爆弾のレビュー・感想・評価
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この社会に仕掛けられた「爆弾」。
この社会に潜む爆弾、それはなにか小さなきっかけが引き金となり起爆装置にスイッチが入ることで人々を恐怖のどん底に突き落とす。
それがいつどのように爆発するのかはわからない。人の中に溜め込まれた鬱積した思い、それにつながる導火線に火がつき凶器が街中で突然振り回されるのか、あるいは地下鉄内で毒ガスが巻かれるのか。
間違いなく言えることはこの社会に住む人間の心の中に溜め込まれた大量の火薬にいつ何時引火して爆発を引き起こすかもしれないという不安が常に存在するということだけだ。
原作は文庫本で500ページほどの作品だが会話劇がメインなので読むのに時間はかからない。
「スズキタゴサク」なる人物と彼が仕掛けたと思われる爆弾に翻弄される人々の姿を描いた群像劇スタイルだが、今回の映画化ではその群像劇スタイルを弱め主要人物に的を絞ったのが功を奏してか、より作品に没入できるようになっている。
原作で一般人視点の役割を担う細野ゆかりは描かれず、また刑事の伊勢の引きこもりの弟の話や等々力の上司の鶴久の娘のくだりもカットされ、原作で描かれた各登場人物の内面の葛藤もバッサリカット。そのおかげで物語がよりスピーディーで畳みかける展開となっている。
個人的にはそれが今回の映画化の成功に繋がったと思う。原作は基本群像劇スタイルなのでどうしても各登場人物の内面が描かれるのはしょうがないがそれが作品全体のテンポを落とす要因になっていた。
そのせいか、この日本ではいまいちリアリティーにかけるであろう史上まれに見る爆弾テロ事件の動機付けが甘いと感じられたり、巡査倖田の行動があまりに無理がありすぎたり、原作で描かれたスズキの台詞にも無駄が多くスズキの小物感の方が目立ち過ぎて、そんな彼に翻弄される警視庁のエリート達が逆にレベルが低く見えたりと、そのように原作を読んでいて感じてしまったいくつかの粗が今回の映画化では一切感じられないほどまさに原作をブラッシュアップさせた見事な映像化と言える。
ちなみに原作の冒頭で刑事の伊勢を「巡査」と記載するミスがある。校閲はどうなっているんだろう。
本作は理想的な原作の映像化作品「羊たちの沈黙」をも彷彿させる。かの作品も原作の枝葉のエピソードはバッサリカットして(クラリスが昆虫学者と付き合う話はまさに不要)、ハンニバルレクターというキャラクターをカリスマ的存在にまで押し上げ、様々な映像的工夫で観客に驚きを与え原作の価値をより高めた見事な映画化だった。本作はそれに匹敵する出来栄えと言える。
原作では無駄なセリフと思えるスズキの台詞をカットすることでスズキをより危険でミステリアスな存在感ある人物に描いているし、彼に翻弄される刑事たちも優秀ながら彼に敗れるのもスズキの知能の高さから致し方ないと思える。倖田の行動にも無理がないように感じられる。とにかくテンポがよく原作の弱点を感じさせない見せ方が実にうまい作品。前作の「キャラクター」を鑑賞した時この監督はなかなかの実力の持ち主だと感じていたので今回の映画化は期待していたがその期待を裏切らない出来だった。
役者陣も原作のイメージ通り、染谷翔太だけは童顔で等々力役にはどうかと思っていたが彼の演技力で違和感を感じさせなかった。
そしてやはりスズキを演じた佐藤次郎であろう。まさに和製ジョーカー(ダークナイト版)を演じた彼の存在感が本作の成功の大きな要因。ハンニバルレクターとジョーカーを足して二ではなく三くらいで割ったようなミステリアスなキャラクターを見事に演じた彼には日本アカデミー主演男優賞を上げたいが「国宝」にすべて持っていかれるんだろうなあ。
日本の最近のエンタメ作品はとても粒ぞろいで観客動員数で洋画が押されてるのもわかる気がする。
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観る者の心の形を問う映画
野生の佐藤二朗が爆弾で無双する話。
物語形式としては警察vs二朗の謎解きバトルで、留置所でヒントを小出しにして警察を走り回らせる系のジャンル映画。あらすじと予告から受けた印象をはるかに超える面白さで非常に満足感が高い。
二郎が都内に爆弾を仕掛けたことを仄めかして警察が翻弄されている内に本当に爆弾が爆発して、のっぴきならない状況へと突入していく序盤の展開はテンポが良くて楽しい。
アキバの日常を破壊する爆発。邦画クオリティにしてはCGも良く出来ている。巻き上がる爆炎、吹っ飛ぶメイドをタイトルバックにして表示される「爆弾」。これはいい。期待値の上がるオープニング。
これ以降は二郎と警察の攻防がノンストップで繰り広げられるし、丁度いいタイミングで爆弾も炸裂していくので見ている間はずっと面白い。
二郎と相対する警察側は染谷将太⇒渡部篤郎⇒山田裕貴と、なかなか豪華に人物が入れ替わっていく。
その中でも渡部篤郎が演じる本庁の刑事は今作の白眉。
中々いけ好かない感じで登場したわりに、その後の二郎との問答の中で人となりが浮かんできて、最終的には観客も心から応援したくなる印象の転換は結構テクニカル。作中で唯一、明確な激憤を表にするシーンにおいては観客もまた「やれ!」「やめて!」の二つの感情で板挟みになる。
その他、正名僕蔵の演じる所轄の課長は今どきフィクションでも珍しいパワハラとモラハラの二刀流で、最後まで褒められる所が1つもないのに妙な愛嬌があって忘れがたい。
全編通しておじさんキャラ達が愛くるしいのは作品の特徴かもしれない。
若者側では、伊藤沙莉と坂東龍汰のコンビが凸凹感が軽妙で良いキャラをしている。
ただ、登場シーンがあざとすぎて「どこかでひどい目に合うんだろうな」という事が丸わかりなのが少しいただけない。登場シーンは多いのだから、初登場でこれ見よがしに印象付ける必要はなかったと思う。
物語の核心は二朗が刑事相手に仕掛けていく「9つの質問で心の形を浮かび上がらせる」という遊び。
爆弾のヒントを出すきっかけにもなっていて、物語を推進していく仕掛けであると共に「心の形を問う」という本作のテーマそのものでもある。
登場人物がどんな心の形をしていて、どんな気持ちでこの事件に関わっていったのかは物語が進行するとともに明確になっていくのだが、二郎の形だけは掴み切れないまま終わった気がする。
大枠は掴めるが、核心までは辿り着けないまま、時間切れ的に幕が下りる。中々後を引くキャラだった。
だって関係なくないですか?という台詞に象徴されるように、作中では折に触れて観る側の心の形を問う場面がある。
無関係な所で見る悲劇はさぞ楽しかろうというメッセージであるが、見ている側としてはぐうの音も出ない正論なのであまり言い返す事はできない。
そのメッセージに重きを置くので、爆発シーンは気合が入っている。OPのアキバ爆破から始まり、中盤は決定的な爆発シーンは見せない演出をしつつ、終盤でまた爆破祭りを展開する緩急の付け方。
爆破で吹っ飛ぶ人々をリアリティというより、スタントの頑張りを魅せる方向で撮っているのは制作側の手心なのかもしれない。
ただ、爆弾で人が吹っ飛ぶ所なんて面白いに決まっているのだから、なかなか卑怯な映画である。
2人の対決は最高ですが、、、
タゴサクと類家の取調室対決が最高です。佐藤二朗さんのよくあるおふざけ強めの演技はあまり得意ではないのですが、こうした演技は最高です。まあこれだけ毒とクセとアクその他諸々詰まった役は10年に一回くらいしか無さそうですけど。対する山田さんもさすがに二朗さんに勝ち!とは言いませんが、予想以上の大健闘と言っていいのではないでしょうか。もうこのシーンだけでもいいくらい。
でも取調室の二人が強烈すぎるせいなのか、その他の人物やシーンがどうしても見劣りしてしまう。悪いわけじゃないんだけどバランスが取れない。渡部さん演じる清宮は本庁のエリートだろうけど、官僚としてエリートなのか捜査のエキスパートなのか今一歩はっきりしない(まあ両方兼ね備えるのもあるか) それどころか、いえいえ所詮、本命の類家につなぐまでの中継ぎ、前座ですからとか言い出しそうで。まあ物語の進行上、これは仕方のないことか。伊勢は最初からタゴサクに取り込まれる雰囲気満載だし、暴走する矢吹も同様。爆破シーンなどは結構頑張っていたけれど、後半はやりすぎかな。3人とひとりであそこまでは出来ないし、そもそも必要もない。
そんなこんなで細かな減点込みでも取調室の二人に敬意を表しての点数でした。
驚きの結末とかではない
まず、映像としてのルックがいい、と思うシーンが満載。特に冒頭の秋葉原のメイドさんが爆風で飛ばされていくシーン、すごくおしゃれだなと思いました。
あとスズキタゴサクの気持ち悪さが本当に気持ち悪い。映画の大画面に全身全霊でスズキタゴサクの不気味さ、不快さ、リアルさを見せつけてくれた佐藤二朗さん、他の俳優さんには演じられない役だと思いました。
けれどストーリーとしては、期待しすぎたせいか結末が期待外れ。序盤の『仲良くしていたホームレスがいた』と証言するシーンに映る人物、なんとなく石川アスカっぽいな?というのはずっと感じられていたことだったので、意外性もあまりなくそのままのオチになってしまったなという感じ。
連続爆破事件は結局、石川アスカの息子たちが計画したものだということで、スズキタゴサクはのちにその主犯に祀り上げられただけのホームレス。そのただのホームレスが、なぜプリペイド携帯による起爆装置を作り上げることが出来たのか?急に押し付けられたことにも関わらず、なぜ複雑な犯行計画を立てることが出来たのか?結局タゴサクは正体不明のままというオチなので、実は頭脳明晰で凶悪犯罪に向いた人物だったのかもしれませんが、なぜそんな人物がホームレスに?
そのあたりが唐突で説明不足な感じがしました。原作を読めばもう少し理解できるのかな。みのりちゃんのエピソードが結末の伏線になってるのかなと思いきや、本当にただの純粋な嘘でそんなこともなく。愛のない『容疑者Xの献身』って感じの話ですよね。
スズキタゴサクは始終露悪的に振る舞い、人の良心を試すような言動を繰り返しますが、あのままの彼がホームレスになった石川アスカに親切にしていたとは思えないので、恐らく彼は石川アスカに『利用された』と感じた瞬間にあのモンスターになってしまったのかなと思います。そして同時に、石川アスカから助けを求められた時、ただ誠実に自首を勧める彼でいられれば、タゴサクは今もただのホームレスであり、石川アスカが犯罪者になっただけだった。そして彼がそこで『利用された』と感じてしまうような感性を持つに至ったのは、誰にも救われず臭いホームレスとして疎まれ続けたことが原因としてあるのかもしれない。結果、「綺麗事」として、スズキタゴサクの発生を防ぐためには自身に利益がなくとも人を救わなくちゃいけないんだろうなとか、考えたりもしました。
退屈はしませんでしたが、、、、
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かなりお客さんが入っているようなので楽しみにして平日のすいている時に行きました。
しかし半分くらいを過ぎたあたりから、現実感のなさが目立ってしまって、ラスト15分程度の「謎解き」は全くおもしろくはありませんでした。
刑事がベラベラ謎解きを喋るだけで、大きく広げられた風呂敷を小さく畳まれた感覚になりました。
ストーリーの展開の仕方が大袈裟過ぎて、何が起こっても「所詮映画の話」と冷めて観ていました。
佐藤二郎
国宝か爆弾どっちみる?ってなって選んだけど、
国宝2回目みた方が良かったかな。
巡査2人?のやりとりが良かったです。
謎解きがやや駆け足でわかりづらいところがありました。
性的な表現が多くて子どもには見せられない。
佐藤二朗劇場最高!!
最初に言っておきますが、私は佐藤二朗が大好きです!そして原作読んでません!ですので最高に楽しめました!もし佐藤二朗が苦手な人は絶対観てはいけない映画です。なぜなら2時間、佐藤二郎のドアップが続くからです!そして「福田組」の笑いを誘う映画とは違い、サイコサスペンスですので、笑いを期待して観に行ってはダメです!更に爆弾の爆破時刻と場所をナゾナゾのヒントで伝えて取り調べの刑事を翻弄しますが、ナゾナゾを解く必要はありません。それをすると本筋に着いていけなくなります!私も冒頭はそれで、あれ?いま刑事達は何探してる?と置いていかれました><;
改めて佐藤二朗の演技力の凄さに驚きました!日本でこの演技ができる人が他にいるだろうか?と思います!時には酔っ払い、時には記憶喪失者、時には霊能力者、時には世の中の理不尽を全て破壊したい爆弾魔、時には刑事達の心をダークサイドへ引き摺り込もうとする悪魔。どんどん都内で爆発が起きる状況に、取り調べをする刑事達の心をへし折っていきます!はたして彼が爆弾魔なのか?ヒントは「容疑者Xの献身」です。
中盤がすごかったので、ラストに物足りなさを感じました。なので評価4にしましたが、原作では続編があるので、その前置きか!とも思います。原作読むべきか悩みます!
スズキタゴサクが強い!残念なのは、被害者の描写がリアルすぎる所。
音響いいスクリーンで鑑賞。
原作未読、短い予告編だけみて興味が引かれて観に行きました!
まず良かった点から🎶
初っ端から、スズキタゴサク(佐藤二朗さん)にびっくりました。身近にいないけど、まさにリアルにいそうな「自覚のない頭のネジが外れた人」!
劇中にスズキタゴサク(怪物?)から人に戻るシーンもあり、全然違和感感じませんでした。
他にも、本性出してからの類家(山田裕貴)の「天才すぎて弱冠サイコパス」感も最初は驚いたけどピッタリだと思いました。
以下は、残念だった点☔
爆破やスズキタゴサクが語ったミノリちゃん事件の被害者シーンが結構生々しく。
また長谷部の不祥事を等々力が目撃するシーンもしっかり描かれていて、途中気まずく感じました。
レーティングがPG-12だったので、個人的にはその辺りの注意書きあったら嬉しかったなと。
佐藤二朗さんの実力を見た作品だった
原作を読まずに映画を観ました。
佐藤二朗さんははまり役だと思う。幼稚な芝居もふざけた芝居もサイコパスな芝居も見事にはまっていたと思いました。(某F監督のコメディ作品には出ない方がいいと思う、、、)
山田裕貴さん始め、出演している主要キャストの皆さん全て素晴らしい演技だったのですが、上映時間の関係なのか、タゴサクがこの事件を起こそうと思った動機の説明や、明日香が息子を手を掛けた後なぜタゴサクを頼った等の理由の描き方が薄くて、あまり感情移入できませんでした。
この作品を見て「羊たちの沈黙」を思い出しました。
もうちょっとサイコパスとして警察側を翻弄して欲しかったし、犯人はあばいて終わって欲しかった。
あと、JRの多数の駅で爆破かあったにも関わらず、社会の混乱があまり描かれていない点にも違和感を覚えました。
長い2時間半
現実を知らない人間が妄想で作った映画という印象を受けました。もしくは、漫画の世界をそのまま現実にしてしまった感じです。
どこの場面を切り取っても浅く、登場人物の描写も薄いです。
映像作品でありながらセリフが非常に多く、セリフで状況の説明をしています。また、やり取りもマンガやアニメ感が拭えません。
物語の展開や設定も厳しく、事件に関わる人間はカッコつけだけの無能に見えます。
性的に強い要素を入れていますが、視聴者を引きつけるためだけの要素に思えます。
なにより一番魅力的でなければならないスズキタゴサクが痛々しいほど空回りしており、そのため、スズキと警察のやり取りが退屈です。佐藤二朗と加藤雅也は入れ替えた方が良いと思いました。
命は平等か?などのテーマめいたものが出てきますが、それに対するアプローチが弱いためメッセージ性として受け取りにくく、中途半端です。
それよりももっと世界観や設定をしっかり作り込み、映像で魅せる映画であればよかったなぁと思いました。
名作セブンや羊たちの沈黙を感じさせる部分もありましたが、それだったらセブンと羊たちの沈黙をもう一度観た方が有意義でしょう。
映画館でみました!
佐藤二朗さんのコミカルな演技が役柄とマッチしてすごく良かったです。
テンポが良く緊迫感があって楽しかったです。共犯者?の正体はさらにもう一つどんでん返しがあるか期待しました。
なぜたごさくが爆弾犯として身代わりになったのかあまり納得できませんでした。他に無理に犯人の家に突入したり、容疑者の指折ったり、打とうとしたり、心情が納得できませんでした。特に警察こんなんでいいのかと、でも話の都合上しょうがないのかな。
原作を読んで確認したいと思いました。
佐藤二郎がいいね。
原作を読んだ時は、佐藤二郎のイメージは無かった。けど彼でよかった。警察は、上下関係だから捜査は難航するし誰も責任をとらなない。しかし、出世欲があるから、まんまと罠にはまるんだ。脚を無くした警官のその後は映画ではなかったね。ラストはあれでよかったのかな?
まず第一に脚本が見事である
❶相性:上。
➋時代:現代、2020年代。
❸舞台:東京。
❹主な登場人物
①スズキ・タゴサク(✹佐藤二朗、55歳):
謎の中年男。酔って暴行を働き逮捕された。取調室で名前以外のすべての記憶は失っていると主張し、霊感で刑事の役に立つことができると申し出る。爆破予告とクイズを繰り出しながら、刑事たちを翻弄していく。知能犯。
②等々力(とどろき)(✹染谷将太、32歳):
野方署の刑事。スズキタゴサクを初めに聴取する。なぜかスズキに気に入られ、爆発に関する予言を打ち明けられる。予言が現実となる中、スズキの秘密を探っていく。
③清宮(✹渡部篤郎、56歳):
警視庁捜査一課・強行犯捜査係の刑事。スズキタゴサクと交渉する。スズキが仕掛けるゲームに粛々と付き合い、対話を深めながら情報を引き出そうと試みる。
④類家(るいけ)(✹山田裕貴、34歳):
警視庁捜査一課・強行犯捜査係の刑事。清宮の部下。もじゃもじゃの天然パーマに丸メガネの野暮ったい見てくれながら、ギラリとした鋭い観察眼と推理力を持つ。正攻法の清宮がスズキに敗れた後を引き継ぎ真相に迫る。
⑤倖田(✹伊藤沙莉、30歳):
沼袋交番勤務の巡査。先輩の矢吹と常に行動を共にする。スズキタゴサクが問題を起こした酒屋に臨場し、野方署へ引き渡す。猪突猛進な行動派で、爆弾捜索に奔走する。
⑥矢吹(坂東龍汰、27歳):
沼袋交番勤務の巡査長。伊勢をライバル視しており、交番勤務を卒業し、刑事になるチャンスとして野心をみなぎらせながら爆弾捜索に打ち込む。
⑦伊勢(✹寛一郎、28歳):
野方署の巡査長。取調室でスズキタゴサクの事情聴取につきそい見張り役を務める。スズキを観察しながら、その自虐的で不気味な発言に不快感をにじませる。
⑧鶴久(正名僕蔵、54歳):
野方署の刑事課長。
⑨長谷部有孔(ゆうこう)(✹加藤雅也、61歳):
警視庁捜査一課のベテラン刑事だったが、4年前、職務中に不祥事を起こし、スキャンダルとなり、鉄道自殺する。
⑩石川明日香(✹夏川結衣、56歳):
長谷部有孔の妻。夫のスキャンダルでマスメディアとSNSの餌食にされる。更に、夫の飛び込み自殺で莫大な損害賠償を求められ、一家離散し、ホームレス状態になる。
⑪石川辰馬(片岡千之助、24歳):
長谷部有孔と石川明日香の息子。父親の自殺を機に会社を退職し、シェアハウスに住みながら、密かに爆弾テロを画策する。
⑫石川美海(中田青渚、24歳):
長谷部有孔と石川明日香の娘。スタイリスト。
❺考察:命は平等ですか?
①警察の必死の捜査にも関わらず、幾つもの爆発が起き、死傷者が出る。一般の巻き添え被害者も出る。
②二つのトラップ事件では、スズキは「子共」と「ホームレス」のヒントを出すが、警察は児童施設のみを捜査し爆発を防ぐ。しかし、炊き出しに並んでいたホームレスとボランティアの人たちが爆発に巻き込まれる。
③これに関し、スズキが清宮刑事に問いかける:「命は平等ですか?」
④スズキは二律背反のゲームを用意していて、清宮の正義感を傷つけたのだ。激怒した清宮はスズキの指を折ってしまう。組織に忠実な清宮にとっては他に選択肢がなかったのだが、清宮はゲームから脱落し、類家と交代する。
⑤「正義」に関わる二律背反問題は、幾つもの傑作映画に描かれている。
⑥ジョー・ライトの『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男(2017英)』では、最高責任者のチャーチルが、ダンケルクで孤立した30万人のイギリス兵を救う為に、カレーの守備隊の4千人のイギリス兵を犠牲にする重い決断をしている。
⑦クリストファー・ノーランは『ダークナイト/ The Dark Knight(2008米)』の中で、人命に関わる2つの決断を描いている。
ⓐバットマンと共に、ゴッサム・シティを立て直そうとしているハービー検事と、2人が恋するレイチェルが、ジョーカーにより誘拐され、どちらか1人しか救出出来ない。結果はレイチェルが犠牲になる。
ⓑジョーカーが、市民の乗った船と、囚人の乗った船の両方に爆弾を仕掛けた上で、片方が爆破されればもう一方は助けると宣言する。結果は、市民と囚人の双方が相手を殺す事を拒否する。
⑧社会派シドニー・ルメットの『未知への飛行/Fail Safe(1964米)』は、東西冷戦下のアメリカとソ連が舞台。アメリカの爆撃機が誤情報によりモスクワを核攻撃してしまう。米大統領はソ連の報復による全面核戦争を回避するため、米空軍により、ニューヨークを核攻撃させる。史上最大の究極の選択である。
⑨ハーバードのマイケル・サンデル教授は、『これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学(2010)』の中で、「正義と公正」について、重要な問題を分かり易く提起している。
ⓐ「1人の命を犠牲にすれば5人の命が助かるなら、1人の命を犠牲にすることは正しいのか?」。
ⓑジェレミー・ベンサムの功利主義に関しては、「最大多数の最大幸福が正しいのか?」と問う。「最大多数の最大幸福」は、少数派の不幸を認めることでもあるのだ。
ⓒそして、「自分が生きるために人の命を奪うのは正義か?」、「命に値段をつけられるのか?」、「愛国心と正義はどちらが大切?」等に関して、具体例を挙げて議論している。
ⓓこれ等は、「正義」をめぐる哲学の問題である。社会に生きる上で我々が直面する、正解のない、にもかかわらず決断を迫られる問題である。
❻まとめ
①本作は、東京のどこかに仕掛けられた複数の爆弾を巡り、知能犯スズキ・タゴサクと警察官たちとの取調室での心理戦と、都内各地での捜索模様が、同時進行で描かれるリアルタイムの謎解きサスペンスであり、終始ハイテンションで見応えがあった。
②まず第一に脚本が見事である。犯行動機、実行計画、仕掛けられたゲーム、警察の対応、知能犯による警察の取り崩し等々、エンタメとして上出来である。原作未読だが、原作の長所を生かしていると思われる。
③もう一つは、役者の演技。中でも、クイズ形式でヒントを出し、警察を翻弄する犯人を演じる佐藤二朗に迫力がある。冷酷・冷静に、時にはユーモアを交えて、早口でまくし立てる様に舌を巻いた。助演男優賞は固いと思う。対する山田裕貴他の警察の描き方も勝るとも劣らぬ出来栄えであった。
④全体としては、上記❺に示した問題提起がなされていること。これにより、本作の厚みが増している。
⑤更には、無責任なマスメディアやSNSへの警鐘もある。
⑥一方、短所もある。
⑦一つは、犯人側のスズキや石川明日香と辰馬の人物象が希薄であること。これについては、既に原作の続編が出版されていて、そこで詳細が語られるようなので、いずれ映画化されるだろうパート2を待ちたい。本作の興行成績が良さそうなので、時期は遠くないと思われる。
⑧もう一つは、多数の死者が出ること。犯行が爆弾テロなので、死者を出すことが必須なのかも知れないが、善良な一般市民が犠牲になるのはやりきれない。
残酷からも綺麗ごとからも逃げない
犯人は腹立たしいが、いったい何がそうさせたのか、問いかけて見てみていました。常に感情に働きかける緊張感が維持できました。ふと、「ジョーカー(格差社会)」「踊る大捜査線(組織と個人)」「月(無差別殺人)」を想起してました。後半に類家の放った「残酷からも綺麗ごとからも逃げない」は一つの希望あるメッセージとして受け止めました。そして、タゴサクの思春期の件と、犯行の動機について深堀したいので原作を拝見します。それにしても、日常の傍にある爆弾という設定だけに、まあまあ心臓に悪かったですよ(笑)。仮に、爆弾こそが心の象徴(タゴサクのいう「形」?)としたら、どうやって解放したら良いのだろうか。
これは原作から読まないとダメ。
密室劇の面白さ、タイムリミットのサスペンス、ド派手な爆破アクション…、こういった要素が散りばめられて、特に佐藤二朗の演技が光っている。
…と、ここまでは誰でも書けること。問題は物語の収め方。
終盤に来て急に4番目の被疑者登場でワーッと盛り上がってきた所で『編集上、タイムアップです』と言われたかのように、ダダダッと話を詰めてしまう。
コレでは観覧者の頭と心がついて行けないと思う。かく言う自分も原作未読だったので、終盤の話のまとめるスピードに息絶えだえに付いていったような感じで終幕。
キャスト的には《映画映え》を気にし過ぎていて、勿体ない使い方をしている。これだけのキャストを使って、この尺で物語をまとめよと云うのは、いかにも酷な話。
原作も続いているようだが、これは先に原作を読んでから出ないと、観客は物語に追いつけない。
と云う意味でフジテレビさん頑張ったけど、詰め込み過ぎちゃったねという感じか…。佐藤二朗の実力を見せつけた作品ではあったが、惜しいが評価は下がる。
時間の使い方、若しくは前後編にするぐらいの思い切りの良さを見せるべきだったかと。
山田くん初め演者さん達に罪は無いが、肩透かしを喰らったような残念な作品。
面白かった
最初から終盤手前にかけてのドキドキがやばかった
終わりに近づくにつれて正直下がり気味に感じました
でも冷静になって考えてみれば、ムカつく大学生やカウンセリング医者とかいつ爆発してくれるのかワクワクした自分がいて、最後に残り一つの爆弾が見つかってないって言葉にゾッとしました
最後の爆弾って俺の今の感情かもしれない
ドキドキで怖くて考えさせられた面白い映画でした
あと佐藤二郎さんのことナメてました
すみません
心理戦と黒幕の真意。
爆弾がバーンというアクションみたいな作品かと思ったら、心理戦で取調室の1シーンのみか、と思うほどの取調室でのやりとりがほとんど。
尊敬していた刑事の先輩がスキャンダルで失墜したのがすべてのきっかけとなっているが、もう少しそのあとの家族のことも丁寧に描いて欲しかったな。そういえば、リークしたとされるカウンセラーが出てこなかった。
あと、心理戦ができるほどの知能と駆け引きができるのに、ホームレスなのはなぜなんだろう。そこも気になった。
面白かったけど分かりにくい
佐藤二郎演じる スズキタゴサク と取調官の頭脳戦。
話が進むに連れて、事件はタゴサクの単独犯ではないと判明。
ある人物達が計画していた爆破テロに乗っけられてしまったタゴサクの哀愁と世間への憎悪。
これが一回観て明確に分かった人は洞察力が凄いです。
私は 4番目の同居人が出て来て 秋葉原の犯行は違うと証言していた意味を2回見て初めて理解出来ました。
上映時間は長いですが話の展開は早いのでよく観て聴いてないと分からない話です。
タイトルなし(ネタバレ)
原作は未読。
何を演じても「佐藤二朗」にしかならない印象の佐藤二朗さんの演技が超不気味。確かに今作も「佐藤二朗」なんだけど何かが違う。
物語も先が読めない、動機だってわからない、過去に有った刑事の不祥事が絡んでいそうなのは分かるんだけれど佐藤二朗さんにどう繋がっていくのかは分からない。
爆発事件現場なんかの描写はリアル寄り、薄暗く物が溢れかえったシェアハウスなんかも不気味で、「スピード 」や「セブン」なんかが頭をよぎった。
佐藤二朗さんを前に優秀な刑事が次々と敗れていくんだけれど、誰よりも優秀だと思われていたシンガリの刑事が言葉遣いだけで意外と変化が無く期待外れだった。
ただ全編通した心理戦は凄まじく、活字なら、より詳しく描かれているのかなと思うと結末が分かっている今からでも原作は楽しめそう。さっそく読んでみる事にします。
全339件中、61~80件目を表示
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