「画風ギャップゆえの怖さ」ペリリュー 楽園のゲルニカ hiroishiさんの映画レビュー(感想・評価)
画風ギャップゆえの怖さ
八月に茨城県にある「筑波海軍航空隊記念館」という所に行き、そこに原作漫画が置かれ手に取りました。キャラが2~3頭身で、てっきり戦争コメディ漫画かと読み進めて行くと、リアルでシビアな戦争漫画でした。展示見学が目的だったため1巻目だけ読んで終わらせましたが、引き込まれ、かつ、画風と内容のギャップに妙な怖さを感じました。今回映画化されたとのことで、読みかけで終わっていたこの物語を知りたく観に行きました。
戦争の悲惨さは描かれますが、3頭身の画風上、リアルな負傷、死亡描写(腸や肉の飛び散りといったディテールまで見せるレベル)で悲惨さを伝える映画ではなく、「功績係」任務を与えられた田丸(声・板垣李光人)が、兵士たちの「葛藤」を背景に己の「才」によって仲間を救う物語であり、ゆえに戦争映画特有の見た後の「重たさ」はあまり感じませんでした。
漫画を見た時にひきこまれた「画風ギャップゆえの怖さ」は、映画化=絵が動くことで、増幅されたかというと、そうでもなく、漫画ならではのコマ割りに配された絵(静止画)と「間」、シリアスな吹き出しセリフを自分のペースで感じながら読めたからかもしれません。(映画はどんどん進んじゃいますので)一方で時折り挟まれる戦場との「ギャップ」を示す美しい風景描写や、終盤の田丸のアイデアを実行するシーンの演出・音楽は映画ならではで、ウルっとしました。
全11巻の話を2時間枠に収めるためにどこが削られたのか分かりませんが、編成、シナリオ立てはご苦労されたかと。各シーンの尺の配分や演出もバランス良く、エンドロールで上白石萌音さんの歌を聞き、物語を回想する。。。良い映画でした。
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