭のすごく着飾った装いでいかにも金持ちマダムとして登場、大企業の社長夫人設定と思ったら、単身アメリカに渡ってネイルアートを学び、日本でネイルサロンの先駆け的存在として成功していたとは中々の発想です。
ラストはいい感じでフェイドアウトではなく、ここは山田監督。ガッツリと描き切ってちょっとした出会いにより一人の男とその家族の未来までも変えてしまう奇跡の物語としています。
そして、本作での見どころに木村拓哉の出演です。誰が言ったか「何を演じてもキムタク」といいにつけ、悪いにつけ評価されました。しかし、それが封じられてしまいました。
基本倍賞千恵子の話を聞く立場にあるので、普段受け手の芝居なので「キムタク」が発揮できません。これはこれでありでした。
しかし、絶妙な目配せをする、もう一度仮眠を取ろうとアイマスクを着用しようとするもうまくはめられず、結果外して布団被って寝る小芝居、車から降りた後、車のキーリモコンを使う仕草など、細かいところはキムタクです。
サービスシーンでは、優香です。シュークリームを食べるシーンです。監督の演出ではなく、志村けんから培った表現力です。
パリタクシー鑑賞者としては、うまくリメークしていますが、やはりオリジナルが素晴らしいからと再確認しました。
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