劇場公開日 2025年4月19日

太陽(ティダ)の運命のレビュー・感想・評価

全12件を表示

4.0見ごたえのある内容

2025年7月27日
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鑑賞方法:映画館

自分は翁長さんの事を知ったのは知事になってからであり、
大田さんと過去に激しい対立があったことは知らなかったので、とても興味深かった。
晩年はお二人の歩んだ道が重なっていき、
年齢はかなり違うが亡くなった時期も僅か1年の違いで、
映画のタイトルにもあるように運命的なものを感じた。
天国では何か会話を交わされたのだろうかと、思わずにいられなかった。

お二人以外では稲嶺さんのインタビューに
それなりの時間が使われていたが、この方のお話も良かったと思う。
自分の記憶に残っている知事時代の稲嶺さんとはかなり違うイメージだった。

あと取材自体難しかったと思うが、仲井眞さんのお話も聞きたかった気はした。

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Avalon

参院選の日に本作を観る

2025年7月23日
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鑑賞方法:映画館

 嘗ての沖縄戦については何冊かの本も読んで分かっていたつもりですが、なるほど、戦後の沖縄については勉強不足だったと思い知らされました。沖縄の基地を巡っての歴代沖縄県知事、特に、第4代知事・大田昌秀さん(任期1990~98年)と第7代知事・翁長雄志さん(任期2014~18年)を巡る対立と交流のドキュメンタリーです。

 自民党県議会議員として嘗ての太田革新県政をえげつないと思える程に罵倒し続けた翁長さんが、自身が知事となると太田さんと結局は同じ道を歩み始めるという筋書きのないドラマに惹きつけられます。翁長さんが知事選に立候補した時、嘗て対立した太田さんのもとに挨拶に行くと、まだ怒りを忘れていない太田さんは一言も言葉を交わさず追い返しました。しかし、知事となった翁長さんが辺野古基地建設に反対して政府と対立すると、「負けるな」とエールを送るのです。立場は違えど、「沖縄戦を忘れるな」の強い思いが二人を動かしていたのですね。でも、政府は鉄面皮でその思いを今もはね付け続けています。

 本作は、参院選の日、7月20日に観に行ったのですが、そんな日に本作へ足を運ぶ人々にはそれぞれの思いがあったのでしょう、場内はほぼ満席でした。

 そして、選挙の結果示されたのは皮肉にも「もう沖縄の事など構っちゃいられない」の民意だったのです。

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La Strada

4.0国家の品格

2025年7月20日
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鑑賞方法:映画館

佐古監督舞台挨拶会、満席。

無知・無関心ではいられない沖縄というより
日本の問題。

ニュースや報道で知っていた自分の知識は点であり、
それが線になった作品。

佐古監督の本作に対する思いも伝わった。
できる限り多くの日本人に鑑賞いただきたい作品。

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ひでちゃぴん

4.0意外な姿

2025年7月18日
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鑑賞方法:映画館

翁長知事在籍当時は某インターネット掲示板をよく見ていた。現在のSNSもそうだが、利用者がほぼ本土にいる以上、インターネット上にも本土寄りの意見が多いのは当たり前である。当時(便所の落書きと言われる)掲示板では、基地を置かせない翁長知事は頭の硬いアホ、沖縄県民は大局の見えていないバカくらいにとらえる風潮だったし実際自分もそう考えていたと思う。

今になって翁長知事はどういう人物だったのか、沖縄基地問題はどういう経緯があるのか興味があってこの映画を鑑賞。
晩年の印象からすると意外なほど、彼は最初からここまで頑なな態度ではなく、県民の納得や安全も加味した上でしっかり折衷案の模索・提示を行っていた。
映画で取り上げたもう一人の知事、太田知事の時代にも言える事だが沖縄側から歩み寄りを提示して何らかの合意に至ったのち、その度に歩み寄りを大幅に超えた処遇を進めようとしてきた政府側のやり方は沖縄側からすれば裏切りととらえられても仕方なく、そういった政府側への度重なる失望を経て、徐々に頑固な翁長知事となっていった印象を受けた。もし、稲嶺知事時代の翁長が、のちの翁長知事を見たら自身の変質に戸惑うだろう。

日本が差し出しやすい沖縄を盾として東シナ海の防衛をおこなう構図は、アメリカが日本を盾にして中国の海洋進出を牽制する構図にも似ている。最大多数の最大幸福を実現するためには犠牲となる少数(往々にして弱者)が必要になる。一方で、じゃあどうすればいいのかと問われればどうしようもないというのが現実でもある。特に一度着工してしまった大規模な工事は何をしてももう止められないし、当然県外に移設する事もできない。翁長知事の言うように手段を選ばす基地建設を食い止めようとしてきた結果、工事車両の前に身を投げ出した老婆を救おうとしてついに警備側スタッフが命を落とす事態にもなった。映画でこの事件に触れないのは、やや一面的な構成ではないか。

多数派として普通に過ごしているだけでは皺寄せを食う少数の気持ちや境遇は分からない。この映画を見たのも何となくだが、エンドロールが流れる頃には、基地問題に限らず誰しもがたまには異質な物や普段触れない物に何となくでいいので興味を持つ事が理解への第一歩だなと思うようになった。

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SO

5.0切実な1%と無関心な99%

2025年7月6日
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鑑賞方法:映画館

「沖縄に行くと日本が見える」という筑紫哲也の言葉から、沖縄の取材にはまり込む事になったTBS報道局の佐古忠彦監督が、琉球放送とともに、大田昌秀、翁長雄志という2人の知事の姿を通して、今に続く沖縄の現代史を描いたドキュメンタリー作品。
監督のアフタートーク付き上映で鑑賞。
(今日は、本館の方は、face to aceの浴衣祭り2025のライブのため、トラゥム・ライゼの方で)

沖縄取材歴30年というだけあって、佐古監督が生前の両知事に直接取材を重ねた取材記録と、琉球放送に残された膨大なニュース映像のアーカイブ、そして両知事に関係する人々の証言から構成された重厚さで、沖縄が何と戦ってきて、何を背負わされ続けてきたのかを描き出す。

革新系だった大田昌秀第4代知事と、もとは自民党の保守本流にいた翁長雄志第7代知事。
イデオロギー的には正反対の、県議会でバチバチにやり合った2人だが、結果的にはどちらもオール沖縄の中心となって、同じような言葉を語るようになっていくところに、2人の沖縄県知事としての責任感が伝わってくる。

他の方も書かれていたのを目にしたが、佐古監督のアフタートークでは、県議会の場で、大田知事に「沖縄の知事なら、ウイスキーではなく泡盛を飲むべきだ」と迫ったというエピソードが紹介された。そこまで揚げ足を取るような攻撃をしてきた翁長氏に対して、個人的には許せない気持ちがあっても、知事となってからの取組にはエールを送ったという大田氏にウルっときた。

この映画、様々な論点があるのだが、自分が最も考えさせられたのは、「多数決」についてだった。
大田知事が、筑紫哲也を交えて、岡本行夫氏と対談する場面で、「1人の命も100人の命も重さは変わらない」という大田氏に対して、岡本氏は「いや、より多くの命をいかに救うかを考えるのが政治だ」と返す場面があった。
確かに岡本氏の言うことはもっともだが、大田氏が言いたかったのは「“100人のためにお前1人が犠牲になれ”ということを、正しいと思っているのか?」ということだろう。
人口比1%の沖縄は、ずっと防衛の最前線を担わされ続け、基地問題に関わる人道的なトラブルにも晒され続けてきた。
その切実な1%と、無関心の99%が一緒に行う多数決の結果は、真に民主的な「民意」と言えるのだろうか。
それが、この映画で自分が最も考えさせられたことだった。

今も続く基地問題と沖縄に影を落とす日米地位協定の問題は、関係ないと思う人には、全く関係ない話であり、それはそのまま、あらゆるマイノリティや、あらゆる人権の話にもつながる。

もうしばらくで、参院選となる。
歴史ある既成政党が苦戦し、華々しく見える新成保守政党が大躍進の気配だ。
トランプの躍進同様に、「保守」と呼ばれる層の中から、ルールを破壊するような「革命的な行動」を起こすことを期待させる一団が生まれ、人々の差別的な感覚に働きかけて、爽快感と誤認させるような振る舞いで支持を得る風潮が、日本でもいよいよ強まったということだろう。
対して「革新」と呼ばれる政党は、例えば、未だに実現していない憲法の公正公平な理念を守り抜こうと訴えると、それは表面的には、逆に何も変わらない振る舞いに人々には映り、それがどんなに自分たちを守ることにつながっていこうとも、人々の支持が得られなくなっていく結果が透けて見える。

こうした選挙に象徴されるように、ある意味、民主主義の中で多数決は絶対だ。
それでも、やはり、「より民主的な多数決」のためには、切実な1%の声を聞き合うことが大切だと、本作を観て改めて思った。

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sow_miya

4.5沖縄だけの問題ではない

2025年6月25日
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1972年の本土復帰後に在任した8人の沖縄県知事のうち、主として第4代の大田昌秀知事(任期1990~98年)と第7代の翁長雄志知事(任期2014~18年)の言動を追い、第5代の稲嶺惠一知事らのインタビューを交えながら描き、現代まで続く沖縄の問題の根源に迫る優れたドキュメンタリー。

県議会では政敵として激しく対立していた大田・翁長の両氏が、いつの間にか知事として同じ問題に悩まされ、次第に同じような言動を行うようになっていく(特に翁長の)変容の過程が非常に興味深い。

しかもその変容は、イディオロギーや政党の問題ではなく、沖縄が日本という国からどのように見なされ、扱われてきたか、そしてそれに対してウチナンチュがどのように感じてきたのかということに起因していることがよく分かる。

辺野古の問題は同時代を生きてきてリアルタイムでニュースも見てきたはずなのだが、今回このような形で時系列を整理してもらえると、いかに自分の知識が断片的だったかが実感できた。

沖縄問題に矮小化せずに、日本の国の制度のあり方とは?地方自治とは?民主主義とは?という大きな視点で物事を捉えて考えるためにも、多くの人、特に若者たちに、観て欲しいと心から思う。

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Tofu

4.5沖縄問題を理解するうえで最善のドキュメント」

2025年6月13日
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単純

知的

難しい

沖縄の基地問題は現在進行形。先日も某自民党参議院議員の沖縄問題に関する発言で沖縄選出議員らの反発があった。歴史問題も含め基地問題もまだまだ解決できない。どうなるだろうか?さて、本題。この作品が完成されても沖縄問題が続いている。この作品でも登場した大田氏や翁長氏は考えの違いがあっても沖縄問題を何とかして解決したい。この思いは伝わってきた。二人の対比も見事に描いていた。翁長氏や大田氏の言葉は一言が重い。しかし、いつまでたっても沖縄問題が解決できないのラストの翁長氏やインタヴューに出た前泊氏の発言がすべてであろう。作品としては物凄くわかりやすかったし沖縄問題を理解するうえでの欠かせないバイブルになりそうだ。

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ナベウーロンティー

5.0問われているのは我々の民主主義、地方自治である。

2025年5月25日
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RBC琉球放送とTBSの制作による優れたドキュメンタリー映画である。129分という長尺ではあるがしっかりと細部まで練り込まれ山根基世さんのナレーションも安定感がある。
タイトルの「太陽(ティーダ)」は沖縄ではリーダーの意味もあるようで本土返還後の知事たちの姿を描く。とはいえ普天間基地問題が主題となるので前半は4代目知事の大田昌秀、後半は7代目知事の翁長雄志の姿が中心となる。(8人の知事のなかでは最も実務家であったと思われる稲嶺恵一がたびたび登場して客観的なコメントを述べるところが面白い)
大田と翁長は政敵というべき関係であったが、最終的には辺野古基地の建設反対という共通の立場にたっていく。これはもちろん艦砲射撃、地上戦という戦争体験が原点にあり、土地の強制収用、米軍による後を絶たない事故や犯罪、環境汚染などを受けた県民の民意を反映したものである。
映画を観ていて感じたのは、大田が知事だった1990年代と、翁長が知事だった2010年代では明らかに国政も本土の世論も変容しているということである。劣化しているといって良い。
国政でいえば、大田の時代の橋本総理や野中官房長官は現実をみつめ沖縄の気持ちを汲んで妥協点を見いだそうと努力をしていたが、翁長の時代の国政担当者たちは「辺野古は唯一の解決策」との見解を機械的に繰り返し埋め立てを「粛々と」進めるだけであり話し合い自体が成り立っていない印象が強い。また沖縄を除く世論もSNSを中心に辺野古埋め立てに反対するものは極左、反日であるとの言説が目立つようになってきている。そこまでいかないにしても沖縄県による工事差し止めの手段が全て封じられてしまった今、既に終わった問題として捉えている者もいる。
沖縄は日本である。沖縄の民意が損なわれている、そして沖縄の地方自治が顧みられないということは、日本の民主主義ないしは主権が損なわれていることになる。これは現在もなんら問題としては変わっておらず存在している。自明の事実ではあるがこの映画はそこを徹底的に見せてくれた。

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あんちゃん

4.5タイトルなし

2025年5月2日
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沖縄、東京に続き名古屋で。あまり知らないことはないけれど、多くの人の証言は聞けた。艦砲の食い残しという、自虐的批判的な凄い歌の存在を知る。それが太田氏のアイデンティティであったこと。
また、翁長さんも信念の人であったこと、小さいお店を営む母を手伝った貧しい暮らしをしてきたこと。
とはいえ、政治史だけでない、沖縄の生活をもっと描いてほしいとも。

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えみり

5.0「基地か経済か」の選択の中で闘う姿を見せ続けた二人の知事の軌跡

2025年4月30日
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hachizen

5.0沖縄は日本なのでしょうか

2025年4月21日
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泣ける

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しかちゃん

1.5朝日の象徴である基地問題

2025年4月20日
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まだやるかってくらい。ほんとうに好きだね。テレ朝の頃から極端な思想を元に日本を断罪し続けるアップデートできない活動家たち。
その急先鋒とでも言うかこの監督。

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ビビ