劇場公開日 2025年4月19日

「参院選の日に本作を観る」太陽(ティダ)の運命 La Stradaさんの映画レビュー(感想・評価)

未評価 参院選の日に本作を観る

2025年7月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 嘗ての沖縄戦については何冊かの本も読んで分かっていたつもりですが、なるほど、戦後の沖縄については勉強不足だったと思い知らされました。沖縄の基地を巡っての歴代沖縄県知事、特に、第4代知事・大田昌秀さん(任期1990~98年)と第7代知事・翁長雄志さん(任期2014~18年)を巡る対立と交流のドキュメンタリーです。

 自民党県議会議員として嘗ての太田革新県政をえげつないと思える程に罵倒し続けた翁長さんが、自身が知事となると太田さんと結局は同じ道を歩み始めるという筋書きのないドラマに惹きつけられます。翁長さんが知事選に立候補した時、嘗て対立した太田さんのもとに挨拶に行くと、まだ怒りを忘れていない太田さんは一言も言葉を交わさず追い返しました。しかし、知事となった翁長さんが辺野古基地建設に反対して政府と対立すると、「負けるな」とエールを送るのです。立場は違えど、「沖縄戦を忘れるな」の強い思いが二人を動かしていたのですね。でも、政府は鉄面皮でその思いを今もはね付け続けています。

 本作は、参院選の日、7月20日に観に行ったのですが、そんな日に本作へ足を運ぶ人々にはそれぞれの思いがあったのでしょう、場内はほぼ満席でした。

 そして、選挙の結果示されたのは皮肉にも「もう沖縄の事など構っちゃいられない」の民意だったのです。

La Strada