「楽しかった。ネタバレ含む」TOKYOタクシー ジッパーさんの映画レビュー(感想・評価)
楽しかった。ネタバレ含む
フランス映画『パリタクシー(原題: Une belle course)』のリメイクで、まさかの倍賞千恵子さんと木村拓哉さんの共演(『ハウルの動く城』のソフィーとハウル以来!)ということで、公開直後からかなり話題になっているじゃないかなって思います。
映画『TOKYOタクシー』で、私が心を動かされたのは、やはり「木村拓哉さんの新しい一面」と「倍賞千恵子さんの圧倒的な存在感」のようです。
1. 「普通のおじさん」を演じる木村拓哉さんへの賞賛
これまでの「何をやってもカッコいいスーパーヒーロー」的な役柄ではなく、生活に疲れ、少し不機嫌で、金銭的な悩みも抱える等身大のタクシー運転手・宇佐美浩二を演じたことが他の方のレビューを見ても高く評価されています。
木村さんのキラキラを封印した枯れた演技が逆に色っぽいし、ラスト、独りでハンドルを握りながら涙を拭うシーンにもらい泣きしました。
山田洋次監督が引き出した新しい木村像がこの映画の大きな見どころに感じられました。
2. 倍賞千恵子さん(マダム・すみれ)とのケミストリー
85歳の乗客・すみれ役の倍賞千恵子さんの演技は、かわいらしくも壮絶な過去を背負った重みがあり、圧巻でした。
ジブリファンの私は「実写版ハウルとソフィーの再会」なんて思い胸を熱くしました。
狭いタクシー空間での二人の会話劇だけで物語を引っ張る構成は、役者二人の力量があってこそ成立していると思います。
3. フランス版との違い・山田洋次監督らしさが満載です。
原作『パリタクシー』のエッフェル塔やシャンゼリゼ通りの風景が、本作では「柴又帝釈天」や「変化する東京の風景」に置き換えられ、見事なローカライズがなされています。
出発点が「柴又」である点(『男はつらいよ』へのオマージュ)。
すみれの回想シーンで描かれる「昭和」の風景と、現代の対比。
これらが私の涙腺を刺激しました。
4. 結末の温かさと切なさ
目的地である葉山の高齢者施設での別れのシーン、そしてその後の展開。原作を知っている人でも、日本版ならではの湿度のある情緒的な演出に涙しました。
個人的には、木村拓哉さんが山田洋次監督作品に出るのは『武士の一分』以来ですが、年齢を重ねた今だからこそ出せる哀愁が、タクシーの閉鎖空間とマッチしていたのではないかと想像します。
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