「アニメならではの手法で戦争を表現した傑作」ペリリュー 楽園のゲルニカ sugsyuさんの映画レビュー(感想・評価)
アニメならではの手法で戦争を表現した傑作
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原作未読。色鮮やかな南洋の自然と、鈍色に輝く兵器たち、2つの「リアル」の間で、漫画的にディフォルメされた人間たちが、無惨に死んでいく…。この三層構造の表現が戦争映画として革新的だ。流行のキュートアグレッション、という訳でもなく(なにしろ登場人物はほとんど成人男性ばかりだ)、簡素なキャラクターのうちにこそ、見ている側が苦痛や悲しみを見出してしまう。そのような「空白」がより深い感情移入に必要、ということかもしれない。また主人公の絵(漫画)を描く能力が、絶望の中で生き延びるよすがになる、という設定は、同じく近年の戦時中アニメの傑作「この世界の片隅に」に通じるものがあるし、描かれた絵を作中に取り込むことで、表現の幅も拡げている。なにより、戦死者の死に様を「盛る」功績係が、戦友たちの生き様を記録していたことで、彼らの生存に道筋をつける、という結末がとても良い。…口紅を握りしてめて死んでいった彼のことが忘れられない。
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