「色々あって、女もつらいわ。」TOKYOタクシー Mr.C.B.2さんの映画レビュー(感想・評価)
色々あって、女もつらいわ。
どうせ「パリタクシー」の二番煎じだろうからスルーしようかと思っていたら、NOBUさんやSAKURAIさんといった私が参考にしているレビューアーさん達が高評価。思い直して劇場へ。
11月22日(土)
MOVIX川口で「TOKYOタクシー」を。
基本ストーリーは、「パリタクシー」と同じだが山田洋次監督(脚本)によって背景に日本の歴史を絡めて上手くパリからTOKYOへのアレンジが行なわれている。
「パリタクシー」主演のマドレーヌを演じたのは歌手のリーヌ・ルノーだったが、本作は倍賞千恵子。
倍賞千恵子さんは紅白歌合戦にも歌手として出場している(70ジジイじゃなきゃ知らないか。私が小学生の頃だ)。
個人タクシーのドライバー宇佐美浩二(木村拓哉)は、娘が音大付属高校へ推薦を受けられると喜ぶが妻(優香)は入学金・授業料等で百万円が必要となるのを心配している。車検や家の更新と何かと物入りの時期なのだ。
私の娘も大学に推薦が受けられ受験の心配をしなくて良いと思ったら、いきなり美大に行きたいから美大の予備校へ通いたいと言われた時は少々ビックリした(昔の話だ)が、娘の希望を叶えてやりたいの親の気持ちは判る。
さくら、じやなくすみれ(倍賞千恵子)を葛飾柴又から葉山の施設まで送る仕事をぎっくり腰になった仲間(さんまの声だけ出演)に頼まれて夜勤明けにも関わらず引き受ける。これが宇佐美の人柄(頼まれて断らない)とラストの伏線となっている。
家を売ったすみれは、このあと住む葉山の施設へと宇佐美のタクシーで向かう。帝釈天前から出発し、すみれの思い出の地を巡りつつ車中ですみれの若き日(蒼井優)の体験を聞く宇佐美。
途中、ベンチで軽食を取った後、立ち上がるすみれにさりげなく手を貸す宇佐美。年寄りは手を添えてもらうだけで立ち上がるのが楽なのだ(私はまだ手を貸す方で借りる方ではありません。念のため)。
東京の住人から見ればいくらすみれの思い出の場所を巡るとはいえ、浅草⇒上野⇒渋谷⇒東京駅⇒新宿(都庁)と東京巡りの順路が??だったけど。
私の友人YYも「柴又から出発したタクシーが言問橋の後で雷門に寄るのはわかるけど、その後浅草橋のガードをくぐって人形の久月本店の前をまた浅草方面に向かってるなんて!タクシーの外を流れる背景は仕事で回ってた場所なのでほとんど何処を走ってるのか一目瞭然だったからちょっと方向がおかしいのでは?」と思ったとの事。
こういう事が気になると感動に水を差す。
若き日の思い出や過去の出来事を語りつつ、聞きつつ、お互いの事を知り、理解して二人の関係は深まっていく。途中、車中に宇佐美の娘から掛かってきた電話でねだられたシュークリームを買うためにすみれに促され横浜へ。二人で夕食を取り、やっと葉山の施設に到着する。
17時までにという予定を大幅に遅延して到着すると、施設の職員の対応が塩。
すみれは今夜だけはホテルに泊まりたいと願うが、夜勤明けで1日運転して疲れた宇佐美は「ダメです」と施設に送り込む。料金精算はまた後日という事で。
1週間後、シュークリームのお礼を兼ねて妻と二人ですみれの施設を訪れた宇佐美を待っていたのは意外な事実と驚きの手紙だった。
木村拓哉が普通のタクシードライバーを演じている。カッコいい訳でも、トガっている訳でもない。劇場で予告をやっていた「教場」とは大違い、娘思いのいい人でしがない個人タクシーの運転手だ。この事が珍しい。
すみれの入居する施設の職員の対応がありえない。いくら大幅に遅延したとはいえ、対応があまりにタカビー。現在の老人が入居する施設の対応とは思えない。
原作の設定のアレンジは上手く行っていた。東京大空襲やDV、息子の死は戦死から交通事故死に。
どうせなら、ラストも原作同様ではなく、もう一捻りあっても良かったと思う。そうすれば、ある意味原作とは別物になったのではないか。
あ〜、またまとまりの無い長いレビューを書いてしまった。
「パリタクシー」の時に私はどんなレビューを書いたかと思ったら、映画.comの登録前でレビューはあげてなかった。
コメントありがとうございます。
やはりさんまは声だけだったのですね。
顔を観た記憶が無かったので、いつだったかな、とは思いましたが。
蒼井優が主役だったかも、ですね。
共感ありがとうございます!
>どうせなら、ラストも原作同様ではなく、もう一捻りあっても良かったと思う。
激しく同感です。「幸せの黄色いハンカチ」みたいな、山田洋次節の炸裂した深~いラストが欲しかったですね。まぁ自分はパリタク未鑑賞なんでこれでも十分に楽しめました。
今晩は。
名前を出していただき、光栄です。
今作を観て思ったのは、私は矢張り善性溢れる人情映画が好きなのだなという事でした。今作を観ている時は、コッソリと涙を拭いていましたから。返信は大丈夫ですよ。では。





