「山田洋次監督の作家性は変わらない名作!」TOKYOタクシー くまねこさんさんの映画レビュー(感想・評価)
山田洋次監督の作家性は変わらない名作!
「TOKYOタクシー」を丸の内ピカデリーで公開初日の朝一の上映をみた。主演は倍賞千恵子、木村拓哉
山田洋次監督は94歳で91本目の監督作との事(!)
(ネタバレなし)
これはキムタク映画ではなく、間違いなく山田洋次監督の作家性が滲んでくる作品だった。
葛飾柴又から葉山にある場所へ移る85歳の老女、高野すみれを乗せて、彼女の壮絶な過去の人生を聞きながら進んでいくロードムービーの建て付け。東京の観光地🗼を巡りながら清々しい気分になれると思ったら、老女の壮絶な過去を巡る物語であり、昭和という戦争の世紀を生き抜き、男尊女卑の時代に耐えて生き抜いた、昭和を生きた女性の辛すぎる回顧録によるファミリーストーリーだった。
中盤、タクシーで老女すみれの手を握るあの人物の登場はファンタジックな演出ながら、涙を堪え切れないほど素晴らしかった。本作の白眉だと思う。
韓国映画「サニー 永遠の仲間たち」にも似たようなシーンがあるが、あの手の演出に涙腺は弱くなる😭
終盤、宇佐美(木村拓哉)が、すみれが滞在する場所への再訪問時のアレは予想が当たってしまったが、
身寄りが無く孤独な老女の人生を知ってしまうと本当に切ない…。そして彼女が残した宇佐美への手紙の内容は、甘めのおとぎ話にも見えるが、後悔の念駆られる宇佐美にとっては救いになり得るラスト。
夢物語のようなエンディングは、彼女の壮絶な生き様を懐柔する上でも必要な演出だったのかもしれない。 とても良い映画を観た。山田洋次監督らしい作品だった。観てよかったと思える映画。
(備忘録)
・若き日のすみれを演じる日本の至宝、蒼井優はいつも通りの安定感で好感だが、子連れ結婚した男、小林(迫田孝也)がクソ男で本当にゲンナリ…「君の連れ子だろ!」とか言って妻を平気で殴るシーンなどに非常に苛ついた。若きすみれが企てた男へのある”復讐”は仕方のない事かもしれない…しかし溜飲は下がらん。小林は万死に値する男だと思う(昭和の有害な男性性の典型であり、多数派かもしれん)
・倍賞千恵子が歌う「星屑の町」と「とても静かな夜だから」がとても素敵でした。(元々はSKD専属の歌手なんだよね)
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