ペリリュー 楽園のゲルニカのレビュー・感想・評価
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どう死にどう生きる
ペリリューの戦い
太平洋オセアニア諸島にあり
パラオ民族が暮らしていた島で
1944年9月に起こった
日本とアメリカ間の戦闘
日本軍は10000人が6倍の兵力で
4日程度で攻略する予定の
アメリカ軍相手に徹底抗戦
日本兵一人の戦死に対し
アメリカ兵一人が戦死する割合で
結局攻略までに2か月を要す
ほどの奮戦を見せる
日本兵の生存者はわずか34人
太平洋戦争の中で最も
混乱した戦いと記録されている
なおパラオ原住民は事前に
日本軍が疎開させており
ほぼ犠牲者なく済んでいる
2015年には天皇皇后両陛下が
慰霊訪問しこの地で散った
英霊の魂は丁重に弔われる
事となった
という史実をもとに
2016年から武田一義により
漫画連載された作品の映画化
比較的コミカルなタッチながら
戦闘の様子や表現は遠慮なく
戦場に横たわる骸はリアルタッチ
アメリカ軍の定期爆撃から
身をひそめる際に足を滑らせ
頭を打ってあっけなく死んで
しまった小山一等兵を
不憫に思った島田小隊長から
漫画が得意な主人公・田丸一等兵は
故郷へいかに勇敢な最期だったかを
伝える功績係を任される
田丸は生きて食堂をやる自分の家に帰る
というきわめて現代的な感覚の
持ち主
だが周辺地域はアメリカ軍に
攻略されて玉砕の報が
絶え間ない状況
ペリリューも半ば死んで来い
と言わんばかりの状況であった
実は戦死というのは敵の手に
かかって死ぬよりも
味方の誤射によるものが
驚くほど多いし任務中の
不慮の事故で亡くなる
小山の勇敢な最期を
「創作」するうち田丸は
生前に小山が語った父親の
「勇敢な最期」も・・?
と気が付くうちにペリリューは
極限戦闘の渦中に入っていく
圧倒的なアメリカ軍の戦力に
バタバタやられていく仲間達
特攻を指示しようとした上官は
味方の暴発であっけなく死んでしまう
ここぞとばかりに「助かった」
生きたいなら逃げるぞと
声をかけてきた小杉伍長
田丸は射撃の腕の
立つが感覚的には生存本能は
自分と近い吉敷上等兵
生き延びるために田丸と
追っ手を逃れる逃走をし
やがて生き残りが米軍の食料を
奪取する計画があることを知り
生き残った兵士と共に
生き延びるための手立てを
とっていくことになる
しかし
ここで日本兵の生き残りに
齟齬が生まれる
果敢に玉砕するか
生き延びるために投降するか
どう死ぬか
どう生きるかの対立
死ぬつもりで来ている者
生き延びたい者
ここが今作のテーマであろう
現代の感覚で言うと後者
だろうが
当時の前者の感覚は
否定できない
田丸と吉敷は投降を選択するが・・
漫画版より後半は
端的にまとめられている
ようである
想像以上に重い話で
観賞後も憂鬱な気分になるが
これがほぼ現実に起こった
エピソード
誰も戦争などしたくない
ちらつかせて外交に利用してくる
チンピラ国家など信用しないし
許せない
反戦派とか言ってる奴ら
自分たちが注目してもらえると思って
戦争を願ってるんですよね
あれらも許せん
陳腐な思想などどうでもいい
もっと日本人としてご先祖様が
未来の日本の為になさったことを
少しでも知り
靖国に神様として祀られている英霊の
方々に感謝を忘れてはいけないと
つくづく思う
アニメーションだからこそ
戦争で出会ってなければもっと友情超えた何が生まれて良い出会いであったかも知れないと感じました。信じた影替えのない物が目の前で奪われていく苦痛辛さアニメだからこそ柔らかくなってぶん辛いでもアニメだからこそ冬休みの幼児・小中学校生におじいさんやお婆さん戦争知る人達ともう一度話しで感じてほしい。
太平洋の地獄
原作は未読。ペリリューの戦いについては島嶼部の防衛戦で長期持久戦が行われ4万の米軍1万の日本軍守備隊が戦い玉砕したとばかり…。
実際は30数名が生き残り2年以上も終戦を知らなかったとは。
ディフォルメされた可愛い人物が凄惨に殺し合い兵器はディテールが緻密でギャップには引くしかない。
もし自分がいたら先ず助からない。
戦後に生きた人間だから何て無謀な戦いを…と思ってしまうが彼らは英霊ではなく無駄死にでしたかない。
誰が彼らを無駄死にさせたのか?
戦争の無意味さ怖さを見せつける。
今年の日本映画で最高の作品。
"戦後80年" の年の掉尾を飾るに相応しい傑作
通常スクリーンで鑑賞。
原作マンガは未読。
戦火の中で育まれる田丸と吉敷の友情が眩しく美しい。3頭身のかわいらしいキャラクターが戦場の悲惨さを際立たせていて、とても苦しかった。
死して虜囚の辱めを受けず。この言葉のためにどれだけの命が、時間が、奪われてしまったことだろう。教育と云うのは恐ろしいものだと思った。
さぞ、帰りたかっただろうな、と⋯。愛する家族のところへ、大切な人のもとへ。今、私たちが謳歌している日常は決して当たり前のものではなく、守るべきかけがえのないものだと実感させられた。
エンディング曲「奇跡のようなこと」の歌詞が静かに心へ沁み入って来た。物語の余韻に浸り、静かな感動が押し寄せて気づけば涙が溢れていた。
今年(2025年)は戦後80年。改めて戦争について考える機会を設けようと戦争に関する本を読んだり、映画やドラマを観るようにした。戦争を忌避する気持ちが高まったが、日本を取り巻く情勢を見ると緊張が高まっていることも実感している。そんな2025年は戦争を題材にした新作映画が多く公開されたが、その掉尾を飾る作品として本作は申し分の無い傑作であった。塚本晋也監督の「野火」のように、戦争について考える機会として毎年上映される映画になって欲しいと思う。
アニメならではの手法で戦争を表現した傑作
原作未読。色鮮やかな南洋の自然と、鈍色に輝く兵器たち、2つの「リアル」の間で、漫画的にディフォルメされた人間たちが、無惨に死んでいく…。この三層構造の表現が戦争映画として革新的だ。流行のキュートアグレッション、という訳でもなく(なにしろ登場人物はほとんど成人男性ばかりだ)、簡素なキャラクターのうちにこそ、見ている側が苦痛や悲しみを見出してしまう。そのような「空白」がより深い感情移入に必要、ということかもしれない。また主人公の絵(漫画)を描く能力が、絶望の中で生き延びるよすがになる、という設定は、同じく近年の戦時中アニメの傑作「この世界の片隅に」に通じるものがあるし、描かれた絵を作中に取り込むことで、表現の幅も拡げている。なにより、戦死者の死に様を「盛る」功績係が、戦友たちの生き様を記録していたことで、彼らの生存に道筋をつける、という結末がとても良い。…口紅を握りしてめて死んでいった彼のことが忘れられない。
過去を未来へ紡ぐ今を。
まさかPG12食らうと思わんかったよね。と思ったが描写や昨今の情勢見るにプライベート・ライアンの時のスピルバーグのような制限指定を引き下げるゴリ押し芸は現代には通用しない。理由は作品そのものが武器を扱う好奇心という名の引き金になりかねないから。この作品見てりゃドンパチやろうとも思わんけど、どう感化されるかはその人にならないと分からないものがある。でも、この作品はちゃんと戦争に向き合ってグロい描写したと思う。
戦争に対する価値観が変貌を遂げつつある現代に、当時の戦争経験者も、生存という意味合いで少なくなってきた。80年も経っている。平均寿命だ。
記憶を言葉で語る事が出来る、伝えられる、そんな機会が消えようとしているからこそ本作含め戦争映画というものはジャンルとして成り立つのだろう、と推察する。
本作だが、可愛らしいキャラクターデザインの事などものの10分で忘れるくらいちゃんとリアリティを秘めている。というかキャラクターデザイン以外の"物"があまりにもリアル過ぎる。武器とか戦闘機とか戦艦、それに"ホトケ"さん含めてだ。手榴弾なんかも爆発の演出が音響込みでかなり凝っていて、あーこれは当たったら○ぬなぁ、とアニメながらに現実のリアリティをデザインではなく演出で感じさせてくる。
まぁアニメはアニメなので細かい部分(爆音聞いた後の耳鳴りがなさそう、とかクッソうるさいはずの銃声の後の普通のトーンでの会話など)はその辺省いてはいた。
なので粗はぼちぼちある、が、多分この映画が伝えたいのはそういう所じゃない。映画がいつ終わってもおかしくないくらいに周囲にタヒが溢れていた。それくらい容赦がない。容赦なさ過ぎて人が亡くなって悲愴や憎しみを募らせる時よりも人をやってしまった時の方の罪悪感が勝ってしまっている部分を描写したのは心に来るものがあった。あまりにも生々しい。
そう思えるのも、主演の声優である板垣李光人さんの、決して上手いとは言えない演技のお陰だろう。声優慣れしている中村倫也さんはそれはもう本職顔負けクラスで吉敷を演じて下さったが、板垣李光人さん演じる田丸のおかげで、どこにでもいる大人しそうな人が戦争に放り込まれている臨場感がより際立った。これは最初から最後までそうだった。
お陰でキャラクターに入りやすく、多分見返せばそんなに目を背ける位ではないだろうシーンでも目を背けたくなった。
プロモーションから俳優陣推しが多かったが、本作においてはこれで良かったと思える。
この辺の描写は逆にアニメだからこそ良かったのだと思う。
戦争というものがもしかしたら身近に迫っているからこその本作。この話は過去だからこそ、今という一方引いた視点で鑑賞できる。その過去の人達が命をかけて運んできた平和を、未来へ紡ぐために今を懸命に生きてみようと思わなくもない作品だった。
目に見えない特典
気になっていた作品なので
公開初日の初回上映で観てきました
アニメとはいえ、内容が内容なだけに
覚悟して観に行きました
その想像以上に重い映画でした
でも観てよかったです
実写の戦争映画よりもアニメの方が
身近に感じられて辛かったです
自分の場合は実写だと戦闘機とか戦車をカッコよく感じたり
想像力が機能しなかったりするので
どこか他人事のように感じたりします
でもアニメだと少し自分ごとのように近くに感じられます
救いがない映画ですが
観てよかった映画です
エンタメ映画もいいですが
本作のような映画の存在もとても貴重で重要だと思います
入場特典はありませんでしたが、
鑑賞後には、あたり前にあると思っている日常が
実は奇跡の連続でとても尊いものであると思える
という目に見えない入場特典をいただけました
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