「涙ぐんでしまいました…」長崎 閃光の影で うさぎさんさんの映画レビュー(感想・評価)
涙ぐんでしまいました…
ぼんやりと受身で鑑賞してはいけない作品。
頭をフル回転させて、想像力を働かせながら鑑賞しなければならない作品である。
抑えた映像と演出が心に刺さるのである。
原爆の悲惨さは筆舌に尽くせないこととは思う。でも、はだしのゲンのような、作者の気持ちが入りすぎた、過剰な演出や表現は、逆にこころがひいてしまう。
わたしの祖母、母はいわゆる戦争体験者であるが、その体験談は意外に地味なものである。それは、自分が見たもの体験したものがすべてであるからだろう。当時に戦争被害の全体を知るすべはないし、本当の悲惨さを経験した人びとは、命を落とされた方々だろう。だから、その後の情報で、自分の体験を脚色することなどはできないのである。それが同じ時代を生き、そして命を落とした人びとへの鎮魂であると思う。
この作品は、祖母や母の体験談を聞いているような感じがするのである。
未熟な見習看護婦に、ヒーロー的な活躍もできるはずもなく、自分の無力さに揺れる心が痛々しい。
戦後80年過ぎても、戦争体験者の話というのを聞く。本当だろうかと思ってしまうのは余りに不謹慎なのだろうか?
祖母は20年以上前に他界、母は85を過ぎ、静かな余生をおくっている。
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