爆弾のレビュー・感想・評価
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ラストマイルよりはマシだが
こんな役でこそ佐藤二郎さん
佐藤二郎が全てをもっていった
緊張感で魅せるが、不可解な点も多い
原作は未読である。酒屋で自販機を蹴って警察に逮捕されたホームレス風の男が、逮捕されて取り調べを受けているうちに爆弾事件を次々と予言し、真相を明らかにしようとする刑事とのやりとりが主要な見せ場になっている。
2時間を超える上映時間で緊張感が切れない作りは見事で、佐藤二朗の怪演も見応えがあったが、見終わってから冷静に考えてみると、色々と釈然としないところがいくつもあることに気が付いた。
まず、ことの発端となった長谷部刑事の不祥事だが、確かに不名誉なことではあるものの、人を殺したり汚職を働いた訳でもないのに、一家離散に追い込まれたというのがちょっと解せなかった。実際、交番で当直中の男女の警察官が性行為をしたのがバレても、減給1ヶ月程度で済んでいるのである。
それによって世間に恨みを持った者が復讐のために事件を起こしたとしたら、明らかに過剰な復讐であり、無辜の市民を大勢殺傷するという行為は、同害報復という刑法の原則を大いに逸脱するものであり、同情する気が完全に失せた。まるで貞子級の呪いのようなものに感じられた。
鈴木田吾作の行動原理も不可解だった。如何に真犯人に同情したとしても、裁判で有罪となれば死刑が避けられない状況に陥るというのに、全て自分が主犯となって行動した結果だと主張するモチベーションが十分に示されていたとは言い難かったし、爆弾や犯行に関する知識があるとも思えなかった。
石川辰馬にあのような細工を施すのも、ただのホームレスには無理だろう。ヒントの出し方も幼稚だし、最後の爆弾があのような結果に終わった理由も十分に説明されていたとは言い難く、不満が残った。いっそ田吾作が不治の病に罹っていて、最後の1発を田吾作が胃の中に飲み込んでいて、捜査室を丸ごと爆破するつもりだったとかいう結末にしたら面白かったのにと思った。
役者は、佐藤二朗の怪演に尽きるが、ホームレスにしては歯が白かったのが違和感を感じたし、頻繁に顔をアップで示す必要性があったのかという疑念が晴れなかった。山田裕貴は佐藤二朗の煽りを受けてやや物足りなかったし、寛一郎や伊藤沙荊の使い方は不十分で勿体無いと思った。
耳に残る音楽がほとんど流れなかったのも特筆すべきで、この監督は、音楽の持つ演出効果に全く期待していないとしか思えなかった。エンディングで流された全く関係のない歌謡曲も不愉快だった。
(映像5+脚本4+役者5+音楽1+演出5)×4= 80 点。
タガが外れる時
今年は社会性のある邦画の当たり年だ。国宝、フロントライン、でっち上げ、宝島、いずれも心にずしりと来る作品だった。(あと軽いけど個人的にゴーストキラーも当たり)
そしてこの作品である。今のところ今年一番だ。エンタテインメントとしても一級品だし、その上重いものを投げかけてくる。
「人を殺してはいけません」とか「命は平等です」という建前はみんな一応はわきまえているが、現実ではそんなものお題目に過ぎないという事を知っている。劇中、スズキタゴサクが羅列する人を殺したい理由の中に、誰もが一度は思ったものがあるはずだ。でも大半の人は本能的に人殺しを忌避するし、人の社会という共同生活を破壊してしまっては、自分が生きづらくなってしまう。類家のようにしっかりした意思でそれをしない人もいるだろう。そうやってモラルというものは守られている。
でも、モラルなんか自分を守ってくれないと見切りをつけた人は、タガを外し、破壊に走る人も出てくる。そういうタガの外れ方がだんだん増えている気がする、そんな危うさをを見事についた作品だと思う。見つかっていない爆弾は、誰もの心の中に潜んでいるに違いない。
それにしても、今年は山田裕貴の当たり年だ。「木の上の軍隊」「ベートーベン捏造」そしてこの作品、いずれも名演だ。特に目力がいい。この3作品をほぼ同時に撮っていたらしいから、その集中力も大したものだ。吉沢亮の国宝がなかったら、アカデミー賞の最優秀主演男優を取ってもおかしくないと思う。
そして佐藤二朗。彼が主演と言ってもいい。過剰なしゃべり方のウザイ演技のおかしさが売りだが、それを凄みにまで昇華させていた。あの膨大なセリフをすべて頭に入れて撮影に臨んでいたそうで、パンフレットでは誰もがその技量を絶賛していた。
彼の演じるスズキタゴサクは、相当の切れ者で、人心掌握、操作にも長けている。そんな彼がなぜホームレスに転落してしまったのか、きっと壮絶なドラマがあったに違いない。その果てに身に着けた不気味さを、佐藤は見事に演じていた。最優秀助演男優は間違いないと思う。
余談ですが、隣の席のおじさんが、タゴサクのおちょくりにいちいち反応してくすくす笑っていた。この人とは友達になれないだろなと思いました。
面白かったけどなぁ
こういう謎解きものは、刑事側が犯罪を食い止めなきゃ、スッキリしない。
後半、山手線での数駅爆破はちょっと残念。阿佐ヶ谷駅爆破あたりで止めて欲しかった。
他のコメントも幾つか拝見したが、同意できるものが少なかった。
視る側の解釈が分かれる作品なのかも知れない。
本番は後半からです
プレデターの最新作バッドランドが公開!!ということで、意気揚々と劇場に足を運んだんですよ。
で、気づけば手に取っていたチケットは今作「爆弾」でした。
いや、原作は未読なのだけども、予告がね…予告が絶対面白いって予感させたのと、内容が予想出来なかったものだから気になってついつい。
予告編を見ると山田裕貴くんと佐藤二郎扮するスズキタゴサクとの取調室での知恵比べ、みたいな感じなのかと思ったら、その展開は物語後半からだったのが意外でした。
染谷将太くん扮する等々力刑事がかなり有能であり、スズキが「気に入った」と言うように、一部の人間から一目置かれる存在なんですよね。
酒屋で暴れて捕まった身元不明の浮浪者が突然爆破予告をした。という与太話を刑事たちが一笑に付すどころか割と真摯に受け止めてるところに違和感はあったのだけど、浮浪者スズキの言う通りに世間では爆破事件が起こっていくもんだから、小さな事件で捕まったはずの犯人が歴史に名を残す凶悪犯へと変貌していくというのが中盤までの流れ。
爆発を未然に防げず敗退したベテラン刑事清宮に代わって、いよいよ予告編の展開となるのが後半から。
ここまでの流れで類家とスズキというキャラクター性が見えてしまっているので、ここから両者の怪演に引き込まれる展開となります。
結局爆発は防げずだったけども、代わりに容疑者スズキタゴサクの真の目的と「最後の爆弾」を解明したことで、引き分けという形で幕を閉じました。
取調室でほとんどの時間が過ぎてしまう内容だけど、意味のないような言葉の中に匂わせる重要なワードが存在するため、退屈はしなかったけども、とても濃密な時間で情報量が多いため、10分の経過時間が30分くらいに感じてしまうほど、体感時間はとても長く感じました。
爆弾バーン!
私が刑事さんの心の形を当ててみせます。
佐藤二朗劇場。
漫画を読んで面白く気になったため、先に小説を読んでから鑑賞に。
いくつか気になった点。ちなみに小説は★4.5。
・秋葉原の爆発がもう、大通りど真ん中の店で笑った。秋葉原の端っこでは…?
・等々力が若く見える。そしてやる気に満ちているように見える。
井筒に「分からなくもない」と答えた理由を伝えるシーンが追加されたので、世の中に諦めてる感も特になく。
・類家が意外と感情を出す。顔と声に怒りの感情が乗っている。小説では動画1本目が流れたときの「クソが」が唯一ほどに感情が乗っているイメージだった。
・佐藤二朗最高。漫画のタゴサクを見て、配役が佐藤二朗と知って、行こうと決めて良かったと改めて思った。
・タゴサクとの談笑がほぼカット(1問目から「ハセベですか?」までひたすら一問一答)。清宮「恋人は?」タゴサク「意地悪です!(むくれる)」好きだったのに!
・代々木公園の爆弾で類家「指が最初に立ったのがいつか分からない」。
わざわざ断り立ててカメラ回してたんだから見直せるのでは?それまで何度も見ていたのに。類家他全員が無能に見える。
・タゴサクが高校野球を語るシーン、個人的に名シーンだと思っていたのでまるまるカットは悲しい。
普段は気にならない幼稚園児の歌声が鬱陶しくなる瞬間、ってところが好きだった。
・「阿佐ヶ谷の自販機が危ない」と気付いて電話で伝えるシーンが、多分小説よりもギリギリ。等々力が類家に伝える→速攻で駅に電話→たった今規制解除、のため、無力感が凄すぎる。
・長谷部の精液が落ちるシーンとか、タゴサクの「射精しました」をしっかりと魅せていく。
爆弾の凄惨さも凄いね、息絶えていたりなんとか生きてるけど…という状態も。矢吹の脚の止血時に噴く血も見せる。死体に蠢くウジ虫も表現する。驚いた。
・鶴久がサラダに「辞めるのか続けるのか」と尋ねるのが、タゴサクを襲撃後に謹慎で警察署の一室にいたところ。
しかも「人が集まってきてるから対応しろ。謹慎どころじゃない」のセリフの後。そして「お前のような部下を持って胃に穴が開く(うろ覚え)」と言って、矢吹の足を止血していた帯をテーブルに置く。
これじゃ鶴久、75点の以下の男だよ…。矢吹が息を吹き返した報告とともにじゃ駄目だったか。
・親切なホームレスが女性だと早々に映像でバラす。髪の長さ的にあれは分かるって、長谷部息子も髪は長いことが後で分かるけど、その時点ではそうだとは思わないって。
・最後。「悪ですか?」と尋ねるタゴサクに類家が答えるシーン。その返答にタゴサクは大笑い。
そこが一旦くしゃっと涙がこみ上げる感じがあり、『楽しすぎて笑うことによる生まれる涙』じゃなく『気持ちを分かってくれる人がいて、それに感極まった涙、の後の大笑い』に見えたのがすごく、すごく、良かったです。
・エンドロール直前。真っ暗な画面にバイクのエンジン音と、自販機から商品が落ちる音が。ばあん!って来るかと思ったね。来ないと分かっていても。
観に行く前、「2時間!?長くない!?…いや、この作品どうやって2時間で終わらせんの…?」と思っていたけど、上手くまとめた感はありましたね。
ただこれは、小説を先に読んだからというか…。
小説を先に読んでいて良かった…。
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