「80年前に終わった戦争のことを忘れないで。戦後を戦前にしないためにも覚えていて。当時を生きた人たちからの、そんなメッセージが込められた作品です。」長崎 閃光の影で もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
80年前に終わった戦争のことを忘れないで。戦後を戦前にしないためにも覚えていて。当時を生きた人たちからの、そんなメッセージが込められた作品です。
毎年八月の風物詩。・_・
夏祭。七夕。打ち上げ花火。
お盆。日航機墜落。終戦の日。
原爆。ヒロシマ。そしてナガサキ。
この時期、戦争を描いた作品の上映が増えます。
今年も何本か、当時を振り返る作品がありました。
その中の一本としてこの作品を鑑賞することに。
重い内容なのかなぁ …と身構えながら
鑑賞開始。
実際に看護に従事した看護婦たちの声を集めた「閃光の影で」と
いう資料を元にしているそうです。
その混乱の中で、原爆が落ちた日に爆心地付近に居合わせた看護
学生の少女3人の行動を中心に、どんなことが起きていたのかを
描いた、ドキュメンタリーに基づいて後世されたとの事なのです
が、所々に創作を埋め込んだノン・フィクション風の作品なのか
な との印象を持ちました。
少女役3名の演技(セリフ・行動)を中心に捉えて観ていたので
すが(それはまあ、当然のことですが)、違和感を感じてしまった
箇所もそれなりにあった気が、しなくもないです… ・_・;
けれども
実際にその場で行動した方々の記憶と記録を元にしている という
その一点において、この作品が世に出た意味・意義は大きい。
そう思わずにはいられません。
80年前の戦争の記憶。戦争があったという事実。
それを風化させないためにも、後世に残すべき作品かと思います。
鑑賞して良かった。…とは思います。
見た方が良いか尋ねられたら、是非一度は、とお薦めします。
(二度観たいかと問われると、うーん …というのも本音)
※ 不意打ち気味に、グロい場面や血の気が引く場面が出てきます。
ガーゼ交換とか麻酔注射直後に足を●●…とか …@▲@~;;
その手のシーンの耐性が低い方はご注意くださいませ。(自分だ)
◇
■不自然に感じた場面
セリフによる会話に、真実味に欠けると感じる部分がありました。
瓦礫の下で父を見つけた少女が、やたら「大丈夫?」と声をかけて
助け出そうとする場面なのですが…
※どうにも 創作感を感じてしまいました。
そのセリフを含んだ箇所の演技も、ぎこちなく感じられ
不自然さが拭えない感じがしました。
記録されているセリフがそうなのか?と
最初は思っていたのですが、鑑賞後しばらくして思ったのは
# 当時の記録とはいえ、記録にそこまでのセリフまでは
残ってはいないのでは? #
ということ。
# そういった場面でのセリフはライターによる創作では? #
ということ。
そこに思い至り、なんとなく納得した次第です。
「人が 呆然とした」時、意味のある言葉は口をついて出ず
「 言葉を失う」状態になるような そんな気がしました。
■リアルに感じた場面
一方で、人力車を引く場面での3人娘の会話のシーン。
この部分にはリアルさを感じました。
それぞれが、相手の勝手な(と思える)行動を非難します。
ついにはこんなセリフまで。
「神はこの爆弾を落とした相手の事も許すの?」
信じていたことは、所詮は綺麗事なのだろうか。 と
理想と本音が混じり合った本心のぶつけ合いの場面。
だからこそリアルに感じられた場面です。
※ 今起きている戦争・紛争の当事者に対する問いかけ
にもなっているように感じます。
人類に与えられた永遠のテーマなのかもしれません
◇最後に
今年は戦後80年。
戦争を体験した世代もどんどん少なくなってます。
戦争がどれだけの物を破壊したのか
記憶の彼方に埋もれさせてしまわないように と
この時期に振り返ることには、意味があると改めて思います。
「戦後」が続きますように。
「戦前」になりませんように。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
返信ありがとうございました。敬虔なクリスチャンのミサヲが、あの時点で許すと言ったのは、優しくて真面目な彼女だから理解出来ましたが、この映画を観た長崎市の方はどう思ったのかも気になりました。原爆を落としたアメリカを恨むかどうかは別として、一度に何万もの命を奪う兵器を使用する事は絶対許せないですから。
確かに!救助隊が被災者を見つけたら「大丈夫か、しっかりしろ」とか言うでしょうが、自分の父親が瓦礫の下敷きになっていたら、うわあーみたいな言葉にならない声しか出せないですね。
ミサヲは「私は許す」と言いましたが、この時の彼女は惨状を目の当たりにしたとはいえ、被害の大きさ全体を知らないし、その後の原爆症で人々が長く苦しめられる事も知らないですよね。自分も発症して、それでも赦しの心を持ち続けられたのかは気になるところでした。
共感ありがとうございます。
手記が元との事ですが、映像起こし、脚本起こしの難しさを改めて感じますね。違和感を覚える部分は大体その部分じゃないでしょうか。
それはそれとして、目の前の惨状に現在の我々は覚悟を決めて対処出来るでしょうか?


