「助演・木村拓哉の立ち振る舞いと山田洋次監督の技を大満喫」TOKYOタクシー よしてさんの映画レビュー(感想・評価)
助演・木村拓哉の立ち振る舞いと山田洋次監督の技を大満喫
原作「パリタクシー」はかなり気に入っており、国内でリメイクと聞いて「大丈夫かな?」と思っていて期待度はやや低い状態で鑑賞。
序盤の家族の会話でやや時代錯誤感を感じ、タクシー運転手の同僚や主人公の叔母などのキャスティングで、低い期待度がさらに下がったのですが……。
原作で一番味わえなかったのが、パリの街並みで、美しくはあったのですが土地勘がないため、単なるきれいな街並み以上の印象がなかったんですよ。それを東京下町から神奈川県の葉山までの道のりにしたことで、ロードムービーとしての味わいがグッと向上していました。
特に序盤に回っていた町並みは私自身が土地勘のあるところだったので、観ているだけでも楽しい作品です。
演技面ではやはり木村拓哉さんでしょう。
いつものスター・木村拓哉ではなく、抑制された演技で倍賞さんを立てる形で助演として好演されていました。もともと好きな役者さんでしたが、一時期加齢に抗うような雰囲気があり、すこし苦手になっていましたが、今回の木村さんは素晴らしい。
過去パートは構図なども含めて、原作パリタクシーを忠実に再現しながらも、日本の戦後史のトピックや寄る街並みのエピソードも絡められていて丁寧かつ味わい深いストーリーです。
とくにラスト近くの原作にはない宿泊場所をめぐるエピソードを追加したことが素晴らしい。あれによって主人公の心残りが明確に描かれ、単なる美談ではないほろ苦い後味が追加されたことが最高でした。
ここは山田洋次監督の腕の見せ所だったともいえましょう。
大満足!
コメントする
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
