「未来はお金で買えるけども、大切なのは。」TOKYOタクシー ぱいらさんの映画レビュー(感想・評価)
未来はお金で買えるけども、大切なのは。
木村拓哉がタクシー運転手!?
キムタクシーじゃんwwwwwwww
と、公開前より私は俳優目当てでこの作品に注目していた。
木村拓哉さんという俳優はそれはそれはもう誰もが知る有名俳優で、検事だったり武将だったりシェフだったり侍だったり教官だったりとまぁ素敵な役柄を与えられて彼っぽい演技で作品を支配してしまう魅力を兼ね備えている。
そんな彼が本作ではタクシー運転手である。かなり庶民派な印象を受けた。
そして監督は山田洋次さん。男はつらいよなど人情もの印象が強く、いくら数々の作品の顔となってきた木村拓哉さんでもこの監督の作風に食われてしまうのでは、、、と懸念していたが杞憂だった。むしろ彼のイメージはそのまま主人公のキャラクターの一部として取り込まれており、彼個人のファンにも嬉しい1作となっている。
と、前置きはここまでにして。
作品としてはかなり台詞を読ませてくる小説のような映画。その辺を配慮してか激しいカメラワークなどは全く取り入られておらず、登場人物たちの台詞に集中出来る画作り。それもちゃんと登場人物たちの感情の起伏を感じやすい配慮がなされている。終始穏やかな運転のシーンが続くのでこの辺はタクシードライバー系の映画の系譜とも言える。
また、背景なども、やや古臭さはあるものの生活観を意識して作られている。
時系列が過去のシーンで1部のものが現実の時代の整合性が取れていなかったりする所もあるが、リアルではないにしても、こんな人達が住む部屋ってこんなもんだよね、だとか、ここはこういう場所だよね、等、作品内のリアルを大切にしている印象を受けた。
勿論時系列は現代の映画なのでスマートフォンなどの最新の生活機器は登場するし、ちゃんと駆使するシーンもある。
だが、この作品において大事なのは、何よりその場を現在として過ごす時間そのものだろう。
楽しい、悲しい、悔しい、辛い、怒り。これらはずっとは続かない。でも振り返って楽しかったな、と思える時間こそが人生の財産。その事に気付けるかどうかが作品を楽しむポイント。
それこそ未来を憂いる大人に対し、将来を楽しみにしている娘という登場人物が割とこの作品のキーだろう。
人は時間によって色んな感情を内に秘めて、信頼できる人にだけそれらを表情にして振る舞える。
期待だったりとか、サプライズだったりとか。
案外その環境下にいる人はそれを幸福だと自覚出来ない人もいるだろう。隠し事だとか、裏切りだとか。
それらを後で振り返って、後悔はないにせよ今を幸せと呼び楽しめる人にこそ相応しい映画だと思う。
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