劇場公開日 2025年10月31日

「"終わった"今を生きる賢すぎる人々へ…最高なキャラクターを演じる山田裕貴 ✕ いつもながら最高の佐藤二朗劇場!」爆弾 とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 "終わった"今を生きる賢すぎる人々へ…最高なキャラクターを演じる山田裕貴 ✕ いつもながら最高の佐藤二朗劇場!

2025年10月21日
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「刑事さん」「類家だ」

作品の大半、密室劇で繰り広げられる(毎度ながら圧巻の)佐藤二朗劇場に、最高のキャラでやり合う山田裕貴!!2人の演技対決を見られる取調室は面白いのだけど、肝心の外のシーンが画の緊迫感に欠けヌルくて、その温度差が気になった。ネットの動画を見てザワつく群衆や、見渡す限り周囲に何も無い道路でドヤった車のUターンとか、「あ、普通の日本メジャーだな」って思っちゃう。
何より、事件のオチが湿っぽさと説教臭さが邪魔をして、『踊る大捜査線』を見せられているような気分にもなった。変に"情"めいたものを出さないで、そのまま得体のしれない"化け物退治"のほうが、絶対によかったし、そっちのほうが色々と考えられる余地が膨らんだと思う。

「九つの尻尾 心の形」

小説ではそれでいいかもしれないけど、映画化にあたりもう少しストーリーというかエピソードというか、限られた時間の中でスポットを当てるキャラクターを絞るべきだったのではないかと思う(正直こんな豪華キャストでなくても…)。
登場人物ごとに色々な人間の側面を投影されているような、言葉がそれぞれ浮かんだ。例えば組織の規律やルールに雁字搦めなマニュアル人間系の渡部篤郎、まんまと転がされる浅はかな感じの寛一郎、そして坂東龍汰&伊藤沙莉の警官2人のバディものの絆。

「わからなくもない」「めっちゃ高い焼肉」

退屈でくだらないバカばっかりのクソな世の中。そんな世界をブッ壊すのは簡単だけど、そこで踏みとどまって壊れる世界を食い止めえ、どうにかよくしようと頑張る方が大変だしやり甲斐がある。世の中そこまで見限ってないし、まだ捨てたものじゃないと思っているから、不満を抱えて生きることが不幸せとも限らない。
和製『セブン』『ダークナイト』『ザ・バットマン』を狙った『容疑者Xの献身』?「令和最大の衝撃作」と自分で謳うには、ベールの裏に隠れた掘り下げが足らない気がしてしまった。今のままだと、テーマが深そうと期待させながらも、蓋を開けて中を覗いてみたら思ったより深くなかった…みたいな気がしたから、もっと深淵にリーチしてほしかった。今の壊れた世界、爆弾はどこにでもある。

「クソが」「いずれ後悔するよ、俺に会っちゃったこと」

勝手に関連作品『セブン』『ダークナイト』『ザ・バットマン』『容疑者Xの献身』

P.S. フジテレビと知っていたら観に来なかった。けど、よくよく考えたら監督的にそりゃそうか。なぜ気づけなかったのか。これじゃ自分もまんまと「スズキタゴサク」の手のひらの上で転がされちまうぞ。
本作はワーナー・ブラザースの映画でもあるけど、フジテレビに出演しているタレントや俳優などは、自身の社会的責任などを考えないのだろうか。そうして何事もなかったかのように"普通"に振る舞うことで、人々の痛み(という言葉ではまるで足らないだろう)の上にまた一筆一筆真っ白なペンキが塗り重ねられてら一層一層と新しい絵が描かれていって薄くなって消されていく、忘れ去られていくのではないだろうか?
FODをやたらと推すTOHOシネマズも同罪だ。そうした、何も思わない無感覚な"所詮他人事"社会が大嫌いだ。もし本作のテーマがそうした人々にも向けられているのだとしたら、それをフジテレビが製作しているというのも皮肉。日本大手メジャーありがち、スキャンダラスな題材に社会的責任など考えずに飛びつく姿勢も気持ち悪い。

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とぽとぽ
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