「アニメだからこそ描ける戦場のリアル。」ペリリュー 楽園のゲルニカ ジョイ☮ JOY86式。さんの映画レビュー(感想・評価)
アニメだからこそ描ける戦場のリアル。
大傑作でした。
可愛らしい絵柄だからこそ、そこに描かれる戦争の残酷さがより鮮明に伝わってきます。
「描きすぎない」事により、返って視聴者に「想像させる」演出が冴え渡ってます。だから、ビジュアルで見せる以上にリアルに感じ。
その、あまりに残酷すぎる現実にギョッとさせられます。
ペリリュー島の戦いについては事前知識がなく、軽く歴史だけ予習した状態で鑑賞しましたが、それでも胸に迫るものがありました。
物語の中で繰り返し突きつけられるのは、「生きるために食べる」「生きるために殺す」という、良し悪しでは割り切れない現実です。愛らしいキャラクターデザインと凄惨な戦場とのギャップは大きく、その落差がかえって戦争の本質を鋭く浮き彫りにします。
戦争が終わったと“信じる者”、信じたい者、信じたくない者――それぞれの揺れ動く思いが重く、辛い。
善悪では割り切れない複雑な感情と人間模様、その果てに何が起きたか。ぜひ劇場で確認してください。
とりわけ印象に残ったのは、キャラクターひとりひとりの丁寧な描写。こんなに大量に人が死ぬ作品なのに、モブとして描かず。人間として描いているのが素晴らしかったです。
特に、キャラクターのひとりが周囲の目を盗んで口紅をひくシーン。ほんの小さな所作なのに、その裏にあったであろう思いを想像するだけでも涙が溢れてきました。
極限の状況の中でも、人はそれぞれの願いを胸に生きようともがいていたのだという事実が刺さります。
気がつけば、残酷な展開の連続に何度もショックを受けながら、それでも最後まで目が離せませんでした。
「この世界の片隅に」に並ぶ大傑作でした。
まずはスクリーンで観てほしいです。
誰かの評価を気にするより、自分の目で確かめてこそ価値がある作品だと思います。
少しでも気になっているなら、ぜひ早めに足を運んでみてください。
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