「"もの凄い映画を観てしまった"」TOKYOタクシー あさちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
"もの凄い映画を観てしまった"
私の感想はまず
"もの凄い映画を観てしまった"
でした🥹
映画館を出てしばらくは感動からくる動揺が収まらなかったほど
開巻間も無く始まる、倍賞千恵子さん演じる、高野すみれさんが生きた戦中戦後の風化寸前の語られない昭和史の影の部分
最初に立ち寄る言問橋の戦災慰霊碑で蘇る、東京大空襲の生々しく凄惨な記憶と風化の実感🍂
北朝鮮🇰🇵への帰還事業で行方不明になる在日朝鮮人の恋人の話が語る歴史の闇
(下手くそながら補足すれば、天国どころか地獄が待つ北鮮への帰還は国内右派も左派も官民一体で協力し、体よく嘘で固めて、在日朝鮮人を厄介払いする為の悲惨な結末を迎えることになる、日本政府も事実上後押しした帰還事業という歴史の闇)
物語の背景は戦後高度経済成長期、庶民の夢と希望が詰まった公団住宅での文化生活
横行する家庭内暴力が引き起こす女性や子供への虐待の闇
そして起こってしまう凄まじくショッキングな事件と顛末
そうした描写の度にゾクゾクしながら熱い涙が目尻に滲んでくるのを私には止められなかった
主人公すみれの人生を通して、闇の昭和史に光を当てながら、静かに、焦ることなく物語は一部の隙もなく進んでゆく
山田洋次監督は94歳で91作品目にこんな傑作を生み出すクリエイティブなパワーに驚き禁じ得ず、スタイルは傑作「幸せの黄色いハンカチ」と同じロードムービーで笑いと軽快さも見事
スタート地点は「男はつらいよ」の舞台の葛飾柴又帝釈天
続いて経由するのは倍賞千恵子さんのデビュー作「下町の太陽」の舞台となった墨田区向島
さくら➡︎すみれ
すぐに気付かされる、これは山田洋次監督と倍賞千恵子さんの作品と人生の集大成なのだと🥹
キムタクと蒼井優さんの抑制の効いた名演技にも拍手👏
この映画、表面だけで捉えればただの温かい人情咄にもなるが、寅さんとも共通な山田洋次監督作品の深層に流れる、貧しい弱者にトコトン寄り添う実は社会派監督の熱い想いが溢れ返る渾身の、これはもしや遺作のつもりなのか?と気づく自分
今年の私のベストに推してもよい本作
観るものに迷ったら、心からオススメします🫡
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