「日本リメイクの良し悪し」TOKYOタクシー naichinさんの映画レビュー(感想・評価)
日本リメイクの良し悪し
舞台設定は東京に変わり、役者に合わせて役柄が変わってはいるものの、全体的には、ほぼ原作の「パリタクシー」まんまだったのが意外。
御歳94歳の山田洋次監督が見た東京の昭和100年史を目指したのだろうか?
ここからは、原作「パリタクシー」と比較して。
主人公の運転手。ちょい悪オヤジからキムタクへと変わった為、よく言えばスマート、悪く言えば味のないキャラクターになった。ちょっとイラちな部分のあった原作の方が、まるで家族の様になった雰囲気があった為、ラストへの説得力にも繋がっていた。
お客の老女、原作の92歳から85歳への変化は倍賞さんの年齢に合わせたものか?
暴力シーンが薄まっていたり、交通ルールに関する点は邦画のロードショーの限界か?
彼女の息子の死因が原作から変わっているのは、それに見合う日本の歴史上の出来事が難しかったか?しかし、かなり薄味になった事も事実。
ラスト近く、原作から変更していたと思うシチュエーション、「こんな所で終わりにしたくない、今夜はホテルで泊まりたい」という部分、山田監督がもし最後を迎えるなら、やはり人の営みを感じる街なかで、と考えられたのか、そんな思いが垣間見える気がするとともに、日本の老人ホームの住宅事情問題も見えて、この歳になると考えさせられる。
また、運転手の奥さんが圧倒的に原作の方が良い人に思えるのは、日本の教育問題も炙り出しているのか?
町山さんの配信を見て追記。
成程、戦後日本の憧れが下町を出て団地に住む事。
その姿を描いたのが山田洋次監督倍賞千恵子主演「下町の太陽」。
しかし、その団地も今や跡形もない。
そして、下町に縛り付けられたのが、寅さんシリーズ。
そのどちらもが行き着く所が、今回の老人ホーム。昼間は綺麗だが、夜は静かで不気味で淋しい。
成程、面白い。
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