爆弾のレビュー・感想・評価
全1159件中、621~640件目を表示
いつもの「佐藤二朗役、佐藤二朗」のようで、そうではない!
『羊たちの沈黙』や『セブン』を彷彿させる、クライムサスペンスの傑作!
最初から最後まで、ハラハラしっ放しです!
まあ、こまかい演出で「そうはならんやろ」なシーンもありますが…。(二本目の動画への学生たちの反応等)
この作品の肝は、スズキタゴサク役の佐藤二朗氏!
いつもの「佐藤二朗役、佐藤二朗」のようで、そうではない!
その他の役についても、キャスティングがハマっていたと思います♪
前半4ラスト15分が2.5かな
原作未読、マタ的もったいないシリーズに追加。染谷中心の滑り出しから寛一郎や伊藤沙莉に坂東龍太、中盤の山田が座るあたりまでがとにかく快調で、1時間ほど経って尿意を覚えてからも絶対我慢しようと思わせる展開。素晴らしい!
しかし終盤の謎解きには申し訳ないが納得できず、いつもの「ないものねだり脳」がぐるぐる回るのを止められなかった。気楽に楽しめばいいのにね。まあこれも楽しんでるとも言えるが。
夏川結衣と佐藤二郎、2人が参加する前に犯人チームが周到に仕掛けた作戦を、当事者がみんないなくなった状態で巻き込まれた元妻とタゴが乗っ取る?トラップの仕掛けを元妻とタゴがセットするの無理じゃね?原作はどうかわからないが映画として絵で見せるられると無理筋に思えた。
タゴがなぜホームレスをしているのかわからないが、とにかくめちゃくちゃ頭が回る設定で、動機が「自分が全て筋書きを書いたスマートな爆弾魔です」と思われたいから追加で爆弾3つか4つ仕掛けた、ってなんか頭悪くない?
というわけでスタッフとキャスト陣の努力に見合う力作映画であることは間違いないが「シン•新幹線大爆破」同様のもったいない印象が残りました。
最後に一言。せっかく中田青渚をだすならちゃんと顔が出る見せ場を作ってくれー!!
なお尿意は最後まで押さえつけることに成功しました。
怪演佐藤二郎と、あの人
福田組の佐藤二郎氏しか知らない人に、是非見て頂きたい。あの役を演じられるのは他に居ない。後半、泣きながら笑うシーン。。。その辺の役者では太刀打ち出来ない。
山田裕貴と染谷将太も流石という演じっぷりだ。
だだ、、、
息子の死体に爆弾を仕掛け、しかもそれが地雷のような起爆装置に繋がっているのを、母親とタゴサクがするのか?(出来るのか?)
既に連続爆弾事件が報道されている中で、警察が駅を封鎖して爆弾を探しているのに「乗せろ!」と暴動の様に人が押し寄せるのか?
自販機の中の飲料に仕掛けた爆弾が、なぜあの時間まで爆発しないのか?自販機に仕掛けた犯人は、既に死亡し、腐乱死体になるほど時間が経過しているのに、全てが販売されず自販機の中に残っているような事があるのか?
俳優の演技力が凄まじすぎて、そのパワーで観てしまうが、よくよく考えたら「そんな上手くいくかよ」とツッコんでしまう部分も多数ある。
とか何か言いながらも、この映画はパワーがある。
150分全く飽きさせない、ノンストップだ。
そして、サムライタイムスリッパーで斬られ役演ってた人が、今回は刑事役だけど、自販機爆発で殉職する役で出演されてましたね!!
唯一無二の俳優 佐藤二郎の映画でした。
始まりから終わりまで佐藤二郎さんの演技に魅了され、惹きつけられ、圧倒され、心を揺さぶられた2時間だった。
この役を演じることができるのは、佐藤二郎さん以外にいないだろう。
喜怒哀楽奇狂愛の全てを、しかも取調室という密室空間で表現することができるそんな俳優どこにいる。まさに佐藤二郎さんだけが、行き着けた役。
久しぶりに『面白い』映画を観た。
ありがとう。
最後に佐藤二郎さんにコメントが届きますように。
日本一の俳優、佐藤二郎さん今後もご活躍お祈り申し上げます。
整合性のない点が多く、取調室では小学生のなぞなぞのよう
緊迫感はあるものの、取調室は論理的な推理合戦でもなく、小学生のなぞなぞレベルに思えました。全般的に整合性がない点も多く、自分には刺さりませんでした。
俳優陣の演技力は見事です。
疑問や矛盾に感じた点は以下の通りです。
1. タゴサクが高校生の頃にストーカーをしていた女子高生みのりちゃんのくだり。自分が犯人になり代わりたかったから、自分は異様だと肉付けしたかっただけ?(だからこの時みのりちゃんの話が出てきたのか)、みたいな伏線でもなく、ここ単発で話が終わったので物足りない。
また、自分を異常者だと印象付けてまで犯人になり代わりたかった動機も、「もうどうでもいいや」 という理由だけでは弱く感じますし、共感できるくらいどこかで掘り下げて描いて欲しかったと思います。
2. 辰馬はなぜ爆弾を仕掛けたのか、シェアハウス同居人の2人はなぜ辰馬に毒殺されたのか、動機が不明。逆恨みだとしても、例えば警察署や新聞本社ではなくなぜそこに、しかも無差別に仕掛けたのか。
3. 「秋葉原の爆破と辰馬(だったかな?)は関係ないんじゃないかな」の台詞の続きは?関係ないから、何が言いたいのでしょうか。その後何かを仄めかすようなくだりもありませんでした。
4. 「タゴサクは爆破予定の山手線駅名を教えてもらえないほど信用されていなかった」というのは矛盾しています。
タゴサクはシェアハウスに住んでいないため辰馬との接点はなく、辰馬の死後ではアスカからしか爆破情報は聞けなかったはず。タゴサクは九段下と代々木の爆破情報は知っていたので十分信用されて核心の情報を教えてもらっている。にも関わらず、山手線爆破は駅名を教えてもらえないほど信用されていなかった。というのは矛盾しているのでは。
5. 死傷者も出ている3件もの連続爆破事件が起こっている状況下、爆弾が仕掛けられているかもしれない駅にあんなに人が乗車したがって混雑するんですね。私は怖くて駅から逃げるので不思議でした。
6. 類家の推理があまりにも秀逸過ぎませんか?
類家がいなければタゴサクが犯人断定、アスカまで辿り付かないでしょう。なぜ類家はタゴサクが犯人ではないと踏んだのか、その深読みに至るきっかけが何か描かれていれば自然で納得できたのですが、類家という特殊人物ありきの無理矢理な展開に思えました。
7. 最後の「爆弾はまだ見つかっていない」という言葉はただ余韻を残したいだけのように感じました。
これはヤバい
原作未読、映画のCMのみの情報で見ました。
とにかく佐藤二郎さんのスズキタゴサクの演技がウザい(褒め言葉)。爆弾も爆発して面白い(不謹慎ながら)。見て面白い映画だ。
爆発アクションもそこそこ多くて血も肉片も飛びまくってバイオレンス的に面白いが話の多くは留置場でのタゴサクと警察の会話と推理だ。
このタゴサク、顔芸と言い煽り方と言い頭に血が上るのを抑えるのに警察は皆必死。
ホームレス風の格好でとぼけた風貌と物言いだがとんでもなく頭の切れる人でないと術中にハマってしまう話術と顔芸を持っている。
まさに見所は佐藤二郎さんの演技。
こんなのがいたら皆ぶん殴りたくなるだろう。
まさにそこがタゴサクの作戦と言うか面白いところ。皆を翻弄し楽しんでいる?それも演技なのか本心なのか分からない。ウザいが引き込まれるタゴサクのウザさ。
酔っ払って酒屋の自販機を壊し店長を殴り暴行で逮捕された謎の中年男、住所不定で自称スズキタゴサク。
彼は酒屋への賠償金が支払えそうに無いから警察に協力する代わりになんとか代わりに賠償金を払って欲しいと謎の要求を持ちかける。そして霊感で事件の発生を知らせると言い◯時に秋葉原あたりで何か起こると予言。
すると同時刻にラジオ会館で爆発が。警察もまさかと思いタゴサクに更に話を聞くことにした。
爆破の犯人か関係者か目撃者か分からないが何かを知っていると。
しかしタゴサクは記憶を失っているとか消されているとか操られているとか何も思い出せないとかはぐらかす。
そして謎のゲームと言うか言葉遊びを始める。
その中に爆弾を仕掛けた場所のヒントがあるっぽい匂わせをする。タゴサクのウザい相手をしながらなんとかヒントを聞き出そうとするが…
爆弾を発見できたり失敗したり警察の面子は丸潰れ。
とにかくタゴサクと言う奴、人を怒らせたり深層心理を抉る様な事を言ったり腹立つ事ばかりで警察をおちょくる。
タゴサクは犯人か?共犯者か?愉快犯か?計画殺人か?そもそも目的はなんなのか?
警察は爆弾を全て見つけて被害を最小限に抑えることができるのか?
タゴサクと警察の勝負?が見所のひとつ。
申しわけございません
裁判 潜水艦 野球 爆弾
これらを扱った映画にハズレなし と、よく聞く。小生はこれに賛同している。
本作品を鑑賞し また実証された。
タイトルからして 爆弾 なのだから。
原作は本屋大賞にノミネートされた
アバンタイトルからタイトルまでのテンポがいい
ドーンと 画面にタイトルが表示されるのもいい。最近は こっそり表示したり 本編の最後に出したりするのが流行りみたいだが やはり勢いよく出されると高揚して 鑑る方も気合いが入るというものだ。
原作では 取調室でのクイズと称するやりとりが 見せ場である。しかし映像表現では 言葉の応酬だけでは 絶対ダレるよな。そんな心配も無用。取調室の外で動く他の人物たちをテンポよく映し 立体的に話を転がしていく。このリズムが心地よい。
シナリオの勝利だ。
物理的な火薬だけでなく 関わるすべての人間の心に抱えるどす黒い火薬に 着火していくスズキタゴサクが なんとも気持ち悪い。
観客も着火されるひとりとなる。
本作品のキャスティングが公表された際 小生はああ失敗したなと思いました。
タゴサクは佐藤二朗をすぐイメージした。でもね。あの悪ふざけの芝居をやってください、と云っているようなものでしょう。辟易しているんですよね。
そして山田裕貴も なんかチャラい芝居されると 違うしな。
そんな危惧は吹き飛びました。
作品の色にバッチリはまっております。
さすがプロの演者。そして監督のみごとな手綱さばきに 心より拍手をお送りいたします
素人の勝手な危惧。ここに心よりお詫び申し上げます。
緊張の2時間
かなり面白かった
佐藤二朗さん、薄気味悪くて不愉快な感じがマジで凄かった、、、(賛辞!)
ずっとドキドキしながらみていました
良く行く場所が爆発して行く様は衝撃的で緊張の連続でした
最期はちょっと消化不良というか拍子抜けかも
爆発が起きなかったあとどう壊れていくのだろうと思っていたので、、
いろいろ腹落ち出来てない部分あったので、帰りに本を買いました(これから読みます!)
宮本氏のファンなので、主題歌も楽しみにしていました
鑑賞後茫然とした状態で聞いた主題歌、映画の前に聞いたときは真っ直ぐな漢の歌に聞こえてたのに、映画の後は狂人の呟きみたく聞こえてきてなんかぞっとした
心理描写をもっとみたかった
原作が好きで観に行きました。
佐藤二朗さんの快演っぷりがよかった!
原作の内容を大きく削ることなく入れた影響か、心理描写が少ない。
清宮さんが自分の心の形を知った時のショックをもっと丁寧に描いてほしかった。
タゴサクが類家に「仲間じゃなかった」と言われたときだけ僅かに本性を覗かせた、そのシーンを映像で丁寧に観たかった。
タゴサクのへりくだりまくる性格が削がれていました。セリフ長くなっちゃうからかな。原作よりも人間味がありました。ずっとサイコなヤツでいて欲しかった。
キャラクターを減らしたり、ストーリーを改変してでも心理描写を観たかったな。
佐藤二郎劇場
佐藤二郎のちょっと頭の足りなさげで、実は人を怒らせる天才な頭脳犯
を描きたかったのはよく分かります。
結局、爆弾は爆発し多くの被害者が出たので警察側の山田裕喜演ずる類家らの負けなんだが。
ただそれは本作の描くところではなく、人は善人にも悪人にもなり得るし周囲の人間によって歪められもする。
ということだと思うが。
気になったのは類家がスズキタゴサクの喋る言葉から爆弾のありかを探し当てるのはちょっと無理では(笑)
私のような凡人には解読不能で、タゴサクさんに暴力を振るってしまうのがおちです。
タゴサクの話術の術中にハマっていく取調官がどうなって行くのかを観るのが、本作を楽しむ正しいみかたなんでしょうね。
星3.5なのは最後ナレーションで何も解決してないことが語られますけど、無い方が良かったと思います。
犯人や関係者のその後は語らなくても良いですね。
山田裕貴と佐藤二郎を完全に食ってますやんwww
山田裕貴も佐藤二朗さんも、もちろん良かったんですが、染谷将太と伊藤沙莉がカッコ良すぎですわ。もう、この二人が本当に良かったです。
染谷将太って、派手に芝居する事って無くって、抑揚の効いた演技をする人です。で、そん中で色んな人格を演じ分ける、最早ベテラン俳優。今回は、その抑えた話口が嵌ってます。とにかくカッコいいですもん!
伊藤沙莉ちゃんはいつも通りですよ。何をやろうが、どんな役柄だろうが、「あーコレは伊藤沙莉じゃなきゃアカン」って錯覚させられてしまいます。
物語の方は、力技で強引に落とされてしまう「黒幕はコイツか!」を除けば、とっても面白かったです。
アタマを使って見ていけば、ツッコミどころはたくさん有るんでしょうが、それより何より、アドリブの佐藤二郎。このセリフって台本通りなんかね?、「カーっと!」の声が掛かった後って、この顔のまんまで共演者を笑かしに行くんかね? とかとか。どーでもいい事を考えてしまって、割と物語がアタマに入って来ねーwww
何れにしても。
面白かった。
結構。
【"様々な人達の心の形”今作は佐藤二朗の役に憑依した如き刑事とのクイズ形式の攻防と、並行して描かれるスケール感ある爆破シーンと明らかになる真実に魅入られるハイレベルなサスペンスの逸品である。】
<Caution!一部、内容に触れています。鑑賞後に読んでください。>
■冒頭はスズキタゴサク(佐藤二朗)と名乗る冴えない短髪の小太り中年男が、酔って酒屋の自販機を蹴り、止めに入った店員を殴り微罪で警察の取調室で、調書を取られる所から始まる。
最初は所轄の刑事、等々力(染谷将太)が取り調べるがスズキに”気に入られ”最初の秋葉原での爆破を”霊感”により”この後、次々に東京都内で爆発が起きる”と告げられる。
刑事は相手にしないが、次に後楽園の傍で爆発が起き、本庁のベテラン刑事清宮(渡部篤郎)が交代するが、彼はスズキの言葉に翻弄され、件((くだん):未来を予言する、凶時に現れる人の顔と牛の身体を持つ化け物。)とタンの話をされ爆破は”九段下”と推測し、新聞配達のアルバイトの申し込みに免許も無いのに行った新聞配達店の爆破を、所轄の警官矢吹(坂東龍汰)と矢吹の相棒、倖田(伊藤沙莉)と阻止するが、それはタゴサクの引っ掛けで、その後保育園を狙うと示唆したタゴサクの言葉に翻弄されるが、実はホームレスが大勢住む代々木で爆発が起き多数の死傷者が出て、ついには頭が更に切れる類家(山田裕貴)が、取り調べを始めるのである。
□今作の一番の魅力は、この濃密な”密室劇”と呼んでも良い、スズキタゴサクと次々に彼に翻弄される、三人の刑事達との取り調べシーンである。
特にスズキタゴサクを演じる佐藤二朗の、幼児の様な喋りをする姿からの時折見せる、狂気性及び薄笑いを浮かべる表情との対比演技が凄いのである。
又、演出としては、タゴサクの汚い歯と唇と、彼が一本、二本と立てる汚れた指がアップになる映し方が秀逸である。
タゴサクが”中学時代に、ある女子生徒の事が好きになって後を付けていたら、その生徒が先生に殺されて大変だったんですよー。”と言った後にその雪の上に血にまみれて女子生徒が倒れているシーンが映され、更にその後に、その女子高生がニヤッと笑いながら起き上がるシーンを入れる演出も”スズキタゴサクの言葉の何処までが本当で、どこからが嘘なのか?”を上手く表現しているのである。
・一方で、且つて等々力が尊敬していた刑事、長谷部(加藤雅也)が心を病み、犯行現場で自慰行為を行っていた事がリークされ、彼の妻である明日香(夏川結衣)と息子辰馬(片岡千之助)、美海(中田青渚)の家族が、彼が列車に飛び込み自殺をしたために家族離散になる様が、暗喩的に示され、家を失った明日香が同じくホームレスだったスズキタゴサクと過去に接点があり、又、辰馬が荒れたシェアハウスで、仲間達と共にまるで父の仇を打つが如く、”実験”を行っていた過程が明らかになって行く様にも、引き込まれるのである。
・所轄の警官である矢吹が、刑事の伊勢(寛一郎)に且つて手柄を取られたが故に、伊勢は刑事に、矢吹は警官のままであるとか、矢吹の相棒、倖田と共に、新聞配達店のバイクの爆破を阻止するシーンや、二人が功を焦り矢吹がタゴサクのトラップに嵌る姿なども恐ろしいし哀しいが、爆破の混乱を密室劇と並行してこのようなシーンも入れている事で、今作は膨らみを増しているのである。
・そして、辰馬とその仲間が仕掛けていた一次、二次、三次の”爆破”計画が、明日香により阻止され、更に明日香にシェアハウスを紹介されたスズキタゴサクが辰馬の計画を”乗っ取って行った”と思われる物語進行が、先読みが出来ないために、上質なミステリーを観るが如く、グイグイと引き込まれて行くのである。
・明日香がバッグに”爆弾を抱え”スズキタゴサクが聴取をされている多数の人が押しかけている所轄警察に乗り込んできて、タゴサクと共に爆死しようとするシーンなども、緊迫感が尋常ではないのである。
<今作は佐藤二朗の役に憑依した如き、三人の刑事とのクイズ形式の攻防と、並行して描かれるスケール感ある爆破シーンと、徐々に明らかになる真実に魅入られるハイレベルなサスペンスの逸品なのである。>
■エンドロールで流れる、エレファントカシマシのヴォーカルである宮本浩次の「I AM HERO」も、スズキタゴサクの”心の形”を、暗喩しているように感じてしまった次第である。
レクター博士、ジョーカー、そしてスズキ・タゴサク――日本発、悪のカリスマ誕生!
平日の昼の回にもかかわらず客席はほぼ満席。「国宝」に次ぐ邦画の大ヒットになると予感させる熱気があった。予告編では、気楽に見られるサスペンス系のエンタメかなと思っていた。しかし、今の世界の生きにくさ、分かり合えなさをたくみに取り込んだ社会派サスペンスの側面もあって、引き込まれてしまった。これからどんどん評判が高まるのではないだろうか。
世界的に分断の時代と言われている。アメリカや欧州各国で見られるように、富裕層と貧困層、リベラルと保守、自国民と移民といった対立が激化している。
実際、人がつながるのは難しい時代だと思う。結束できるのは「共通の敵がいる時」だ。怒りや共通の被害意識によって共同体が形成されていく。本作はそうした時代の精神を映し出す映画でもあると感じた。
この物語のドライブ感を生むのは、佐藤次郎演じる圧倒的に魅力的な悪役・スズキ・タゴサクの存在である。逮捕されて警察官に囲まれているにもかかわらず、警察と社会全体を恐怖に陥れる。「なぜこんなことが可能なのか」と見ている私たちは、警察と一緒になってその謎を追い続けることになる。
「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクターや「ジョーカー」のような超越的な力を持つ悪役に見える。しかし、現実的な犯行手順が説明されるから、謎解きのスッキリ感も高かった。
あと、もう一つ現代的だと感じたのは、登場人物たちはそれぞれ異なる行動原理をもっているということだ。つまりアイデンティティが多様で、だからこそ、お互いが精神的に繋がれない。共通の敵がいたり、警察という同じ組織にいるということでかろうじて繋がっているだけだ。
この辺りも、今の私たちと重なる。世界的な労働調査では、日本人が頭抜けて、所属組織への精神的な愛着・忠誠心が低い。逆に会社を内心憎んでさえいるという話を聞いたことがある。同調圧力と制度で縛られているから、表向きは従いつつ、内面の反発は大きくなっているというのだ。確かにそうかもしれない。
まず、警察側の主人公の交渉人・類家(山田裕貴)は能力主義者だ。自分の知性に自信とプライドがあり、それを証明するのが彼の動機に見える。仲間意識よりも論理の精度が優先される。これはかなり辛い生き方だ。常に優秀であることを証明し続けなくてはならない。成功している限り許されるが、そうでなくなったら異分子として排除される可能性が高い。〝できるけど出世できない〟タイプだろう。僕は彼のような人は好きである。
その上司(渡部篤郎)は、無口でできる人物に見えるが、内面は空虚で自信もない。組織のルール通りに忠実に機械的に行動している。判断がぶれないいい上司と言えなくもないのだけれど、正義のため、真実のためという動機が弱いのが透けて見えてしまった。組織の論理に従い、役割で動くサラリーマンなのである。
もう一人の警察の上司に、自分の感覚で判断し、部下に嫌味を言い、プレッシャーをかける男がいた。自分の経験頼りで論理性はないが、出世できたから俺は正しいとばかり自信を持ってる。こちらの方がタチが悪いかもしれない。
伊藤沙莉演じる若い警官は、上から目線の組織の上の人物たちにも、わがままな市民にも反感を持っていて、同じ反感を共有する同僚が大事な仲間である。警官は法律と秩序の守り手として、誰に対しても平等に、またどの警官でも同じように動くのが原則となるはずだから、個性的ではあり得ず、だからストレスが溜まっている。彼女の覚醒とは、これからは組織の論理で動きますという決意だった。
犯人グループの若者たちは、社会的弱者としての連帯で結ばれている。つまり社会という敵と戦うことで団結している。日本ではこの人たちの投票率が低いこともあり、政治にその声が反映されにくい。アメリカでもそうだった。しかし、トランプが彼らの代弁者として認められて、今の政権につながった。日本でも彼らの声をもっと取り上げていかなければ、本作のような暴力的反抗にならないとも限らない。この映画はその警鐘という役割があるのかもしれない。
様々な登場人物の中で、スズキ・タゴサクだけが、誰も仲間がいない。ホームレス生活を送りながら、ある女性との交流に希望を感じたようだが、利用されていたと確信し、犯行に至る。
彼は他人の計画だった爆破事件を乗っ取り、すべてを自分の意思として遂行する。タゴサクの行動原理が、さまざまな登場人物の行動理由の中で、一番魅力的に見えた。
社会の底辺生活者で、同じ立場のもの同士で分かり合えるかと思いきや、利用されてしまい、どこにも仲間はいない。ーー人生行き詰まった末での最後の一手がこの犯行だった。そして、大衆を犯行を通じてリモートコントロールするほどのカリスマ性を発揮する。
爆弾とは、誰にも存在を認められなかった人間の尊厳をかけた叫びでもあるのだ。そして、爆弾は全て爆発したわけではない、10年後に突然爆発するかもしれないという不気味な余韻を残して映画は終わった。
これは、社会の底に沸々とマグマのように潜む怒り・恨みがこの日本でもいつ爆発するかわからないよ…ということでもあると思う。アメリカではすでにトランプ支持者による議事堂襲撃が起こり、内戦前夜といった見方もあるようだ。日本でも、格差と孤立、承認されない人々の尊厳を取り戻す戦いがいつ起きるかわからないーー本作は、その予兆を描く映画でもあると思う。
タゴサクが日本のどこかに仕掛けた爆弾はまだ爆発していない——その爆弾とは何かを見通すことが、この話題の映画をさらに意義深く観ることにつながるのではないだろうか。
佐藤二郎が無双しすぎた・・・
原作を読んだ上でレビューします。
実写化として申し分のない、素晴らしい作品でした。
ただ、伊勢が「裏切り者」の話をされたあとにスズキと目を合わせられないシーンなど、言葉では語られない心情の部分は、原作を読んでいないとその理由など、深く理解しづらいかもしれません。(おそらく尺の都合もあるのでしょうが)個人的には、サラダさんと遺族のお母様が過去炊き出しを一緒にした経験があり、とん汁にチョコレートを隠し味として入れるシーンなども見たかったです。
それでも、全体としては非常に原作に忠実な実写化でした。この映画の最大の魅力は、何よりもスズキと類家の2人。その二人の演技が本当に素晴らしかったです。
ただし性的な描写を含むシーンがあるため、みんなでワイワイ見るよりも、一人で静かに鑑賞するのが向いていると思います。
私は本当は記憶を消してもう一度観たいくらいですが、原作があまりにも良かったので、最初から内容を知っていても観る価値があると感じました。
きちんとした正義感を持った、王道警察作品が見たい方におすすめしたいです。
全ての★を佐藤二朗さんに
佐藤二朗はちょっと苦手。 無邪気な犯罪者って感じでもない。 邪気が...
佐藤二朗はちょっと苦手。
無邪気な犯罪者って感じでもない。
邪気がある。
でも謎解きのような2人のバトルは見応えあった。
山田裕貴はいろんな役ができる。
ブルージャイアントの時も上手く声優をこなしてた。
この役も普段のとぼけた感じとは打って変わってとても良かった。
最後の余韻を残した感じも良かった。
全1159件中、621~640件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。











