「今作ることに意義がある」長崎 閃光の影で モモンガさんの映画レビュー(感想・評価)
今作ることに意義がある
戦争体験者が少なくなり、記憶の継承が困難になっている今だからこそちゃんと体験者…被爆者の生の声を元にした映画は重要だと思う。被爆者の方々の姿はあんなものじゃなく、筆舌に尽くしがたいものだと思うけれども…でもこれは一人でも多くの人に届けるためのもの、あれくらいでいいと思う。今はある政党の候補者が核を持つことは低コストで抑止力として有効…と演説で平気で言って当選する時代になっている。そんな事を言っている人間は、いざという時あの光や痛みを自分の身に受ける事は絶対にないんだろうと思う。広島に原爆が投下された日、長崎に原爆が投下された日、はたまた終戦の日もわからない人々がいる中で、戦争に関することが形骸化することのないようにしていきたいと思えた作品だった。
そして朝鮮人の差別のシ―ンだけど、絶対にこれには突っ込む人いるだろうなぁ…と思ったらレビューでも案の定言われている…。あの演出は(あの場であったとかじゃなくて、エンドロールにもあったけど)制作陣の義務感からだと思う。関東大震災でもそうだけと、あったところにはあったはず。あの時代朝鮮人を労働力として使っていたんだから。やらない人もいたんだろうけど…。清廉潔白な人間ばかりりではない。あの演出で誤解が生まれる可能性はあるけど…、でも、日本人はひどい目に遭ったけど日本人もひどいことをしていたという事を伝えることは、被害にあった…ということを伝えるのと同じくらい重要なことだと思うから。
自分の学生時代は、戦時中の歴史について、戦争はよくないの一辺倒で学校でも触りだけのものだった…戦争に対しての振り返りができていないんだなぁ、という感じが否めず、やっと最近になってメディア…新聞が煽った、民衆の熱狂感もあった等々深く掘り下げられている。本当に今、ちゃんと生の声を残してほしいと思った。
