「木村さんの“普通のお父さん““普通のタクシードライバー“も新鮮です。」TOKYOタクシー 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
木村さんの“普通のお父さん““普通のタクシードライバー“も新鮮です。
人情味が色濃く、庶民的。
山田洋次監督らしい安心できる映画でした。
まず小さめのスクリーンの客席に目を配ると、
60代70代のおばあさまでほぼ埋まっていました。
中々の熱気です。
木村さんののファンってそんな年齢層が高いんですか?!
って、ちょっと驚きました。
「パリタクシー」を踏襲しつつも、衝撃性をややマイルド風味です。
葛飾区柴又までお客を迎えに行く個人タクシー運転手の
宇佐美浩二(木村拓哉]が、
葉山の老人ホームまでお客さんを送る間に、
お客である85歳のすみれさんの身の上話しに耳を傾ける
・・・そんな長い1日の物語です。
1955年頃。
20歳のすみれ(若い日は蒼井優です)は在日朝鮮人の恋人と知り合い
愛し合うようになりました。
ところが彼は朝鮮戦争当時の北朝鮮の「帰還事業」で
帰国してしまったのです。
彼がすみれに残したものとは、
「3500グラムで50センチのもの」
つまりBabyですね。
息子のシゲルを母親と育てていましたが、
喫茶店に来る客の小川(迫田孝也)と、やがて再婚。
これがすみれさんの苦難のはじまりでした。
小川は連れ子のシゲルを邪魔にしたり、すみれに暴力を振るう男でした。
ある日、シゲルへの暴力を母親から聞き、すみれはある決断をします。
小川に対する、ある傷害事件です。
この事件は「パリタクシー」と似てて、かなりショッキングです。
更に不幸は続き、すみれの服役中に息子のシゲルがバイク事故で
死んでしまうのです。
すみれの若い日の再現フィルム、
そして宇佐美の家庭(妻と高校受験生の娘)の描写が入ります。
宇佐美と妻(優香)が現在頭を悩ませているのは、
借家の更新料、車検、そして娘の私立音楽高校の入学金と学費、
(どこの家庭でもホントお金が足りませんね)
すみれが立ち寄りたいという住んでいた団地のあたりや
隅田川に架かる橋、東京駅、浅草、渋谷の交差点など
私でも知ってる名所。
そして横浜へ向かうレインボーブリッジはもう日が暮れていました。
横浜港や景色が本当に綺麗です。
すみれの頼みで腕を組んだり、(そこはキムタク相手ですから)
すみれさんも嬉しそうなのは、当たり前ですね。
ちょっと“シンデレラボーイ“的なラストも元ネタ通り。
すみれさんの最後のおねだりを叶えてあげなかった事を悔やむ
宇佐美の優しさが、とても日本的でじんわりと涙が出ていました。
山田洋次監督らしい、とても暖かい素敵な映画でした。
共感ありがとうございます!
パリタク未鑑賞なので比較はできないのですが、さすがに山田洋次監督の味付けが日本人にドはまりしていて、人情味あふれる暖かい作品でしたね。地元横浜をロケ地に選んでくれたので、子供の時に家族で買い物に行った元町を宇佐美とすみれが嬉しそうに歩いている姿を観て、ほっこり感が倍増しました。
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