「"終わった"今を生きる賢すぎる人々へ…最高なキャラクターを演じる山田裕貴 ✕ いつもながら最高の佐藤二朗劇場!」爆弾 とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
"終わった"今を生きる賢すぎる人々へ…最高なキャラクターを演じる山田裕貴 ✕ いつもながら最高の佐藤二朗劇場!
「刑事さん」「類家だ」
作品の大半、密室劇で繰り広げられる(毎度ながら圧巻の)佐藤二朗劇場に、最高のキャラでやり合う山田裕貴!!2人の演技対決を見られる取調室は面白いのだけど、肝心の外のシーンが画の緊迫感に欠けヌルくて、その温度差が気になった。ネットの動画を見てザワつく群衆や、見渡す限り周囲に何も無い道路でドヤった車のUターンとか、「あ、普通の日本メジャーだな」って思っちゃう。
何より、事件のオチが湿っぽさと説教臭さが邪魔をして、『踊る大捜査線』を見せられているような気分にもなった。変に"情"めいたものを出さないで、そのまま得体のしれない"化け物退治"のほうが、絶対によかったし、そっちのほうが色々と考えられる余地が膨らんだと思う。
「九つの尻尾 心の形」
小説ではそれでいいかもしれないけど、映画化にあたりもう少しストーリーというかエピソードというか、限られた時間の中でスポットを当てるキャラクターを絞るべきだったのではないかと思う(正直こんな豪華キャストでなくても…)。
登場人物ごとに色々な人間の側面を投影されているような、言葉がそれぞれ浮かんだ。例えば組織の規律やルールに雁字搦めなマニュアル人間系の渡部篤郎、まんまと転がされる浅はかな感じの寛一郎、そして坂東龍汰&伊藤沙莉の警官2人のバディものの絆。
「クソが」「いずれ後悔するよ、俺に会っちゃったこと」
退屈でくだらないバカばっかりのクソな世の中。そんな世界をブッ壊すのは簡単だけど、そこで踏みとどまって壊れる世界を食い止めえ、どうにかよくしようと頑張る方が大変だしやり甲斐がある。世の中そこまで見限ってないし、まだ捨てたものじゃないと思っているから、不満を抱えて生きることが不幸せとも限らない。
和製『セブン』『ダークナイト』『ザ・バットマン』を狙った『容疑者Xの献身』?「令和最大の衝撃作」と自分で謳うには、ベールの裏に隠れた掘り下げが足らない気がしてしまった。今のままだと、テーマが深そうと期待させながらも、蓋を開けて中を覗いてみたら思ったより深くなかった…みたいな気がしたから、もっと深淵にリーチしてほしかった。今の壊れた世界、爆弾はどこにでもある。
「めっちゃ高い焼肉」
勝手に関連作品『セブン』『ダークナイト』『ザ・バットマン』『容疑者Xの献身』