「「分からなくもない」」爆弾 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
「分からなくもない」
観入った。
好きなタイプの物語でもあったのだけど、構成が素晴らしくて目も耳も剥がれない感じだった。
基本的には会話劇であり推理物であるとは思うのだが、それらを具現化する俳優陣と演出の非凡さに煽られる。
山田氏もさる事ながら染谷氏の最後の台詞「俺はそれを不幸せだとはおもわないんだよ」
ある種の境界線とも思える一言だった。
連続爆破事件の程ではあるが、環状線の爆破とそれ以外に区分されてて、最初の3つの爆破はスズキの単独犯だったらしい。シェアハウスにある材料からネットの情報を頼りに作りでもしたのだろう。彼も栄光なき天才の1人であったのかもしれない。
頭を傾げるのは彼の実行力だ。
母親による息子の殺害から、環状線爆破までそこまで日数は無かったはずで…様々な葛藤を抱えつつ性急に事を進めた理由が今一つ噛み砕けなかった。
とは言え、報われない天才というか俯瞰者を佐藤氏は見事に演じきってくれた。
とあるインタビュー記事だったか、彼は俳優がカテゴライズされる意味が分からないと苦言を呈していた事がある。「演技派だとか個性派だとか〇〇俳優みたいな区分けがあるけど意味が分からない。全てを演じるのが俳優なんだ」とかなんとか。
その信念に嘘偽りのないスズキタゴサクだった。
怪物・スズキに対峙する等々力も類家も堂々たるもので…常人離れした価値観が素敵だった。
一歩間違えば稀代の犯罪者にもなり得そうだ。
このクソみたいな世の中を壊さない理由を一方は「つまらないから」と言い、一方は「自分を特別視してないから」だと言う。
考え方、捉え方が違うだけで人は180度転ぶのだ。
ゾクゾクする台詞の応酬だった。
ずっと噛んでたくなるような台詞による伏線が大量に準備されて、人物の裏側を探りたくなるような癖の強いキャラが魅力的でもあった作品だった。
見応えあったー!
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